北京語と広東語
「まるで別の国の言葉だな~・・・」
大学で北京語専攻だった私が、初めて広東語を耳にした時の感想です。
どのくらい違うか、比較的わかりやすいのが数字でしょうか。
日本語に無い音が多いので、カタカナで書いてしまうと正しくは書けませんが、北京語と広東語の違いを目で見ていただく為に、敢えて表現しきれない分を無視して日本語表記してみると、
北京語:イー、アル、サン、スー、ウー、リウ、チー、パー、ジウ、シー
広東語:ヤッ、イー、サーム、セイ、ンー、ロッ、チャッ、バッ、ガウ、サップ
最初の一から違う事がおわかりになるかと思います。
北京語の1~10↓↓(1~10までの発音は最初から1:02辺りまで)
そして、こちらが広東語の1~10↓↓(連続読みは2分54秒から)
ま~、勿論方言なので似てるっちゃ似てますかね。パッと聞いた感じ結構音違うな~って感覚は伝わるかと思います。
もう少しまとまった文章を聞くと全体のイメージがつかめるかと思いますので、私の大好きなアクション俳優、林正英さんが主役を務めた映画の冒頭部分を例にとってみたいと思います。(ただ自分の大好きな林正英さんを出したいが為の企画です)
昔「霊幻道士」という中国版吸血鬼(キョンシー)映画が流行りまして、林正英さんが主役の道士を演じております。
こちら、まずは北京語から。
続きまして、同じ映画、同じ冒頭シーンの広東語版。(本編は約1分6秒から)
北京語は直線的で硬くてメリハリがクッキリしているイメージ。
広東語は曲線的で柔らかくてナアナアと繋がっているイメージ。
これは、北京語のワードが大体4つの発音の種類に分かれているのに対して広東語は6つ。(テキストによっては8つとも9つとも言われています)。
単純に音のバリエーションが増えれば点と点で結ぶ時、点が多くあれば、点を結ぶ線は曲線に近づき、少なければ直線的になる事はイメージできるかと思います。
大学の一日目の授業で、北京語の直線的な音の美しさにノックアウトされた私でしたが、広東語の音律の面白さを聞いた時、速攻浮気しました。
北京語に一目惚れしドハマりして、しつこくしつこく追いかけ回しておきながら、広東語に会った瞬間、北京語がどうでも良くなるくらい広東語に心を鷲掴みにされてしまったという・・。
コレが恋愛だったら「ふてえ野郎」ですが、広東語から感じ取る事ができる文化レベルの高さは、正直北京語の上を行くと思います。
日本の学校で漢文として学ぶ有名な唐詩なども、実は北京語読みではなく広東語の発音で読んで初めて韻を踏んでいるのがわかるものもたくさんあるのです。
マニアックなネタで恐縮ですが、広東語の魅力を発信したいが為に一時はYoutuberになろうかとまで本気で考えておりました(余りにニッチ過ぎて実行しておりませんが)
広東語にまつわる歴史や文化、魅力を発信するのが中国語関連では私の一番したい事なのです。
ニッチ過ぎて、また動画編集の技術もなく、そこにどれだけ膨大な時間がかかってしまうだろうと思うと怖くて始められなかったYoutube。
でもnoteなら!
現時点で既に断捨離に音楽に武道に東洋医学、等々でとっ散らかっているので、これに紛れて細々発信していけたらいいな、と思い至りました。
微妙に脱線してしまいましたが、この香港、1997年に中国に返還されてから早20年余り。学校での北京語教育も少しずつ浸透してきています。
北京語と広東語は音だけでなく、漢字も簡体字と繁体字で異なっているのですが、香港と同じ広東省である広州や、香港と陸続きの深圳でも、今どんどん繁体字表示が駆逐されています。
個人への働きかけではなく、まずは道路や街の名前の看板から変わっていきます。ここから着手すれば誰も自分には直接被害も面倒もないので文句は出ませんからね。
こういうやり方はホント「流石」だなと思います。
会話に関わる音律よりも、まずは気にならない表記を少しずつ変えてしまおうという政策らしいです。
繁体字社会の香港でも微妙に尖沙咀あたりの一部の道路表示に簡体字を使っているところも近年既に出てきました。
広東語がアブナイ!
興味のない人にも興味を持ってもらえるような楽しい記事でこのシリーズを維持できるよう努めますので、よろしくお願いします。