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なぜ不安は抜けないのか?シンプルで意外な解消方法

「考えても仕方ないのは分かっている。でも考えずにいられない・・・」そんな時ってありますよね。後々振り返ると、なんであんな事に悩んでたんだろうと不思議に思ったりしますが、その瞬間は不安に苛まれます。

こうしたコントロールが効かない感情から抜け出すための工夫について考えをまとめてみます。

理性で何ともならない厄介者「情念」

心の中にあって理性的には片づけられないものを「情念」と呼びます。例えば「不安」「憎悪」「嫉妬」「絶望」「悲しみ」などのネガティブな気持ち。また「驚き」「喜び」といったものも情念の中に入ります。

要は「自分の意志で制御することが難しい感情」のこと。この感情はときに人を激しく突き動かします。ネガティブな情念は声を荒げたり、感情的に罵ったりといった過激な行動の引き金になったりします。

「幸福論」で有名アランは「情念の暴走こそが不幸の根本的な原因である」と説いています。この暴れがちな情念。どうコントロールするべきでしょうか。

アランはその鍵を握るのは「意志と共に行動を起こすことが大事」とのこと。特にこの「行動」が重要です。

例えば「大勢の前でプレゼン」をするケース。開始前は「うまく説明できるだろうか」「時間内に収まるだろうか」などと不安に支配されてしまいます。しかし、いざ話し始めたら、その不安はどこかへと消えてしまいます。平常心を取り戻し無事プレゼンを終えることができます。この不安を追い払ったのは立ち上がって、一礼し、話し始める、という一連の「行動」です。行動せず、座ったまま考えてばかりいると不安がどんどん膨らみます。アランは「考えるよりも行動しなさい」と説いています。

似たようなケースは日常にもあります。仕事中にイライラしていたけど、トイレに立ったら歩いている内にイライラがなくなった。家でもんもんと考えてイライラしていたけど、買い物に外に出たら気が楽になった、といった経験はありませんか。これは「行動」が情念を拭い去ったケースです。要は「体を動かす」ということ。とてもシンプルですが、効果的な手法です。

アスリートの「ルーティン」は情念対策

試合の前に極度なストレス環境に置かれるトップアスリート達。彼等はこの情念とうまく向き合っています。その方法の一つが「ルーティン」。適度な緊張感は自分のパフォーマンスを最大化するためになくてはならないものですが、度が過ぎると自分の実力を発揮しきれません。その緊張を我がものとするためにアスリート達は自分なりのルーティンを持っています。

この言葉が市民権を得たのはラグビーの五郎丸歩さんですね。拝むように手を合わせてからキックに入るあの一連の動作ポーズで知った方も多いかと思います。他にもイチロー選手がバッターボックスに入る際に行う、バットを片手で大きく2度回して立て、ユニフォームの肩をつまみ、バッティング体制に入る。これもルーティンです。

こうしたルーティンという「行動」で、不安や心の乱れという情念を消し去り、目の前のことに集中しているのです。とても有効な情念対処法ですね。


ルーティンはアスリートだけのものか?

最近はビジネスアスリートという言葉もあり、ビジネスとスポーツ科学は融合してきています。スポーツの世界では心技体という考え方が重視されますが、実は仕事に向かうビジネスマンにもこの枠組みは当てはまります。

 心:仕事に向かうマインドセット
 技:そのタスクを達成するスキルセット
 体:生産性高く動ける健康な頭と体

そう考えると、スポーツアスリートが取り組んでいる「ルーティン」も、ビジネスマンや社会生活を営む人に広く取り入れるべきメソッドだと思います。

日々の仕事でパフォーマンスを左右するのは初め方と終わり方です。朝仕事をスタートする時、なるべくスッキリとした気持ちで始めたいものです。そこで、例えばデスクのイスに座る前に大きく深呼吸しながら背伸びをする、首をぐるぐると左右に回す、膝に手を添えて屈伸を10回するなど、体に刺激を入れるアクションをルーティンにすると、毎朝スッキリと仕事に向かえます。


終わり方も翌日のモチベーションに影響します。パソコンを閉じた後に大きく3回深呼吸する。1分間目を閉じて今の勘定やその日の仕事ぶりを振り返る、などその日の仕事を行動と共に「整えて終える」ことで、次の日の仕事の入り方もスムーズになります。


また、最近テレワークの仕事環境でオンラインミーティングをする方も多いと思います。ぜひオススメしたいルーティンはミーティングの参加メンバー全員でストレッチしてからスタートすること。自宅にずっといてストレスを感じているのは皆同じです。モヤモヤとした情念がメンバーに少なからず漂っています。それをストレッチという「行動」をする事で、払拭できます。

例えば「ストレッチスタート」など名前を付けると、「では本題に入る前に、初めにストレッチスタートしましょー」とメンバーも意識しやすく習慣化しやすいです。どんよりとした空気が一気に晴れて全員気分良くミーティングを始められます。これは私も取り入れてますが、めちゃくちゃ効果的なルーティンだと思います。

情念は染る

コントロールが難しい厄介者の「情念」ですが、タチが悪いのは個人の中だけで完結しない所です。まわりの人はもちろん、組織全体、さらには社会全体にも「伝染」します。

例えば電車の中で見知らぬ2人が口論になり喧嘩になるのに出くわしたことはありませんか。この時、2人だけではなくその車両全体が「負の情念」に毒されます。その場から逃げ出したい気持ちになります。

仕事のシーンでも大勢のミーティングで1人の人がネガティブな発言をして場の空気が一気に悪くなる事ってありますよね。そのミーティングの後はメンバー全員が負の情念を引きずったまま仕事をするので組織全体の生産性を下げかねません。

情念は「場の空気」を作ります。しかもこの情念は電波や文字に乗っても広まります。インターネットがある現代では、SNSという高速のプラットフォームに乗って情念が一気に広がります。

実は同情する。情けをかける。これも情念の観点からするとNGアクションです。同情した瞬間、情念を受け取ってしまい、その情念をまた誰かに染してしまう可能性があります。ウイルスだけではなく、負の感情の情念の感染も抑えることも社会全体を健康に保つためには重要なのです。

まとめ

人はどうしようもないことに悩みがちです。不安の感情が芽生えた時は「それは自分でどうにかなる問題か?」と踏みとどまって考えることが大切です。「嫌われる勇気」の心理学者アドラーはこのこのことを「課題の分離」と言いました。「それはあなたが解決すべき問題か?」と問う。もしNoなら悩む必要はないのです。

もちろん自分の問題であり、避けられない不安に直面することもあります。その時には「行動」、つまりカラダを動かして情念を取り去りましょう。日々習慣的に不安やイライラに悩む場合は、生活にルーティンを摂りいれましょう。少しの工夫で、不要な情念を低減し、落ち着いたキモチを取り戻すことができます。


情念は伝染します。だからこそ、社会全体の幸福のために、個人個人がなるべくポジティブな言葉を使う。そして、同情ではなく、感謝しあう事が大切なのだと思います。


この辛い状況はもうしばらく続きそうですが、「行動」の工夫で、自分の気持ちを守っていきましょう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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やわらかメガネりょう
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