【詩】 黄チャート
どうすれば楽に死ねるかな。
そんなことを考えながら、僕は黄チャートをパラパラめくる。
数学は苦手だ。答えがあるから。
僕は賢くないから
曖昧なまま生きていきたいんだ。
どうすれば楽に死ねるかな。
そんなことを考えながら、僕は黄チャートの答えを探す。
数Ⅰと数Aの違いが分からない。
明日は数Aのテスト
僕が今、触っているのはどっち??
どうすれば楽に死ねるかな。
そんなことを考えながら、僕は黄チャートの答えを写す。
無感情な数字の羅列に嫌気がさして
詩集などに手を伸ばす
ノートの端に描いた落書きに
何か意味を見出そうとする。
どうすれば楽に死ねるかな。
そんなことを考えながら、僕は黄チャートを鞄にしまう。
提出し忘れると後が面倒だから
覚えている内にノートもしまう。
どうすれば楽に死ねるかな。
数学のテスト、面倒だな。
赤点だけは避けないとな。
そんな風に明日を案じながら
僕は眠りにつく。
どうすれば……
そんな答えのない問答を
明日も繰り返して僕は生きていく。
16歳くらいの時に書いた詩です。当時の僕は人並みに勉強が嫌いで、テストで低い点を取ると人並みに落ち込んだりしていました。
しかし、だからといって人並みに勉強しようとはせずに、詩を書いたりしていました。
当時の僕に会えるのなら、その横っ面を引っ叩いてやりたいですね。
『どうすれば楽に死ねるかな』という曖昧な希死念慮は青春にはついて回ると思います。実行に移そうという気は微塵も無く、ストレスの稚拙な言語化に過ぎません。
『死にたい』とか言いながら明日のテスト勉強をする。
その矛盾が可笑しくて詩にしました。
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