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ショートシュート

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短編集を集めてみました
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#シロクマ文芸部

消えた金魚 (1分で読める小説)(意味が解るとホラーかも)

消えた金魚 (1分で読める小説)(意味が解るとホラーかも)

金魚鉢の中に何も居ない。
昨日までは、赤い金魚が5匹泳いで居たのに、
気がついたら何故か消えていた。
それと、ミケも居ない。
「お父さん、金魚がいないよ」
と、言っても答えてくれない。
最近、お父さんは元気がない。
お仕事に行かずに、お家に居る。
…どうしたのかな〜…
「お母さん、お腹空いたよ。ご飯にして〜」
と、言っても、お母さんも返事をしてくれない。
「どうしたの、お母さん。」と、聞いても

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消えた金魚(前編)(一分で読める小説)

消えた金魚(前編)(一分で読める小説)

テレビの上にあるガラス鉢。
中には美味そうな赤い魚。
でも、ご主人様は大切にしているみたいで
毎日餌をやっている。
あの魚を僕が食べたら叱られる。

最近僕の餌にはろくな物がない。
仕方がないので、外で調達している。
ご主人様は、今日も元気も無く家にいる。
以前はお勤めに出掛けていたのに不思議だ。

今日気がつくと魚が居ない。
どうしたのだろう?
昨日までは、元気で泳いでいたのに!

ご主人様が僕

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雨音はショパンの調べ(一分で読める小説)

雨音はショパンの調べ(一分で読める小説)

窓打つ雨の調べは、ショパン?
静かに奏でるのは、別れの曲なの?

私の心の中に想い出を刻んで、
消えてしまったあの人。
今は何処にいるの?
元気なら顔見せてよ!

もう直ぐ一年経つね、
君が居なくなってから。
もう、君は僕の元には帰らないの?

雨音が変わったよ。
激しく窓を叩くよ。
君は怒っているの?あの日の事を。
誰にだってあるよ、間違いぐらいは。
でも、それは許されない間違いだったの?
悔や

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紫陽花の華(1分で読める小説)

紫陽花の華(1分で読める小説)

紫陽花を見る。
花達が寄り添い咲いている。
苦しく無いのかな?
でも仲良く咲いてて羨ましいよ。
兄妹仲良くてさ、羨ましいよ。

人間の兄妹何て、他人の始まりさ。
大人になったら、寄り添う事も無い。
骨肉の争い。
醜い争い。

人間って愚かな生き物さ。
兄妹なのに他人よりも憎しみ生きている。
同じ母親から産まれ出たのに、
全く、違う性格。
全く、違う色。

紫陽花は、みんな同じ色だね。
家族仲良く欄

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白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴を履いていた人(一分で読める小説)

白い靴が目立つ、あのお爺ちゃん
毎日この道を散歩している、あのお爺ちゃん。
私の家の前で、腰を下ろし休んでいた、あのお爺ちゃん。
「今日も姿が見えないな〜。
どうしたのだろう?
名前も知らないお爺ちゃんだけど、
会えないと、何だか寂しいなぁ。」

今日、何故かゆっくり走って行く
白い色の霊柩車
私の家の前を名残り惜しそうに通って行く。

霊柩車の中に目を向けると、
抱かているあのお爺ちゃんの遺影。

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春の夢(420字の小説)

春の夢(420字の小説)

「春の夢?
別に夢は春だけでは無いでしょ。
夏だって、秋だって、冬だって、夢はあるでしょう。」
と、冬が冷たく言った。
「そうだよ、春だけなんて可笑しいぞ!」
と、夏が熱く語る。
「まあまあ、皆さん冷静になって」
と、涼しげに秋が言う。
「でも、春と私は姉妹なのに春だけなんて、ズルい」
秋は拗ねている。
「みなさん、ごめんなさい。私、国民の多くの人達に
一番好かれているので、『春の夢』として選ばれ

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ハルの夢を(410字の小説)

ハルの夢を(410字の小説)

「貼るの!夢を。神社の壁にお札を貼るとね、
願いが叶うのよ」
と、見知らぬ人の声が聞こえる。
ここは「壁貼り神社」
…壁に貼ったぐらいで、夢が叶うなら苦労はしないよ。…
と、想っていたのに、この神社に来てしまう
「溺れる者は藁をも掴む」と言うけれど
今の僕の心境だ

壁に貼ってあるお札を見ると、
夢の貼り紙に、❤️のマークが付いている。

神主に聞いてみた。
「他人の夢が良い夢だと感じたら
❤️を

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始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりはいつも・・・(300字の小説)

始まりは、何故かビール。

居酒屋に行くたびに、
「取り敢えずビール」を無意識で注文してしまう。
お酒の種類はいっぱいあるのに何故?

1番バッターはビール。
先ずは軽く塁に出る事🟰軽く酔うのはビールに限る

2番バッターはチュウハイだ
どんな物にも対応できる柔軟さ
水で割ったり、炭酸で割ったり
何でもありのお酒だ

3番バッターは日本酒だ。
一つ一つに個性がある。
水で割ることもない純粋さが魅

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チョコレートの想い出(300字の小説)

チョコレートの想い出(300字の小説)

チョコレートで思い出すのは、私が小学二年の時、父が東京からのお土産に
買ってきたチョコレートを思い出す。
その頃のチョコレートは、子供にとっては、ご馳走であり贅沢な品物だった。

一粒口に含んだ時の甘い感覚は、僕の今まで感じた事もない喜びであった
僕は、全部食べてしまうのがもったい無くて、
後のチョコレートを残しておいた。
妹も同じチョコレートを父から貰ったが、一度に全てを平らげていた。

次の日

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