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おとぎばなしの手紙

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おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆうびんで送ります。つむじかぜゆうびんはいいかげんなので、いつ届くかわかりません。渡…
おとぎばなしの世界でみつけた、たのしいおはなしや、めずらしいおはなしを手紙にかいて、つむじかぜゆう…
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#詩

おとぎばなしの手紙〈十四通目〉ガラスの雪

ガラスの雪  ガラスに雪が音もなくぶつかったあと、あんなつるつるの面に掴まることができる…

山田星彦
1日前
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おとぎばなしの手紙〈十三通目〉坂道の林檎

坂道の林檎  もしあなたが坂をのぼっているとき、坂のうえのほうから林檎がころがってきたな…

山田星彦
2週間前
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おとぎばなしの手紙〈十二通目〉切手

切手  切手というのは、それはどう見たって舐めたって、ただの小さな紙なのに、なぜこれを貼…

山田星彦
1か月前
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おとぎばなしの手紙〈十一通目〉花と星座(全文無料で公開しています)

花と星座  月がとおり道にある星を隠したからといって、そのせいで月を恨むひとなどありませ…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈十通目〉世界と旅人

世界と旅人  夏にあなたが島の夢をみたのは、ねているあなたの枕もとに、潮の辛いかおりと、…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈九通目〉嘘と空想

嘘と空想  「えのぐを水に溶かすと、いろがぼんやりとにじむように、雨がふっているときは、…

山田星彦
1年前
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おとぎばなしの手紙〈六通目〉本

本  本は表紙の色によって、なかになにが書いてあるかきまっていて、あおい本は地図、あかい本は探偵、きいろい本は料理です。なので、たびびとのへやの本棚は、うみやそらのような気持ちのいい色をしていますし、推理ずきの部屋は血ぬられていて恐ろしく、くいしんぼうの部屋はオムレツです。  でも、ほんとうに本のもつ意味をしっているのは、まっくらやみで本を読むひとです。文字も絵も見えませんが、見えなくてかまいません。それはなぜかというと、本というのは、その紙の匂いに、なかみがぜんぶ溶けだ