果物を食べる効果
本日の言葉。
「運動は食欲を生ぜしめ、
食欲はまた運動を必要とする」
(ラクロ)
果物の栄養について
果物は水分・ビタミン・ミネラル・食物繊維を含みます。
野菜と異なる点はブドウ糖や果糖の糖質を多く含むことです。
果物を食べすぎると、糖質の過剰摂取により中性脂肪の増大や肥満をきたすおそれがあります。
果物は、一日に200g摂取するのが目標とされています。
可食部200gの目安は、みかん・キウイフルーツ2個、りんご・なし1個、ぶどう1房です。
果物の果糖
果糖(フルクトース)は、糖質の最小単位である単糖類です。
ブドウ糖(グルコース)も単糖類です。
砂糖として知られるショ糖(スクロース)は、果糖1分子とブドウ糖1分子が結合した二糖類になります。
1.果糖の消化・吸収
果糖やブドウ糖は単糖類ですので、これ以上消化は必要ありません。
果糖の吸収は糖輸送担体(GLUT5)により濃度勾配を利用した拡散輸送で行われます。
ナトリウム-糖共輸送担体(SGLT1)により能動輸送されるブドウ糖に比べると、果糖の吸収は遅いといえます。
2.果糖の代謝
吸収された果糖は門脈を経て肝臓へ運ばれ、フルクトキナーゼという酵素の作用によってフルクトース-1-リン酸となり、ブドウ糖の解糖系に組み込まれます。
フルクトキナーゼはインスリンの影響を受けないので、果糖はブドウ糖より早く利用されます。
実際には果糖が単独で体内に存在するわけではないので、相互に作用しあいながら利用されます。
3.果糖と血糖値・中性脂肪
血糖値は血中のブドウ糖の濃度なので、果糖が直接的に血糖値を上げることはありません。
しかし糖新生によりブドウ糖に変換されます。
過剰な糖質は肝臓でトリアシルグリセロール(中性脂肪)に合成され、高中性脂肪血症となり肥満をきたすおそれがあります。
食物繊維
果物に含まれる食物繊維は、未熟な果実ではプロトペクチンという不溶性食物繊維ですが、適熟な果実のペクチンは水溶性食物繊維です。
果物に含まれるペクチンが有機酸や糖によってゼリー化したものがジャムです。果物を砂糖と一緒に加熱すると、ペクチンが溶け出し、クエン酸・リンゴ酸などの酸と反応してゲル化します。
水溶性食物繊維は、糖質の消化管での吸収を遅延させて急激な血糖値の上昇を抑える作用があります。
またコレステロールの吸収抑制や胆汁酸の吸着・排泄の作用もあり、食物繊維の摂取量の多い方が心疾患の発症リスクも低いと報告されています。
ビタミン
果物に主に含まれるビタミンはビタミンCです。
またミネラルはカリウムが主となります。
果物は野菜ほどいろんな種類のビタミンやミネラルがとれるわけではありません。
1.ビタミンC
ビタミンCはアスコルビン酸ともいわれ、骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成に必須の化合物です。
ビタミンCが不足すると、コラーゲンが合成されないために、血管がもろくなり出血を起こします。
これが壊血病です。
壊血病のそのほかの症状としては、いらいらする、顔色が悪い、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などがあります。
また、毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きがあるほか、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める働きがあります。
最近はビタミンCの抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止にビタミンCが有効であることが期待されています。
2.カリウム
人体に必要なミネラルの一種で、成人の体内には約120gから200gが含まれています。
遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質との結合体としてそのほとんどが細胞内にありますが、ごく一部は血液やリンパなどの体液(細胞外液)や骨にも含まれています。
カリウムは、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。
また、神経の興奮性や筋肉の収縮に関わっており、体液のpHバランスを保つ役割も果たしています。
ナトリウムを身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂り過ぎを調節するのに役立ちます。
一方、不足するとこれらの働きに影響することはもちろん、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状がみられることがあります。
なお、大量に摂取した場合でも体内の調節機構が働くので、通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています。
果物摂取による美肌効果
美しい肌を保つには、規則正しい生活と栄養バランスのとれた食事が大切です。
不規則な食事が続くと便秘気味になり、全身の新陳代謝がうまく行われなくなるため、ニキビ、肌あれの原因となります。
果物には食物繊維が豊富に含まれ、便秘を解消する働きがあり、加えてくだものに含まれる豊富なビタミンは美容に欠かせません。
このように、果物は美容に欠かせないビタミン等栄養・機能性成分の補給源であり、また、エネルギーが少ないので、栄養バランスを崩しがちな20、30代の食生活には積極的に取り入れたい食品といえます。
ビタミンCは、肌を黒くするメラニン色素の形成の進行を抑える働きがあり、またメラニン自体を無色の還元型メラニンに変換して肌の色を元に戻すので、肌の美白に有効であることが広く知られています。
加えて、皮膚の細胞間をつなぎ、肌に水分を蓄えるコラーゲンは、肌の弾力、シワに関係する重要な成分ですが、ビタミンCはコラーゲンの形成に不可欠な成分として機能しています。
ビタミンCは水溶性であり、加熱に弱いことから、調理を必要としないくだものなら効率よく摂取できます。
できてしまったシミやソバカスをとるには皮膚の新陳代謝を活発にする必要があります。
ももやキウイフルーツに多く含まれているビタミンEは血行を促進し、新陳代謝を活発にします。また、かんきつ類やキウイフルーツ、くりに多く含まれるビタミンB群は皮膚の新陳代謝を活発にします。
ビタミンAは皮膚を健康に保つ働きがあるため、不足すると乾燥肌やニキビ、吹き出物ができやすくなります。
また、体内でビタミンAに変換するα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンにも同様の効果があります。
みかんやびわ、かきはビタミンAが豊富です。
さらに、果物にも含まれるポリフェノールは、肌のくすみ等の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。
参考資料
厚生労働省ホームぺージ
農林水産省ホームぺージ
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