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ぼくのポエム

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自分で書いた詩をまとめました。 過去作も含みます。 下書き的な側面もあります。 最後の方にその詩を書いた経緯なども載っています
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2022年4月の記事一覧

【詩】 朝焼け

僕を言い訳にして
朝が遅刻する

『あなたがいつまでも起きているから
私の準備は遅れたのよ。』

太陽は
この星を照らすために輝いているわけではないのに
時折そんな風に嫌味を言う。

目の前を我が物顔で横切る蟻を
思わず足で払ってしまいたくなるような衝動が
太陽にもあるのだろう。

朝日の
透き通るような鋭さ
この植木
この建築
この身体
この世界の影を
まとめて縫い合わせてしまう
強烈な光線

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【詩】 深夜奇行

街で暮らす

夢の演出家たちは

手軽に感動できる寝物語を探し求める。

せわしない親指の往復運動の末に見つけた

輝かしい文字列。

そこに吸い寄せられた群衆の一部になることで

どこか満たされた気になって

「私も幸せだ」と

自分に言い聞かせて眠りにつく。

今宵もいい夢を見られるように。

僕も躍起になって美談を探す。

しかし不思議と目は冴えて

仕方ないから

少し街を歩くことにした。

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【詩】 夜桜

【詩】 夜桜



タバコを吸いにベランダへ出ると

桜の花びらが一枚

床に張り付いていた。

影も持たないほど薄いくせして

夜目にも鮮やかに

己の居場所を告げている

この春、僕が

ロクに花見もできなかったことを

君は知っていたのだろうか?

この狭いベランダから

道路一つと

小さな柵と

二つの街灯を置いたところに

君はかつて住んでいた。

君の兄弟たちは

先週の豪雨と

今なお続く荒々し

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