働くことと、利他のこころ
読書なんてほとんどしてこなかったけれど、大学生の時に読んで、大きな感銘を受けた本がある。
当時、「利他」という言葉を知ったばかりで、何となくその言葉の響きや意味を気に入っていたからか、偶然書店で目にした『利他のすすめ』を気付いたら手に取っていた。
今でも忘れることなく刻まれているのが、以下の文章だ。
人間の幸せは、ものやお金ではありません。
人間の究極の幸せは次の四つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
障害をもつ人たちが働こうとするのは、
本当の幸せを求める人間の証なのです。
(『利他のすすめ』より)
当時、「働くこと」に対して漠然としたイメージしか持てず、その意味や意義もよく分かっていなかった。
「ブラック」という言葉をよく耳にしていたからか、「働くこと」と「幸福」は別物なんじゃないか、とさえ思っていた。
そんな時に読んだからこそ、感銘を受けた。
働くことで幸福になれる、その考え方は新鮮で、「働くこと」に対して肯定的に考えられるようになり、実際、自分自身が思い描いていた以上に、その後「働くこと」にのめり込むようになる。
ただ、実際に「働くこと」を経験してみて、自分の解釈は間違っていたかもしれない、と感じている。
確かに、
・人にほめられること
・人の役に立つこと
・人から必要とされること
これら3つの幸せは、「働くこと」を通して得ることができる。
ただ、「働くこと」を通して失ってしまう時もあるし、最も大事なのは、働くことでしか得られないわけではない、ということ。
ぼくは、「働くことでしか得られない」と思い込んでいた。
仕事がうまくいかなかった時、仕事を辞めた時、そこに幸福感はなかった。
その幸福感を埋めるための術を持ち合わせていなかった。だから、幸福ではなかった。
「幸福を得るためには、働くしかない」、そんな極端ではない。
改めて書くほどのことではないかもしれないけれど。
「自分って、幸せなのだろうか」
そんなことを考えてしまう時ほど、幸せでなかったりする。
「幸せ」に対して、もっと寛大に、楽に、構えていたい。
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