これぞ荒療治の真骨頂④~松葉杖生活からの脱却~
これはこの記事の続きです。
激痛カッサと火療を終えヘロヘロになって生還した翌朝、私は既に効果を感じていました。
心配した顔や手など露出部分の内出血は、たった一晩でほとんどわからないほど退いていました。
膝を焼かれた表面的な痛みや、筋の痛みは勿論全身あちこちあるものの、今日は足がちゃんと上下繋がって一本の足として私の身体を支えている、という安定感。
これまでは、膝関節のところで足が分かれて、膝下半分で膝上から頭まで全部を支えているような感覚でした。
関節の座りが悪いというか、関節部分に妙な浮遊感があり、不安定な膝関節の上に、無理ヤンコ自分の身体を載せて歩いているみたいな。だから一歩一歩歩く毎に、関節が石臼みたいに擦れ合って痛くて重くて支えきれないから両脇から松葉杖でサポート、みたいな。
昨日のあの信じ難い痛みも、喉元過ぎれば何とやらで、これはもしかしてもしかするかも?友人Yが「神医者」と呼ぶだけはあるのかもしれない?という気持ちが湧いていました。
そして、お昼には昨日の秋先生の弟子コが、本当にあの山奥から煮出した漢方薬をわざわざ私の事務所にまで届けに来てくれました。
「どう膝の調子は?」「何か、めっちゃいいよ!」「で~しょ~」と言って交通費も取らずに帰って行きました。
何?普通にめっちゃいい人達やん!
・・・でも、私にはもう一つ関門が残っていました。
彼氏です。
合気道の受け身で失敗して、首のむち打ちから腰、膝を壊して、高額のカイロプラクティックに二年も通い続けて、何の効果もなかった事にブチ切れて即効解約させられると、中医を紹介してくれた彼氏K(今は旦那)。
私のこの全身内出血や、この膝の無数の根性焼きを見たら、「こんな無茶苦茶な民間療法なんかに手を出して!」と、ブチ切れられるんじゃないかと思いました。
でも、どうにも誤魔化しようのない状態なので、仕事が終わって職場に迎えに来たKと晩御飯を食べながら事情説明。
すると!
意外にもKは怒るどころかむしろ上機嫌。
「あ~『お灸』ね。
それは一旦体に傷をつける事で、治癒力を高める方法だよ。
怪我が長期間にわたると、順応すべきでない悪い変化にも人間の身体はどんどん順応していってしまう。そこにわかりやすい傷をつける事で、ここに不具合が起こっているよ、という事を脳に認識させるんだ。すると、傷を治しに多めに派遣されてきた白血球とか体液とか酸素とか、色々有効成分が、そこに起こっている不具合自体をついでに治してしまうんだよ。」
ん?
・・・ちょっと待って。
・・なぬ!?
『お灸?!』ですと!?
あ、コレ、「火療」って・・・この根性焼きって、つまり「お灸」か~。Kが事も無げに言ってのけた、その余りにも耳慣れたワードに、私はまたも目からウロコが落ちました。
そういう事か。この根性焼きがマイルドに進化したバージョンが、今のお灸って事ね。ほっほぉ~。
そして、その火療が「お灸」だと知った衝撃とは、また別に、
改めて人体の不思議に感動し、昨日「痛みだけで充分人が死ぬレベル」とか「もう絶対二度目はない」とか心の中で毒を吐きまくった自分の無知が恥ずかしくて情けなくなりました。あそこで逆ギレとかしなくてホントに良かったと思いました。
何も患者を乱暴に取り扱うとか、丁寧じゃないとか、そういう事が「荒療治」じゃなくて、これこそが荒療治のホントの正体、真骨頂なんだ!!
私は心の中で衝撃的な感動と興奮に包まれておりました。
それから、漢方薬を煮出す勉強をしに来いと言われた週末、漢方薬の煮出し方とか当然知っているのに、秋先生の施術のやり方に興味津々のKがバイクで連れて行ってくれました。私がおばちゃんに教えてもらっている間、Kは秋先生と何やら楽しそうに東洋医学談議で盛り上がっている様子。
しかも、普通、傷や怪我が治る時って、「治り」の実感ってあまりない事が多いと思います。少しずつ良くなっていって、そのうち治ってる、的な。
でも、この火療は、回復を自分でしっかりと感じられました。
「今日は昨日より楽だな」「今日も昨日より楽になってる」とホントに目に見えて、日一日と状態が「変化」しました。
そのV字回復的な、圧倒的な回復力は、松葉杖で出勤していた私から見ればまさに「奇跡」!!
そうして私は一か月後、再び秋先生のところで、もう片方の膝も焼いてもらいました。その時はKも一緒に来て、Kも一緒に3時間のカッサを受けて同じ苦しみを味わいつつ、私は再び、前回と全く同じ工程(どうせ完全無視なのに痛い箇所を油性ペンでマークされて、吸ってるタバコから線香に引火、からの~↓↓)
それから私とKの秋先生通いは、秋先生が二年後にお亡くなりになるまで続くのです。
ちなみに現在のやいとの痕。白くなっている部分。(治療後10数年経過)
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私の膝は、それからも季節の変わり目や、長い階段を上り下りすると疼いたりして、この後もメンテナンスは続きますが、膝に大きく負担をかけるようなこと(ダッシュしたり、高いところから飛び降りたり)は避ける等、気を付けながらも、車椅子や松葉杖からは免れて、カンフーやジョギングをするまでに回復したのです。