子ども達の砂場遊びをじっくり観察してみると。
遊び道具を取っ替え、ひっかえ
以前、3歳児の子ども達の砂場遊びの様子をじっくりと観察する機会がありました。
印象深かったのは、「子どもは、砂を直に触らず、シャベルなどの道具、おもちゃを『とっかえひっかえ』にしている」という様子でした。子どもの行動に多種類の道具、おもちゃの存在が影響しているようでした。
となると、その日の砂場遊びの目標をどう設定するか、例えば、保育所保育指針に書かれている3歳以上児の「保育の内容」のうち、
・環境②「生活の中で、様々な物に触れ、その性質や仕組みに興味を持つ」
を目標に、砂そのものへの体験を深めさせるという場合と、
・環境⑧「身近な遊具に興味をもって関わり、自分なりに比べたり、関連付
けたりしながら考えたり、試したりして工夫して遊ぶ」のように、道具を
使う体験を深めさせる場合と
のどちらを念頭に置くかで、遊び道具の必要性に差が出て来るのだろうと考えさせられました。
N=1の経験で語れてしまう保育
人はだれしも、「子ども」の経験があります。そのため、すべての人が教育や保育の評論家になれてしまいます。
しかし、それは、自分の経験、それも記憶に頼った立論であり、曖昧なN=1に基づく議論です。
保育を「誰でもできること」と称する有名人もいますが、それは所詮、自分の曖昧な記憶に基づく立論でしかありません。
子どもの姿を改めてじっくりと見てみると、自分の記憶とは全く異なる姿、意外な姿を見出すことが多いでしょう。今回も意外な砂場遊びの姿を見出すことができました。
しかし、大人は、子どもの「真の姿」を実感したときの驚きを、得てして、一過性のものとして忘れてしまいます。
でも、このような「子どもの真の姿」についての「データベース」(知識の蓄積)が、保育士の「保育の専門性」を支えていくのだと思います。