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発想力をどう培うか? 前編

発想力をどう培うか?というのは、様々なビジネスの場で悩みのたねかもしれません。今回は、発想力をどう鍛えるかという部分について考えをまとめたいと思います。
 
 そもそも私の仕事は大学教員であり、研究者であり、新しいこと、0から1をつくる仕事でもあります。そして学生にそれを教育する仕事でもあり、日々様々な書籍から得た経験や、試行錯誤する中で得た経験値として本記事にまとめています。
 


発想力を培うのは効率が悪い

 まず、題名と矛盾するようですが,第一に発想力(いいアイデアを思いつく能力)を直接的に培うという考えは一旦諦めたほうがよいと思います。非常に困難かつタイパやコスパの悪いことです。ましてや部下や子供の発想力を鍛えようなどと考えるのは、かなり難しいことだと思います。
 
 じゃあ,発想力というものがあって、それを高めることができないのかというと、そうは言っていません。あります。優先度として、個々人の発想力とやらを鍛えるという方法が非効率的と考えているということです。
 
 できるとすれば、それは生活習慣や仕事環境を改善するほうが圧倒的に効果的と考えています。つまり、自分の発想力を鍛えようと、発想力はどう鍛える!のような自己啓発本を何冊よんでも多分効果は得られなかった人が多いと思います。
 
 そもそも発想力なるもの、つまり何か新しいものを見出す力は、それぞれ人が根本的に持っており、誰かが決めた基準にそう発想力という物差しで比較されているにすぎません。この謎の指標でくくられているだけです。何か新しいことを行う、思いつくということの得意な方向性や分野が人により差が激しくあるはずです。つまり、運動能力をどう高めるかという話で考えてみると理解しやすいかもしれません。卓球、テニス、野球、持久走、どれも運動能力かもしれませんが、明らかにベクトルが違います。類似するものももちろんあります。

何をすれば発想力が高まるか

 個々人の持つ発想力自体を鍛えるのはまず一旦忘れて頂いて,個々人の持つ発想力を最大限にいかせるかどうかに注目するべきと考えています。そして発揮できるかどうかを左右するのが、生活習慣や仕事環境による影響が多大にあると考えています。

生活習慣と発想力

 例えば、常に眠い、頭がぼんやりした状態の人が、さえた発想できるかというとなかなか難しいのではないでしょうか? 炭水化物を噛まずにドカ食いして、睡眠不足で、過剰に甘いものばかり食べて、そういう状態で脳を活性化させて、よいアイデアを生むのは難しいでしょう。
脳も生体の基幹の1つであるという事実を考えれば、食や睡眠の質の向上は必須といえます。
また、ストレスが無さすぎる状態も、過度なストレスな状態も脳の働きを活性化しません。適度に脳を使うような時間、散歩や読書などリラックスする時間の緩急をつけられる環境が発想につながるわけです。
 脳が仕事をするような食生活、睡眠習慣、集中するための生活のルーチンなどについて工夫したほうが,そもそもの発想力を鍛えるために、信憑性の怪しい何かに手をだすよりよほど効率的といえます。

環境と発想力

 発想力を高める環境について考えてみましょう。昨今の大学は、新入生を呼び込むために、いわゆるスタバみたいな図書館や、フリースペースを多く設けています。これは、リラックスする空間があるほうが、学習効率があがるということを配慮しての空間づくりでもあります。一方で、すべてがスタバ状態で、フリースペースの大学や職場をつくると、逆効果だともいえます。適度な緊張感、つまり集中する場所が1つは確保できているという安心感がないからです。言い換えれば、集中するためのプロセスの確保が重要です。この席に座れば本気モードというルーチンがフリースペースでは組めない場合が多いので、集中が必要な業務の成績下がるといえます。フリースペースでも例えば席予約ができたり、個人用のロッカーが確保されているなどの集中を促す環境をサポートする仕組みづくりが重要です。
  以上のように、 最低限の個人スペース、リラックスできる共有スペース、健康な食生活、睡眠や余暇が十分にとれるワークライフバランス、このような発想力を高める工夫が重要と考えています。これらの施策を全てやった上でも、組織としての発想力が足りないとすれば、次はアイデアを報告したり議論するレポートラインなどマネジメント面を見直したほうが、個々人の発想力とやらを鍛えるよりは、やはり効率がよいのではないかと個人的には考えます。

さいごに:発想力自体と培うには?

 それでは発想力を自体を向上させるには何が重要と考えているかについて簡単に説明します。それは大きくわけて4つ経験的知識を増やす、学問的知識を増やす、論理的思考を鍛える、観察力を鍛える、です。学問的な知識を増やすは、多くの専門書や論文を読んで、そもそも人が知らない知識を知っているということです。巨人の肩の上に立てば、新しい発想も生み出しやすいので当たり前です。次に経験的知識を増やすです。何か新しいことにチャレンジ、あるいは一般的ではないこと、陶芸でもいいですし、カヤックでもいいですが、にチャレンジすると、失敗したり、コツをつかんだりします。そういう経験をどんどん積み重ねていき得られる個人の判断基準や思考パターンの形成は、新しい発想の原動力となります。そして後半2つは少しわかりづらいし、意識していない人が多い気がします。 これについては、また別の記事にまとめたいと思います。

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