コンビニの菓子パンでいいじゃないか?「とにもかくにもごはん」を読んで。
小野寺史宜「とにもかくにもごはん」
表紙のイラストが好みだったので、手にとってみました。
家庭料理っぽい雰囲気があったので、ほっこりしたおうちご飯ストーリー?
月のイラストがあるから、夕飯の話なのかな?
そんな想像をしながらページをめくると…
夕飯は夕飯でも
「子ども食堂」の夕飯の話でした。
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子ども食堂って、どんな印象がありますか?
行ったことはありますか?
子ども食堂。
それは子どもが、無料で夕食を食べられる場所。
大人も300円(安い!)とか払えば食べれます。
(場所によって、価格その他は異なるとは思いますが)
ポスターが貼ってあるのを見たことはあるけど…実際に足を運んだことはないです。
見かけていたそのポスターも
ここ数年、コロナで中止になっていた期間が多かった気がします。
で、この小説では
老若男女の登場人物、それぞれの視点からの「子ども食堂」が描かれてます。
個人的には、大学生ボランティアの凪穂ちゃんの適度に冷めている感じがツボで、興味深かったです。
あと、自然と人を巻き込む力がすごい波子さん。そして最後はホロッとするシーンも。
登場するご飯もすごくおいしそうで、読みながら「私も食べてみたい…」と何度も思いました笑
気になる方、ぜひ読んでみてね。
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で、印象に残ったのが
公園で夕飯を食べていた少年の話。
コンビニで夕飯を買うようなのですが、彼はいつもパン。
おにぎりではなく、パン。
なぜなら、おにぎりは「冷たい」からだそう。
確かにコンビニのおにぎりは、冷蔵されていて冷たい。スーパーで売っているそれも、温かくはない。
一方で、常温のパンを「冷たい」と感じることはあまりないような気がする。
そういえば、吉井さんもこんな風に歌っていたっけ。
コンビニの菓子パンでいいじゃないか。
ん?でもよく読んで。
コンビニの菓子パン「で」いいじゃないか、とある。
ということは?
本当は温かいご飯がいいんだけど、冷たさを感じないコンビニの菓子パン「で」もいいか、ってこと?(いや、知らんて)
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パンを食べようと、ご飯を食べようと、基本的には好みの問題。
でも、本当はご飯を食べたいのに
「冷たいから」という理由でご飯を選べないのだとしたら…?
色々と考えさせられた一冊でした。
▼文庫本はこちら。
▼なんで表紙が違うの?って思った方はこちら。