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「チ。」NHKが、また凄いアニメを始めやがった!

今回は今期秋アニメ最大の話題作のひとつ、「チ。-地球の運動について-」の感想を書こうと思う。
さすがNHK、また凄いアニメを始めたもんだね。
第3話を見て、久々に震えてしまった。

いきなり神回やないか!

「チ。-地球の運動について-」(2024年)

これの原作は、ビッグコミックスピリッツに連載された漫画だという。
この原作自体がとても評価高く、

・「第14回マンガ大賞」2位
・「このマンガがスゴイ!2022」オトコ編2位
・「手塚治虫文化賞」マンガ大賞受賞
・「星雲賞」コミック部門受賞
・「日本科学史学会」特別賞受賞etc

各方面から絶賛されてるっぽい。
まぁ、15世紀ヨーロッパの地動説研究者たちの姿を描くという、かなり高尚な漫画だからね。
それにしても地動説研究者というのは、また何とも地味なモチーフである。
こんなのでエンタメが成立するのか?と思ったが、ちゃんと成立してましたわ。
どうやら、当時の地動説研究はローマ教会に「異端」とされてたらしくて、この研究に関わること自体が一種の「闘い」だったみたいなのよ。
関わってることが発覚すれば、最悪、拷問⇒死刑。
多分、これは研究云々以上に、「闘い」の物語なんだろうね。

異端審問官による拷問

こういう弾圧、きっと昔は珍しくなかったんだろう。
確かに日本でも、幕末に吉田松陰らを処刑した安政の大獄とか、昭和初期の治安維持法による思想弾圧とか、割と近代になってもそういうやつはあったわけで・・。
だけどさ、そういうのって大体は為政者が「反体制思想」を取り締まる為にやってたことであり、少しばかり「チ。」の弾圧とはニュアンスが異なると思うんだが?
だって、ここで弾圧されてる研究者は皆、「反体制思想」から地動説研究をしてるわけでなく、ただ純粋に学者としての知的好奇心、および向学心からやってることなんだから。
それを捕まえて拷問、死刑だなんて、「神」とはそれほど器の小さい存在だというのか?

いや、その教会が捕縛した「異端者」が、神を否定する存在だというのならまだ話も理解できよう。
でもね、たとえばこの人物、学者フベルト↓↓

地動説研究者・フベルト

彼は、ハッキリこう言ってるのよ。

「神の偉業を理解してみせる。
ゆえに、私は聖書ではなく、自然を読むのだ」


そう、フベルトは無神論者ではないのさ。
むしろ神(創造主)の存在を信じており、だからこそ、その創造の基本機構を知りたいが為に地動説研究に至っているんだ。
これは、全く「神の冒涜」に該当しないと思う。
これのどこに非があるというのか?

これを弾圧するココロは、ホントいうと「神」云々は全く無関係であって、ただ単に教会の権威を保つだけの行為、つまり保身の為の弾圧である。
なぜって教会は地動説でなく、天動説を正しいと説いてる立場だから。
もし研究者が地動説研究の末にこれが正しいと証明しようもんなら、教会は長年に渡って間違ったことを「正しい」として広めてきたことになる。
誰よりも賢い雰囲気出して人々に説教してきた彼らが、
実は真理など何も分かってない、ただのお馬鹿さんだった
とバレてしまう。
そりゃマズイ!

・・てなわけで、教会の研究者弾圧は神の利益の為でなく、あくまで教会の利益の為だということ。
ただ、彼らの強みは、そういう醜い保身だろうと、神の名を語って正当化をできることだね。

中世の異端審問官

で、今となっては地動説は正しいことが証明されており、過去に教会が実行してきた拷問&処刑が
正しいことを主張してた人たちを、それを理解できないお馬鹿さんたちが異端者だとして拷問&処刑しました
という形になってしまったわけで、現在、教会はこれをどう弁明してるの?
いやいや、昔の教会は馬鹿だったんですねぇ・・
と、もはや他人事だとしてるんだろうか?

そういや、今でもキリスト教の福音派がダーウィン進化論を否定してる立場らしく、アメリカの一部の学校では理科の授業の際に、ダーウィン進化論を扱う時は福音派生徒の退席を認めている、という話を聞いたことがある。
・・めんどくせえな、おい。

いまだ、宗教って科学の足カセになってるんだね。
難しいところである。
ちなみに、私自身は「神」という概念についてはそこそこ信じてるけど、「聖書」なんてものは全く信じてないよ(クリスチャンじゃないし)。

そもそも、何千年も前のテキストを改訂もせずに使い続けるって、あまりにもお馬鹿さんじゃない?
普通、学校の教科書でも時代に合わせてしょっちゅう改訂するというのに。
聖書って改訂しちゃダメなものとされてるんだろうけど、そこまでがっつり信頼するってことは、じゃたとえば、旧約聖書の著者を信用に足る人物だと知ってるの?
知るわけないよね。

そもそも、あれはどこの誰が書いたものかも分からん書籍だよ

そんな出自不明のあやふやなものを「絶対」とし、あの書の中では異教徒を皆殺しにした人物を英雄として祭り上げたりしてるわけです。
で、それを根拠とし、

異教徒/異端は殺してOK!


というロジックがキリスト教圏(およびイスラム教圏)に罷り通ったわけでしょ?

十字軍

私がローマ教皇とかの偉い人の立場なら、絶対聖書の改訂を会議で提案するんだけどな~。
ちなみに、私が提案する聖書改訂版は、大体こんなイメージ↓↓

 月刊「聖書」11月号の表紙装丁イメージ

結構、十代少年少女を中心に売れると思うんだけど?

・・という冗談はさておき、話を「チ。」に戻そう。

とにかく、当時の欧州は科学発展を明らかに妨げる土壌だったわけよね。
なのに、その後の欧州は、天文学、物理学、生物学等、あらゆる科学分野で世界をリードしていくこととなる。
これ、逆に不思議だよな?
おそらく欧州の学者さんたち、めっちゃ頑張ったんだろう。
そこはマジで尊敬します。

一方、その15世紀、我らが日本の学者さんたちはどうしてたのかというと、ちゃんと天体観測はしてたんですよ。
幸いなことに欧州みたく弾圧はされず、それどころか公費を使い、国家の名の下に日々研究してたわけです。
その学問は「天文道」といい、その専門家は「天文博士」。
また、この博士の上司を「陰陽頭」という。
そう、もうお分かりだろう。

日本では、天文学を取り仕切るのは国家機関「陰陽寮」だったのよ。

つまり、当時の日本は

科学=陰陽道
・学者=陰陽寮に勤務する官僚(俗にいう、陰陽師)

という位置付けだったということね。
これは昔の天武天皇による政治改革が発端だったらしく、当時天皇なりに「迷信めいた古いおまじない等を全部払拭し、最新式の学術研究機関を設立しよう」として作ったのが陰陽寮なんですよ。
陰陽寮=今でいうNASA、と解釈してください。

まぁ「チ。」とは、だいぶ世界観が違うね(笑)。
どっちかというと天文観測も、易学、占星術としての研究だったらしくて、どうも地動説云々には繋がらなかったっぽい。

少し視点を変えよう。
皆さんは、こういうロジックを聞いたことないですか?

      <地球=大脳説>
       西洋=左脳
       東洋=右脳

確か、脳科学者の養老孟司さんが以前に言ってるのを聞いたんだけど、人間という個々の端末を「社会」という形で繋げば、それはニューロンで繋いだ脳細胞の集合体(つまり大脳)とほぼ同義になり、必然として「右脳」的なエリアと「左脳」的なエリアに分岐するものである、と。
これは地球規模の話に限らず、たとえば日本の関東と関西、米国の東海岸と西海岸、韓国の全羅道と慶尚道の例を挙げるまでもなく、必ず機能二極化の傾向が見えるものらしい。
市、町、村のレベルでも、案外そうなるものなんだってさ。

で、我らが日本は地球レベルでいうと「右脳」なのよ。
う~ん、確かに言われてみれば、

いまだ、こういう国↑↑だからなぁ・・(笑)。

一方、「チ。」の欧州は、機能が「左脳」なのよ。
担当が「論理的思考」である。
だからこそ、たとえ教会の弾圧があろうとも、地球規模の左脳機能の前ではそれすら意に介さないものだったのかもしれない。

うむ、これこそ、本当の意味で「神のご意思」だよな?


「チ。」、マジでめっちゃ面白いので、未見の方は是非一度ご覧ください。


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