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「未熟」は悪なのか?常識を破る方法(ビギナーの価値)

先日仕事で何を話すにも枕詞に「まだ十分ではないのですが…」「検討はこれからなのですが…」「まだ知見が無いのですが…」と言い訳めいた言葉をたくさんつける人と出会いました。客観的に見ると、自分を守るためにガードをしている感じです。

彼の発言の中身自体はそんなに筋違いの話をしているわけでもないので、とても勿体ないと感じました。そんな卑屈にならなくても良いのにと。自ら自分で価値を下げている感じがしました。

しかし、彼のケースは特別ではありません。人は自分が未熟であることを隠しがちです。改めて、未熟であることについて考えてみました。

未熟とはどういう状態か

「未熟」という言葉の意味は「学問・技芸・人格などが、修練不足で十分な域に達していないこと」。私は、特に仕事においては、あらゆる人が「未熟」な状態なのではないかと思います。

最近よく「VUCA」という言葉を見聞きします。

VUCA
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた言葉。1990年代後半にアメリカ合衆国で軍事用語として生まれ、2010年代になってビジネスでも使われるようになった。

「今はVUCAの世界になった」というような使われ方をします。要は、移り変わりが激しく、先々不透明な世の中ということです。テクノロジーが発達しAIの進化や5Gが当たり前になる世の中では、これまで仕事として成り立っていた職業が突然なくなったり、考えもしなかった業界と競争環境になったり、世の中、目まぐるしく変わります。

そんな環境では誰もが「未熟」なのではないでしょうか。むしろ成熟することがない。逆に成熟は成長が止まるということ。成熟したと思ったらその時は実は衰退を意味しているのかも知れません。そう思えば、「未熟」がスタンダードだとも言えます。

未熟が可能性を解放する

「未熟」について、芸術家の岡本太郎さんは熱い言葉を残してくれています。とても勇気をもらえる言葉なのでご紹介します。

未熟を決意することは、素晴らしいこと
自分は未熟だといって悩んだり、
非力をおそれて引っ込んでしまうなんて、
よくない。
それは人間というものの考えを
まちがっている。
というのは人間は誰もが未熟なんだ。
自分が未熟すぎて心配だなどというのは
甘えだし、それは未熟ということを
マイナスに考えている証拠だ。
ぼくにいわせれば、
弱い人間とか未熟な人間のほうが、
はるかにふくれあがる可能性をもっている。
熟したものは逆に無抵抗なものだ。
そこへいくと、未熟というものは運命全体、
世界全体を相手に、
自分の運命をぶつけ、
ひらいていかなければならないが、
それだけに闘う力というものをもっている。
人間はマイナス面のほうも多くもっている。
マイナスの面があればあるほど
逆にファイトを燃やして、
目の前の壁と、面と向かって対決するわけだ。
自分が未熟だからと
消極的になってしまったら、
未熟である意味がなくなってしまう。
そういうのは未熟のまま、だらしなく
熟したことになってしまうのだ。
未熟を決意するのは、素晴らしいことだ。
「自分の中に毒を持て」岡本太郎著 から引用

何ともエネルギーが湧いてくる熱いメッセージですね。自分を弱い人間、未熟な人間だと理解した上で、ファイトを燃やして壁を乗り越えよと。未熟はあふれるほどのパワーを内在している状態ということですね。そう思えば、ポジティブに思えてきますね。

ビギナーズラックの力

ビギナーズラックを経験した事がある方も多いと思います。私も仕事で今までの経験上、ビギナーズラックだったと思える1発目のヒットというのがいくつかあります。それは、その分野やカテゴリーについて「知らなかったからこそできたアイデア」がほとんどです。純粋な視点で、その業界やカテゴリーの常識を根底から見直した「そもそもなぜ○○は必要なの?」といった問いが新しい価値を生んでいくのだと思います。

こうした初心者のような感覚、子供のような素朴な視点をもって、「新たな問い」を立てる意識でいることが、常識を超えた新しい価値を生むのだと思います。

その時の強力なパワーワードは「そもそも」です。この言葉の後ろには常識に異をぶつける、前提から見直す言葉が続きます。この視点は意識すれば誰でも持つことができます。でも意識せずとも持てる人がいます。それが、新参者、初心者いわゆるビギナーです。その業界、カテゴリー、分野において知識がない。つまり、「常識」を持ち合わせていない状態。だからこそ、ピュアな目で、「そもそもなんでこんな複雑なことしなければならないの?」と現状にNoをぶつけることができるのです。

そう考えると、「未熟は力」だと言えます。

まとめ

未熟であることは誰もが隠したいことであり、未熟でない自分をなんとか取り繕うために、日々いろんなことをしています。しかし、未熟である自分を認めて、それを強みに捉えることで、そこまでネガティブに考える必要はないのかもしれません。

未熟であるからこそ気づけるピュアな視点があり、それは「強み」です。常識にとらわれないイノベーティブな視点は新しい価値を創造する起点になりえます。大切にしていきたいですね。

さらに、この強みを自分の中に持ち続けるには、新しい環境に身を置き続けることも大切です。常にビギナーである感覚を持ち続けることで、刺激あふれる毎日を送れ、日々成長を感じれるのではないかと思います。

置かれた境遇をネガティブに捉えず、その状況だからこそ持てる視点を大切に、ポジティブに日々成長していきたいですね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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やわらかメガネりょう
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