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歴史関連記事まとめ

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私が書いた歴史に関する記事をまとめています。
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2023年10月の記事一覧

いかにして崇徳天皇は最強怨霊となったのか

今回は「日本三大怨霊」の中でも最強と怖れられる、崇徳天皇について書きたいと思う。 仮にも元天皇という立場の人に対して怨霊扱いするのは失礼極まりないことと思うが、実際に歴代天皇はもちろんのこと、あの昭和天皇でさえ式年祭で彼の祟りを鎮めようとしてたわけで、そこまでガチでやられると逆に信憑性が出てきちゃうよね。 まずは、彼の身の上に何が起きたのかについて書こうと思う。 最初に、崇徳天皇の出生の秘密について。 公式には彼は鳥羽上皇の息子ということになってるけど、それは事実じゃないと

卑弥呼が最後に闘った男、卑弓弥呼

今回は、狗奴国について考えてみたい。 狗奴国とは何かというと、魏志倭人伝の中で「卑弥呼に従わなかった南の国」とされるところだ。 邪馬台国は、ここと戦争をしてたらしい。 それも短期決着とならず、勝敗の結果も魏志倭人伝に書かれてないところを見ると、狗奴国は結構善戦していたのではないだろうか。 大国に対して一歩も引かない気の強さといい、なかなか骨のある国である。 この国は男王のシステムらしく、その王の名は卑弓弥呼と記述されている。卑弓弥呼の読み方には諸説あって、「ひみここ」とか「

かつて異能力者だった日本の貴族

我々は子供の頃から日本史に慣れ親しんでいるので、将軍と天皇、ならびに幕府と朝廷というものを誰でもイメージをそれなりに掴めてると思う。 ところが、外国人だとそうはいかないらしいんだ。 事実、幕府と朝廷を英訳すると 幕府=Shogunate 朝廷=Imperial Court となる。 Imperial Courtは宮廷という意味だからまだ分かるとして、Shogunateの方は意味が分からないよね。 完全にShogunから派生した造語だと思う。 そう、本来なら将軍を英訳すればGe

聖徳太子とヤマトタケル、息子の意外な共通点

皆さんは、ヤマトタケルって実在したと思う? 彼は、とにかくキャラが立ってるよね。 戦えば無双の強さで、武器には草薙の剣という聖剣を持っている。 これってファンタジー物に出てくる「勇者」の設定、そのまんまだ。 あまりにも出来すぎのキャラなので、なんか作り物っぽい 私は、ぶっちゃけ実在してないと思う。 いや、正確にいうとモデルになった人物は多分いるんだよ。 ヤマトタケルは誰かが創作したキャラというより、日本全国に点在する英雄伝説をひとりのキャラに集約した「まとめ」っぽい偶像である

女帝・持統天皇の陰謀

今回は、持統天皇を取り上げてみたい。 この人は良妻だと賛美される一方で、権謀術策に長けた悪女だという声も多い。 良妻か、悪女か。 そのどちらにせよ、この人が恐ろしく賢い人だったことだけは間違いないと思う。 上の絵は、里中満智子先生の「天井の虹」という漫画である。 主人公が持統天皇。 私は読んだことないけど、この作品は32年の連載を経て最近ようやく完結したとのことで、いまや里中先生は日本で最も持統天皇に詳しい権威だろうね。 この里中先生は、持統天皇は決して悪女ではない、と。

天皇vs倭王 最後の九州決戦

今回は、歴代天皇の中でも特に重要とされる人物、継体天皇について書いてみようと思う。 なぜこの人が重要なのかというと、現代まで繋がる皇室の血脈は全てこの人から始まってるからなんだ。 それまでの天皇の男系血脈は、武烈天皇の代で途絶えてしまった。 でも、この「途絶えた」ってのも謎なんだよね。 確かに武烈天皇には子供がいなかったが、彼の親族に男子が誰もいなかったなんてことはないだろうに。 それはひとまず置いとくとして、とにかく重臣たちは武烈の崩御を受けて、次期天皇を探す遠征に出るわけ

応神天皇の本当の父親は誰なのか

昔にはDNA鑑定など存在せず、「この子の父親は誰か?」の真実を握るのは産んだ母親当人のみだったと思う。 よって、妻が「あなたの子よ」と言ってきたら、夫は「うん」と言わざるを得ない。 だから悪知恵のはたらく淀君などは、秀吉に「あなたの子よ」と嘘をつけたりもしたわけだ。 中国はそういうのを嫌い、妃のいる後宮に出入りする男性官僚はティンコを全員切り落とされていた。 日本はそこまで徹底してないので、皇子が絶対に天皇の子かといわれれば、そりゃ100%の保証は難しいよ。 そのへんは「源氏

日本最古の宗教シャーマニズムを解析

卑弥呼はシャーマンだったといわれている。 シャーマンというのは霊媒師で、降霊術で自らの体に霊を憑依させる類いの術師。 日本では東北地方のイタコの「口寄せ」が有名だね。 しかし、イタコは昔ビートたけしが漫才のネタにしたことがあって、ジョンレノンの降霊をしたらジョンレノンが思いっきり津軽弁で挨拶をしたとやらで、このネタ以降、イタコ=インチキという認識が世間に広まったと思う。 まあ、実際インチキは多いだろうね。 というより、私は特定の霊を降ろすというシステム自体がインチキだと思うけ

グッドルッキングガイだった神武天皇

日本最古の書物は古事記である。 しかし誤解してほしくないんだが、古事記が日本で初めて作られた本というわけじゃないんだ。 これ以前にも推古朝の時に「国記」「天皇記」が編纂されてるし、それ以外にも「帝紀」「旧辞」などがあり、これらは古事記や日本書紀の元ネタとなっている。 これ以外にも、実際はもっとたくさんあったと思う。 ただ、紙というのはどうしても朽ちるし燃えるし、古代の書物の多くが現存しないのは致し方ないこと。 朽ちずに残ったという意味では、日本で最古の書物は刻書土器・墨書土器

北条政子は悪女だったのか?

日本三大悪女というのがある。 その三人というのは、鎌倉時代の北条政子、室町時代の日野富子、安土桃山時代の淀君である。 今回は、この中で北条政子のことを取り上げてみたいと思う。 なぜ、彼女が悪女なのか。 ひとつに、彼女は「恐妻」のイメージがある。 旦那の側室を頑として認めずに愛人宅をぶっ壊した話は有名だが、これも捉えようによっては旦那への愛情の一種、ヤンデレってやつだ。 この程度で悪女とかいってたら、ちょっと政子が可哀相。 もともと政子は気の強い性格で、当初頼朝との結婚は家族

古事記編集部vs日本書紀編集部

天武天皇は、なんでわざわざ「古事記」「日本書紀」という2種類の歴史書の編纂を命じたのか、皆さんは不思議に感じたことはないか? 定説としては、古事記はカナ文字、日本書紀は漢文ということで各々を国内規格・国際規格に分けたということにされてるけど、それならまず古事記を作って、日本書紀はそれを漢文に翻訳すれば簡単に済んだ話だ。 でも実際は、記紀それぞれに独立した編集部を作って、この2つの編集部はほとんど連携することなく、独自に編纂を進めていったように見えるね。 その証拠に、同じ人物の

卑弥呼以前に倭王となった男、スサノオ

日本の歴史において、プロローグのメインキャストとして注目されるのが、まず卑弥呼である。 しかし、彼女の存在感の前で思いっきり霞んだ可哀相な人物がひとりいて、それが「漢委奴国王」なんだ。 この人物は日本史の授業でちょろっと触れられるだけで、ほとんど無視されてるといっていい。 中国から日本史上初めて金印を授かった偉大な人物だというのに、あまりにも扱いが雑すぎるじゃないか・・・。 といっても致し方あるまい。 だってこの人物、あまりにも情報がなさすぎるんだから。 まず「漢委奴国王」と

天皇は、どんなSEXをしてたのか

昨今、女系天皇は是か非かという議論がある。 やはり近年の少子化の流れは無視できず、皇室といえど男系一本では維持が難しいということだろう。 なんせ、今は一夫一婦制の時代だから。 一応は皇后にも人権というものがあり、すぐ産みなさい、大量に産みなさいと一人に重圧をかけるのはあまりに酷い。 一時期雅子皇后が心を病んだと聞くが、そりゃ当然そうなるでしょ。 周囲が、まるで彼女を「産む機械」かのようにして皇室に招き入れたんだから・・・。 この男系という問題を考える時、いつも私の頭に浮かぶ

小野小町と在原業平は肉体関係あったのか?

何で和歌は5・7・5・7・7というルールなのか、考えたことある? 一般的には中国の漢詩における「五言」「七言」の影響ではないか、といわれてるらしいね。 中国は、文字数で「五言」「七言」。 対して日本は、音数で「五音」「七音」。 「言」と「音」では似て非なるものだが、古代の日本としてその内容云々 より、まずは中国っぽく詩に一定のルールを導入することを望んだんだと思う。 和歌は他にも枕詞があったり、色々ルールがめんどくさい。 いや、これはわざとそうしてるんだよ。 わざとルールを複