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グッドルッキングガイだった神武天皇
日本最古の書物は古事記である。
しかし誤解してほしくないんだが、古事記が日本で初めて作られた本というわけじゃないんだ。
これ以前にも推古朝の時に「国記」「天皇記」が編纂されてるし、それ以外にも「帝紀」「旧辞」などがあり、これらは古事記や日本書紀の元ネタとなっている。
これ以外にも、実際はもっとたくさんあったと思う。
ただ、紙というのはどうしても朽ちるし燃えるし、古代の書物の多くが現存しないのは致し方ないこと。
朽ちずに残ったという意味では、日本で最古の書物は刻書土器・墨書土器だろう。
これらは文字が記された弥生式土器である。
つまり、「日本には文字がなかったから8世紀まで書物がなかったのだ」とする考え方を目にするけど、それはちょっと違うわけね。
少なくとも弥生時代の日本人は、文字というものを分かってたんだ。
大体が漢字だろうけどさ。
でもよく考えりゃ、弥生時代にあれほど多くの渡来人が日本に来たわけで、その中には字を書けた人だって当然いただろう。
ひょっとしたら、「空白の150年」の真実を書いた書物もあった可能性はないだろうか。
もちろんそんなものは現存してないが、それは現代に残ってないというだけの話で、古事記や日本書紀を書いた奈良時代には何らかの史料が残っていた可能性は高いと思う。
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日本で初めて歴史書を作ったとされる聖徳太子や蘇我馬子あたりが、それらをまとめて収集してたということはないだろうか。
それらが大化の改新の騒動で、蘇我氏滅亡に伴ってほとんどが散逸してしまった。
あの中大兄皇子の蘇我氏を根絶やしにしようとする執念を見てると、私は逆に疑念を抱かざるを得ない。
あそこまで徹底して潰すってことは、逆に蘇我の血統って実はメチャメチャ重要な意味をもつものだったのでは?という疑念さ。
かなり大胆な発想をするなら、実は蘇我氏こそが母系の正統王家だったんじゃないか、とかね。
まあ、さすがにそれはないと思うけど。
ただ、天皇家がホントに最初から父系のシステムだったかは怪しいと思っている。
少なくとも古代の日本は母系社会だったはずなんだから、ヤマト王朝の初期形態が女王国だったとしても何ら不思議はないさ。
しかし古事記や日本書紀は、最初から天皇家が父系制度だったことになっている。
というより他に史料がないから、そう信じざるを得ないんだよ。
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私は、ひとつ格好のテキストになるのが鎌倉幕府の北条氏だと思う。
本来、鎌倉幕府を開いたのは源氏の頼朝だったのに、いつの間にか幕府の長は北条氏にすり替わっていた。
気が付けば頼朝の妻の実家が主導権を奪ってたわけで、ひょっとして、これと同じようなことが古代のヤマト王朝にも起きていたんじゃないか、と。
それまでは母系の女王国だったのに、とあるひとりの婿が北条氏のようにして実権を奪い、自分の子以降は男子に家督を与えるシステムに切り替えたんじゃないかな。
つまり早い話が、お家乗っ取りだね。
これが鎌倉時代なら、史料がたくさん残ってしまうので事実を隠しようないんだけど、これが史料の少ない古代ならどうだ?
父系である自分の家を正統な王家と定義づける為に、敢えて過去の女王国の存在を抹消し、母系の王家などなかったことにしようと思えば、ぶっちゃけできなくもないんだよね。
分かりやすく、こういうふうに考えてみてくれ。
ある日、北条氏の北条時頼が「自分は正統な将軍になろう」と考えたとする。
世間的には頼朝、頼家、実朝の三代の将軍の存在が知られてるので(正確には四代目以降も将軍はいるんだが、ここでは除外する)、自分が正統な将軍となるには歴史を少し捏造する必要が出てくる。
ちなみに時頼の前には時政、義時、泰時、経時という4人の執権がいたので
・初代頼朝⇒時政
・二代頼家⇒義時
・三代実朝⇒泰時
という感じで三代の源氏将軍を北条氏の3人の執権に当てはめ、鎌倉幕府を開いたのは(頼朝⇒)北条時政です、ということにする。
そうなれば、時頼は四代将軍経時の後任だから、一応は五代将軍ということになるんだな。
実際に源頼朝がなした功績は全て北条時政がやったことにして、時政を英雄に仕立てるという捏造ひとつで、北条氏のブランド価値は急上昇するのよ。
こういう捏造作業、実は古代のヤマト王朝でもなされていたような気がしてならない。
たとえば邪馬台国が母系の女王国だったとして、その女王に婿入りする他家の男が必ずいたはずなんだ。
条件は家柄よりも絶倫であること、あと女王が好きなグッドルッキングガイだったかもしれないね。
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母系王族の最優先事項とは、女王が女子を産んで次期後継者のメドをつけること。
しかし、女王が男子しか産まなかった場合はどうなる?
おそらく、国論が二分されるだろう。
「別に男が王でもいいんじゃね?」派と「女じゃなきゃダメよダメダメ」派の抗争となる。
その抗争で「別に男が王でもいいんじゃね?」派が勝ったとして、そこから王家は父系に切り替わるわけだ。
「女じゃなきゃダメよダメダメ」派は傍流となり、これが後の蘇我氏の母体となる。
で、古事記や日本書紀の編纂の為に、散逸していた古代史料を再び収集した天武天皇は、調査・研究していくうちにひとつの事実に気付いたんだ。
自分たち皇族のルーツを辿っていくと最終的に、女王のお気に入りだった、ひとりのグッドルッキングガイに行き着く、と。
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そうか。
この人が旦那(性奴隷)だった時に男子しか生まれず、そこから父系になって我が一族の家系図がスタートしたのか、と。
この事実、あんまり公表したくねーな・・・と思った天武天皇は、家系図の捏造を始めたんだね。
まるごと初代女王の功績を、家系図の筆頭にあるグッドルッキングガイ1号の功績として転用し、そいつを初代神武天皇ってことにしたわけさ。
父系の一族のご先祖様と歴代女王の頭数が微妙に合わず、そこは「昔の人は100歳以上生きたんですよ」という理屈でごまかし、何とかツジツマを合わせることに成功。
しかし初代女王の活躍を完全消去するのも忍びないので、一応神功皇后って名前で途中にこっそり登場させておこうかな、と。
つまり神武天皇と神功皇后って、事実上の同一人物ってことね。
どうりで二人とも九州から近畿に東征するという、似たような行動をしてたわけだな。
そして、こういう流れを全部、蘇我氏は分かってたんだと思う。
どうりで彼らは天皇家に不遜な振る舞いをしてたわけだ。
おそらく彼らは、天皇家を「単なるグッドルッキングガイの末裔」だと理解して見下してたんだよ。
そう理解してる蘇我氏を封じる為にこそ、中大兄皇子は敢えて強硬策に出たんだね。
何となく、歴史の流れが分かってきたわ。
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それにしても、みんな血統というものにやたらこだわるんだよねぇ。
犬なんか見てると、血統書付きじゃない雑種でも全然かわいいんだけど。
鎌倉幕府の後に室町幕府を開いた足利氏は、源氏の血統にある一族だったという。
それはまあいいとして、さらに後に幕府を開いた徳川氏までもが源氏の血統にあると主張してたらしい。
足利が源氏の遠縁だったのは事実にせよ、徳川の方は怪しいよね。
だけど、そう主張することで正統な将軍家だということにしておきたかったんだろう。
こういう血統至上主義を前近代的だと皆さんは馬鹿にするかもしれないけど、意外と現代だってそういうのはあるんだよ。
たとえば、「ワンピース」の主人公ルフィ。
彼は海軍の英雄ガープの孫であり、革命軍リーダー・ドラゴンの息子というバリバリのエリート血統。
「ドラゴンボール」の悟空だって、戦闘民族サイヤ人の血統。
「BLEACH」の一護だって、死神とクインシーの混血に加えて、ホロウまで混じったというチートな血統。
ジャンプ等の少年漫画は、いまだバリバリの血統至上主義である。
だからサムライや公家の血統至上主義を、実は馬鹿にできるほどの立場にはないんだよ。
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