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『月刊ココア共和国2022年11月号』佳作掲載と感想
詩誌『月刊ココア共和国2022年11月号』の佳作集に拙作「木になる君へ」が掲載されました。
佳作集は電子版のみの収録です。よろしければご鑑賞ください。
以下はココア共和国11月号を読んで気になった詩についての感想です。
森崎 葵「プレゼントはいりません」
「もらえるものは病気以外はもらっとけ」なんて言葉もありますが、贈り物を受け取ることも時には息苦しく感じることがあったりする…ことを思い出
女が生まれた。服を着た女が。
女が生まれた。服を着た女が。
父は服のみを産み落とさずにいたことを嘆いた。
母は祖母によく似た糸を裁つ頃にようやく笑みを浮かべた。
女は赤子ではなかった。
女は少女ではなかった。
女は母ではなく、女は父でもなかった。
女は老婆ではなかった。
ただ女は服を着た女であった。
女の産声は産婆の耳鳴りに掻き消されて誰の耳にも届かない。
胎盤を透かして見た臀部の裏の襞の間にかいた汗の一滴を波が攫っていく。