【心を蝕む?】危険なSNS、クラブハウス
2021年冬、あるSNSが突如大ブームを引き起こしました。
そう、クラブハウスです。
招待された人のみが参加できる音声SNSで「ここでしか聞けない話が聞ける」「有名人と話せるかもしれない」などといった理由から大ブームになりました。
さて、使ったことがある方に聞いてみたいのですが、正直なところクラブハウスってどうでした?
僕も友達に招待してもらい1ヶ月ほど使ってみたのですが、人間の心理を捉えたとても危険なSNSだと感じました。
今日は、クラブハウスがブームを引き起こした理由から、危険だと思う理由まで、心理学的な観点から考えていきます。
1 クラブハウスがブームを引き起こした理由とは
クラブハウスは、どうしてここまでのブームを引き起こしたのでしょうか?
コロナ禍という環境も大きな影響を与えたと思いますが、僕は、3つの「感」がブームを呼んだと思っています。
■ 特別感
まず一つ目の理由は、招待制が作った「特別感」です。
クラブハウスの大きな特徴ですが、誰でも入れる訳ではなく、友人などから招待してもらわなけらば入ることができません。
しかも1人につき2人しか招待できないため、初期のブーム時にはメルカリで招待コードが5000円で売買されるほどの特別感がありました。
「自分は選ばれた人間だ」という特別感は人間にとっては心地よいもので、選ばれた人間だけがいるSNSという空間に快感を感じるものです。
また、本当はクラブハウスに興味を持っていなかった人でも、選ばれないと入れないという希少性に価値を感じてしまい、招待されたいという欲求が呼び起こされます。
招待制が作った「特別感」
クラブハウスブームを作った大きな理由です。
■ ここでしか見れない「限定感」
クラブハウスのもう一つの特徴が、録音禁止です。
つまり、「今」聞かないと一生その話を聞くことができないのです。
録画はもちろんのこと、見逃し配信アプリからYouTubeまで、私たちは「好きな時に好きなものを見る」という環境に慣れてきました。
そんな中、今しか聞けないというSNSは明らかに異質です。
人間は本質として、「損」に強く反応します。
つまり、今聞かなければもう一生聞けないという損失に対してどうしても反応しやすいのです。
また、クラブハウスの特徴として有名人が多く活用していたという点があります。
有名人同士が、「今」「ここでしか」聞けない話をする
聞きたいという本能を呼び起こすには、充分すぎるほどの環境が揃っていたのです。
■ 期待感
クラブハウスがブームを引き起こした理由、最後の「感」は「期待感」です。
クラブハウスには、挙手機能というものがあります。
基本的には選ばれた人間しか話すことができないのですが、聞いているだけの人でも話す権利が与えられることがあります。
それが挙手制度で、挙手をして許可されると、自分も選ばれた人間の一人として会話に参加することができるのです。
これは非常に強力で、「もしかしたら有名人と話せるかもしれない」という感情は、クラブハウスを使う大きな理由になります。
また、基本的に人間は「自分のことを知って欲しい」という欲求が強い生き物です。
挙手をして、自分に発言の機会が与えられたら、多くの人に自分のことを知ってもらえる。
クラブハウスの挙手制度は、人間の本質的な欲求を呼び起こす非常に強力な制度になります。
この3つの感「特別感」「限定感」「期待感」は、クラブハウスブームにおいて大きな役割を果たしました。
しかし、この3つの「感」、非常に危険なものなんです。
2 クラブハウスの危険性とは
僕は1ヶ月ほどクラブハウスを使ってみたのですが、正直クラブハウスを使っている時の精神状態は良くなかったです。
こんな記事が出るように、クラブハウスブームは以前と比べてかなり落ち着いたように感じます。
この理由としては、僕と同じように精神的な疲れを起こした人が多いからだと推察しています。
クラブハウスはどうして精神的に良くないんでしょうか。
■ 強烈なドーパミン効果
僕がクラブハウスを危険と感じる最大の理由が、どのSNSよりもドーパミンが放出されやすいという点です。
ドーパミンって聞いたことあるでしょうか?
ドーパミンは「快感が得られそうな予感」がした時に脳から放出される物質です。
ドーパミンが大量に放出されると、何がなんでもその「快感」を手に入れないと気がすまない気になります。
一見幸福感に繋がる物質のように感じますが、反応するのは「快感が得られそうな予感」です。「快感」に反応する訳ではありません。
つまり、その先に本当の「快感」「幸福感」が待っているのかはドーパミンにとっては関係ないのです。
ダイエットをしているのにカロリーが高そうなものに反応してしまう
勉強をしているのに面白そうな動画に惹かれてしまう
人間が本来の目的と反するものに惹かれてしまうのは、大抵このドーパミンが暗躍しています。
人間を誤った方向へ走らせかねないドーパミンですが、このドーパミンを大量に放出させることで有名なものがあります。
そう、SNSです。
twitterやinstagramが特に分かりやすいのですが、目的もないのにSNSを見てしまう時ってないですか?
これは、「Twitterを見ていれば面白いものに巡り会えそう」「インスタに面白い写真が上がってそう」そんな期待感からドーパミンが放出され、目的もないのにSNSを見るように促されているのです。
このようにただでさえドーパミンが放出されやすいSNSですが、クラブハウスはどのSNSよりもドーパミンを放出されやすいと感じました。
なぜなら、先ほど話した3つの「感」が人間の本能を揺さぶるからです。
クラブハウスに参加することで特別な人間になれるかもしれない
クラブハウスでしか聞けない特別な話を聞けるかもしれない
自分も有名人と話せるかもしれない
このような快感の予感が大量のドーパミンを放出し、多くの人をクラブハウスへ走らせたのです。
しかし、先ほど書いたとおり、ドーパミンが反応するのは快感の予感であり、実際の幸福感ではありません。
実際は、クラブハウスに参加したところで特別な人間にはなれませんし、大した話も聞けません。
自分が話せる可能性もそんなに高くはありませんし、話せたところでそこまで楽しくありません。
この実際の幸福には繋がらないドーパミンが、クラブハウス最大の危険性であり、急激にブームが去った要因だと考えます。
さて、今日はクラブハウスブームの要因から、クラブハウスの危険性まで考えてきました。
確かに、「実際に話せる」という効果は大きなものがありますが、正直なところ時間の無駄だと感じることが多かったです。
既に大きな影響力を持った人にとっては、影響力を深められる可能性があると感じましたが、一般の人が使う際には「本当の幸福」が待っているのか注意が必要です。
現代を生きる以上SNSと関わらないことはできませんが、SNSが持つ負の力も理解しつつ、うまいこと付き合っていきたいものです。
本日も最後までありがとうございました。
よければスキ&フォロワーになって、これからも関わっていただけると嬉しいです!
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