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秩父より愛をこめて その2 〜第19回森のようちえん全国交流フォーラムin埼玉に参加して〜

秩父より愛をこめて その1 〜第19回森のようちえん全国交流フォーラムin埼玉に参加して〜 からの続き

11月2日〜4日に埼玉県秩父市下吉田で開催された、第19回森のようちえん全国交流フォーラムin埼玉に参加し、NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟の理事としてわずかながらですがお手伝いをさせていただきました。

2日目から天気が良くなり、午前、午後の分科会は屋外で行われました。分科会の講師は事前に公募されていたので、2年前の富士山フォーラムと同じように、フリースクールのことをテーマにした分科会をやりたいと思い、私も応募しました。すると、実行委員会でもフリースクールをテーマにした分科会を予定していたので、そこへ合流することとなりました。そして、なんと、私は両方の時間に、講師と司会の二役を担当するとことになったのです。分科会のタイトルはどちらも「森のようちえんのその先、小学校どうする?」午前は制度編、午後は実践編です。それぞれ定員の20名の申し込みがあり、森のようちえんに関わる人たちの、小学生段階での過ごし方への関心度の高さが窺えました。

分科会は屋外で。1分科会につき1テント。

制度編では、参加者一人一人に自己紹介をしていただいたのちに、長野県山ノ内町教育長の竹内延彦さんに長野県の事例「信州やまほいく(信州型自然保育)認定制度」ができてから「信州型フリースクール認証制度」ができるに至るまでの経緯や考え方などを話していただきました。そのあとは、私の方から質問を投げかけながら竹内さんと対談のような形で話していきました。憲法89条に絡む公の支配に属さない教育に公金は支出されないという問題、憲法26条に絡む義務教育の問題、立法と行政の違い、「信州やまほいく(信州型自然保育)認定制度」と「信州型フリースクール認証制度」二つの制度の違い、国会や文部科学省での動きなどを深掘りしていきました。また、私から沖縄で長野県を参考にフリースクール居場所等連絡協議会が立ち上がってきた話をさせていただき、参加者の質問にも答えたり参加者の住んでいる地域での情報を共有したりしながら、社会を変えるためには、制度と文化の両方を変えていく必要があることなどの話を進めて行きました。

実は、事前の打ち合わせはオンラインで一回だけ。あとはライングループでやりとりしただけだったので、途中でネタ切れにならないか心配だったのですが、竹内さんとジャズセッションのような進行をすることができ、個人的には楽しい時間となりました。この制度編で私が一番伝えたかったことは、行政には要望せずに協働していきましょうということです。実は、国、県、市町村といった行政の財政はここ最近ずっと増え続けている一方で、職員数は減り続けています。つまり行政職員一人当たりの仕事は増え続けているので、新しい要望は仕事が増えるだけと思われ敬遠されがちなのです。そのため、行政職員の仕事を手助けしますよ、一緒に協力しあって取り組みましょう、という協働のスタンスが大事なのです。それぞれの地域で子どもたちにとっていい方向に進むことを期待しています。

午後の分科会は実践編でした。よみたん自然学校以外に、にちにちのはら、ぐんま里山学校、タテノイトの取り組みについて紹介しました。森のようちえんの対象年齢より上、小学生以上を対象とした取り組みも実にさまざまでした。そのあとは質問を受けながら、各団体から回答していきました。森のようちえんを運営していて、フリースクール運営を検討さている方が多かったせいか、運営面の質問が多く出て、具体的なお金の話も出る生々しい時間でした。最後に、保護者の方から、子どもの育ちに関する質問が出ました。それは私が一番伝えたかったことでした。

私は、以前から、フォーラムに参加するたびに、森のようちえんだけでは足りない、子どもたちためには学童期まで森のようちえんのような活動が必要だと言ってきました。そして、フリースクールをやりましょうと誘ってきました。というのも、私たちの卒業生の様子を見て確信を持つようになったからです。森のようちえんを卒業して公立小学校に進んだ子で、先生の言うことは絶対、宿題は絶対にやらなければいけない、そういうことに押しつぶされて元気がなくなっていく子をたくさん見てきました。一方で、フリースクール卒業後に公立中学校に進んだ子は、自分の軸をしっかり持っていて、厳しい校則にもうまく対応しています。ただ単に順応するということではありません。卒業生の子は「最初だけちゃんと守って少しずつ緩めていけば大丈夫だった」「他の子に紛れていれば大丈夫だった」というように、自分自身が押しつぶされないように、自分の気持ちと向き合って、うまく渡り歩いているのです。自然体験型フリースクールを進めるためのノウハウはいくらでも提供します。興味のある方がいましたら、ぜひ一緒に進めましょう。

ポスターそのままの姿の葭田実行委員長と舘野副実行委員長

夜の夕食&大交流会では、幕が開くとポスターそのままの姿の葭田実行委員長と舘野副実行委員長が現れました。笑わずにはいられません。副実行委員長は大交流会が終わるまでそのままの格好でしたが、これまでより声がよく出ていると思ったのは気のせいでしょうか。それはさておき、なんと言っても、目玉はその後の映像、1ヶ月前に行われた龍勢祭の様子でした。今回の全国交流フォーラムの実行委員の人たちの思いを乗せた龍勢(手作りロケット)が打ち上げられたのです。フォーラムが無事に開催されるようにと口上を述べ、龍勢は空高くとび、落下傘が落ちてきました。その様子は、YouTubeでも見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=4EfHkPaDY5g

なぜか打ち上がった瞬間、目がウルウルとしてしまったのですが、思わず涙が出たと言っていた参加者もいました。そして、その落下傘とともに落ちてきたのが、会場に吊るされた垂れ幕だったのです。端っこの方が少し焦げていました。実は秘蔵の動画も公開され、それをスマホで撮影した人もいたようですが、実行委員長から門外不出の製法で作られているので外に漏れないよう削除の依頼がありました。伝統を守るのも大変だな、とその時は、軽く考えていたのですが、次の日の特別講演でもっと大きな意味を知ることになるのでした。

秩父より愛をこめて その3 〜第19回森のようちえん全国交流フォーラムin埼玉に参加して〜 に続く

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