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2月3日~9日の読書記録
・とわの庭
小川糸
暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。
「生きているって、すごいことなんだねぇ」――歌う鳥たち。
草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。
虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。
ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。
目が見えないとわの、子ども時代から大人になるまでの成長物語だ。
目が見えないからこそ感じる感性の豊かさに触れてより物語が瑞々しく感じられた。
そして、視覚障がいのある人が利用できるサービスについて知り、勉強になる。
庭とは花であり、家であり、好きな人たちが訪れる場所でもあるようだ。
・ぼくが子どものころほしかった親になる。
幡野広志
ガン(多発性骨髄腫)で余命宣告を受けた35歳の父が、2歳の息子に伝えたい大切なこと。
●1 優しさについて、ぼくが息子に伝えたいこと
●2 孤独と友だちについて、息子に学んでほしいこと
●3 夢と仕事とお金について、息子に教えておきたいこと
●4 生と死について、いつか息子と話したいこと
写真家、元猟師の著者・幡野広志が、父として男として息子に伝えたい言葉は、多くの人の心に刺さる真実の言葉である。
「ぼくが子どものころほしかった親になる。」 は、息子さんにそのまま渡せるような父からの経験や考えの贈り物だ。
なかでも、夢を職業にせず、夢から選択肢として職業やそのほかの実現方法を考えられるようになってほしいというエピソードには感服した。目からウロコである。
お金の使い方もそうで、ライスワーク(生活に必要なお金を賄う仕事)と、ライフワーク(自分の夢や楽しみに繋がる作業)をうまくバランスを保って生きてほしいとの考えにも励まされた。
生と死についても、いずれ避けられないことや多様な考えについて学べた。
・他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
幡野広志
がんになった写真家になぜかみんな人生相談。
毎週必ず話題になる『なんで僕に聞くんだろう。』書籍第2弾。
「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで、毎週人気ランキングトップ!更新のたびにバズる人生相談。
あまりにも赤裸々すぎる悩みに、読んでいるこちらがどぎまぎしたしまった。
が、幡野さんは動じず淡々と自分の意見を返してくれる。あくまでも淡々と。それが信用できる感じなのだ。
…いずれも、著者の息子さんおよび読者にたいし、悩み相談に答えるようなスタイルで人生の節々における幡野さんなりのアンサーが綴られている。
配慮はあるけれど、誤魔化さず、現実から目をそらさず本音で答えてくれる。
しかも、自らがん患者であり、生死と隣り合わせに近い状態である。
そんな彼が語るからこそ、それがきっと自分の生死や今日明日を考える勇気になるのだ。
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