既読機能のオモテとウラ
SNSの中で最も罪深き機能をひとつあげるとしたら何を選びますか?
色々と候補は出てくるかと思いますが、僕は「既読」を推したいです。
LINEでお馴染みの既読機能は、良くも悪くも多くの方の感情を揺さぶってきたのではないでしょうか。
本日は、私たちの生活で非常に身近な存在である「既読」ついて、どんな影響をもたらしているのか、そしてなぜ既読機能は存在しているのか。
そんな「既読」のオモテとウラについて考えていきます。
1 既読のオモテ
既読機能のメリットってなんでしょうか?
最大のメリットは、コミュニケーションの円滑化にあります。
既読機能があれば、メッセージを読んだことが相手に伝わります。
人間、「読んだのに返さない」と相手に思われるのが嫌なため、既読をつければできる限り早く返信します。
そのため、後回しにさせない円滑なコミュニケーションが促されるというのが既読のメリットです。
また、待っている方からすれば、相手の状況が判断できるというメリットがあります。
LINEの場合だと、そもそも既読機能を導入したのは、災害時などで相手の状況を容易に判断できるようにするためだそうです。
また、日常においても相手からの返信が来ない時に状況を想像することができます。
メッセージを読んだが返信をしていない
メッセージを読んでいない
既読機能によって相手がどちらの状態であるのか分かるため、緊急性があるのに既読がつかなければ、電話で連絡を入れるなどの対応が可能です。
このように、円滑なコミュニケーションの促進と相手の状況把握が容易にできる点が既読機能のメリットになります。
2 既読のウラ
さて、メリットを書いてきましたが、そんなのメリットじゃないよと思った方も多いのではないでしょうか?
僕もです(笑)
相手とたくさんコミュニケーションをとりたい方にとっては、既読機能により返信率が高まることはメリットでしょう。
一方、自分のペースで返信したい、そんなにSNSに時間を取られたくないと思っている方にとっては既読機能はデメリットの方が大きいです。
中国のコミュニケーションアプリ「WeChat」は数少ない既読機能を搭載していなアプリなのですが、運営するテンセントがユーザーにあるアンケートを行いました。
それは、既読機能について是非を問うアンケートで、75%ものユーザーが反対票を投じたようです。
「既読」はある種の強迫観念をユーザーに与えます。
相手からのメッセージを早く見なければならない
メッセージを見たら早く返さなければいけない
既読による無意識の返信強要は、ユーザーにとってはストレスでしかありません。
言ってしまえば、既読機能は個人の「時間」と「選択」の自由を奪っているのです。
また、返信を待つ方にとっても、既読機能はストレスを与えます。
既読がついているのに返信がない。自分のメッセージが悪かっただろうか。
既読機能があることにより、「見ているのに返さない」という状態が明らかにされてしまいます。
「見ているのに返さない」のは、待っている側からすれば残酷なものです。
実際は相手が忙しかっただけでも、無用な想像をしてしまいストレスが溜まります。
送る側からしても、受け取る側からしてもストレスの方が多い既読機能
どうしてそんな機能がまだ残っているのでしょうか。
3 既読のウラのウラ
ユーザーにとってストレスの多い既読機能を、どうして運営企業は残しているのか。
それは、企業にとって既読機能はメリットしかないからです。
既読機能は、ある意味返信を強要します。
そして、返信が強要されることにより、メッセージを送り合う回数は必然的に増えます。
つまり、既読機能はアプリを利用する回数を簡単に高めてくれるのです。企業にとってはやめる理由がありません。
既読機能でストレスの溜まったユーザーが、他のアプリに移行してしまったら意味がないのでは
そう感じる方もいると思いますが、以前の記事でも書いたとおり、一度その国に定着したコミュニケーションアプリを変えることは非常に難しいです。
よって、一度定着さえしてしまえば、既読機能によってユーザーのストレスが溜まろうとも、他のアプリへ移行される心配がないのです。
圧倒的な「アクセス数」を生み出す既読は、企業にとってメリットしかない
これが既読のウラのウラです。
さて本日は、既読機能の「オモテ」、「ウラ」、そして「ウラのウラ」について考えてきました。
極端な話ですが、国民のSNS使用時間を増加させ、ストレスを与える既読機能は、国力を下げる一因にもなり得ると思います。
LINEから既読機能が無くなる日はなかなか来ないとは思いますが、新しいコミュニケーションアプリに移行する日には、既読がないものが定着することを僕は切に願っています。
本日も最後までありがとうございました!
LINEのセキュリティ問題を皮切りに、3部作に分けてコミュニケーションアプリを取り上げてきました。
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