言葉の宝箱 0496【過去の記憶は、現在の自分を無心に見つめることを邪魔する】
天才ハッカーの水城陸は16歳。航空機墜落事故の犯人として死刑判決を受けるがその高すぎる能力ゆえ、命と引き換えに名前と経歴を変え、警察の極秘捜査班に参加させられる。監視対象の老数学者は陸の冤罪事件に関わりがあるようだ。真相を追いながら身の潔白を訴える陸が権力はそれを許さない。サスペンス長編。
・本当の愛情は手に表れるの。
蝋細工のような、あんな冷たい手の形には、恋愛感情はないわ P20
・任せるといえば聞こえはいいが、なんとかしろと言っているだけだ P30
・君の肉体は、君の過去の結晶だ(略)
過去の怒り、悩み、苦しみ、もちろん喜びを含めて、
全ての過去が君の身体の細胞ひとつひとつを肉付けしている。
時にその過去の記憶は、現在の自分を無心に見つめることを邪魔するんだ。過去にこだわるあまり、現在を澄んだ目で見ることができなくなる P109