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【読書暦】2007年に読んだ本

【★☆☆☆☆】ダ メ【★★☆☆☆】普 通【★★★☆☆】面白い【★★★★☆】お薦め【★★★★★】名 作


★★★★☆ 「蔓の端々」乙川優三郎 講談社文庫12/24
★★★☆☆ 「一人で歩いていった猫」大原まり子 ハヤカワ文庫12/17
★★★☆☆ 「太陽の塔」森見登美彦 新潮文庫12/10
★★☆☆☆ 「魔境殺神事件」半村良 新潮文庫12/1
★★★☆☆ 「回天の門」藤沢周平 文春文庫11/20
★★☆☆☆ 「狼は泣かず」平井和正 祥伝社11/19
★★★☆☆ 「三都物語」船戸与一 新潮文庫11/3
★★★☆☆ 「ダック・コール」稲見一良 ハヤカワ文庫10/29
★★★☆☆ 「膚の下」上・下 神林長平 ハヤカワ文庫10/20
★★☆☆☆ 「帝王の殻」神林長平 ハヤカワ文庫10/5
★★★☆☆ 「あなたの魂に安らぎあれ」神林長平 ハヤカワ文庫9/27
★★★☆☆ 「雲雀」佐藤亜紀 文春文庫9/15
★★★☆☆ 「ラブクラフト全集2」H・P・ラヴクラフト 創元推理文庫9/9
★★☆☆☆ 「料理人」ハリー・クレッシング ハヤカワ文庫8/29
★★☆☆☆ 「楽隊のうさぎ」中沢けい 新潮文庫8/23
★★☆☆☆ 「魔羅節」岩井志麻子 新潮文庫8/17
★★☆☆☆ 「再会 慶次郎縁側日記(二)」北原亞以子 新潮文庫8/10
★★★☆☆ 「生誕祭」上・下 馳星周 文春文庫8/4
★★★☆☆ 「煤煙」北方謙三 講談社文庫7/26
★★★☆☆ 「静かな黄昏の国」篠田節子 角川文庫7/21
★★★☆☆ 「マドンナ」クライヴ・バーカー 集英社文庫7/16
★★☆☆☆ 「救命センター当直日誌」浜辺祐一 集英社文庫7/10
★★☆☆☆ 「救命センターからの手紙」浜辺祐一 集英社文庫6/27
★★☆☆☆ 「あのころの未来」最相葉月 新潮文庫6/21
★★☆☆☆ 「こちら救命センター」浜辺祐一 集英社文庫6/12
★★☆☆☆ 「絶対音感」最相葉月 新潮文庫6/10
★★★☆☆ 「キッチン・コンフィデンシャル」アンソニー・ボーデイン 新潮社5/23
★★★☆☆ 「名前のない女たち2」中村淳彦 宝島社文庫5/19
★★★★☆ 「愛されない子」トリイ・L・ヘイデン 早川書房5/15
★★★★☆ 「幽霊のような子」トリイ・L・ヘイデン 早川書房5/14
★★★★☆ 「檻のなかの子」トリイ・L・ヘイデン ハヤカワ文庫5/13
★★★★☆ 「よその子」トリイ・L・ヘイデン 早川書房5/12
★★★★★ 「タイガーと呼ばれた子」トリイ・L・ヘイデン 早川書房5/10
★★★★☆ 「朗読者」ベルンハルト・シュリンク 新潮文庫5/9
★★★★★ 「シーラという子」トリイ・L・ヘイデン 早川書房5/8
★★☆☆☆ 「絹の変容」篠田節子 集英社文庫4/28
★★★☆☆ 「名前のない女たち」中村淳彦 宝島社文庫4/24
★★★☆☆ 「みんな行ってしまう」マイケル・マーシャル・スミス 創元SF文庫3/23
★★★☆☆ 「夜叉神堂の男」杉本苑子 集英社文庫2/23
★★★☆☆ 「メンデ 奴隷にされた少女」メンデ・ナーゼル ヴィレッジブックス2/7
★★★☆☆ 「霧の果て 神谷玄次郎捕物控」藤沢周平 文春文庫1/26
★★★☆☆ 「家守綺譚」梨木香歩 新潮文庫1/16
★★★☆☆ 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫1/14
★★★☆☆ 「生きる」乙川優三郎 文芸春秋1/7
★★☆☆☆ 「深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン」沢木耕太郎 新潮文庫1/5
★★☆☆☆ 「深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海」沢木耕太郎 新潮文庫1/3


 9年勤めた会社の会社都合で退職していた無職時代のこの年に出会った本が、トリイ・L・ヘイデンの「シーラという子」と、以降に続くノンフィクションシリーズでした。
 著者が特殊児童たちを専門に見る教師をしていた青春時代、数々の思い出深い出来事と当時担当した子供たちとの記録です。世界的ベストセラーとなった1冊目は、当初はその子との思い出を記録するためだけに書かれたものだったそうです。
 元来書くことを趣味にしていた彼女が記したその真実の物語は、何かのきっかけで本になり、作者であるトリイ・L・ヘイデンと、その物語の主役であった少女の人生にも大きな影響を与えました。

▲ちょっとシガニー・ウィーバーに似た雰囲気の人で年齢も二つ違い。もし最初のベストセラー時に映画化されていればピッタリのキャストだったのですが。

 たぶんトリイ・L・ヘイデンは文才があったのだろうと思います。後から書いた小説の方は読んでいませんが、翻訳されているノンフィクションは全て読みました。すでに彼女は歳をとりすぎたので、もう新しい思い出話が書かれることはないでしょうが、全て秀作です。読めば何かしら得るものがあります。

 そのなかでも「シーラという子」とその後の偶然の再会を描いた「タイガーと呼ばれた子」はセットで読むべき作品です。TV番組がむりやり演出する感動とは異なる、後味の悪いリアルな再会と、その後の本物の感情のやりとりが、心の傷みを味あわせてくれます。そういうのが苦手な人には辛いかも知れません。
 多少の脚色はあるでしょうが、本以外の場での本人たちとのやりとりについても書かれているので、作り話でないことが伝わります。

 このシリーズを読むと、ノンフィクション作品への認識が変わります。私は読書の楽しさというものを40代にして改めて考えるキッカケとなりました。これは映像化作品では決して味わえない強烈な感動です。

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<(ↀωↀ)> May the Force be with you.