高次脳機能障害と理学療法
地域を明るくするリハビリテーション専門職の会 大和の岡原です。
当会は、市民活動団体として地域を明るくすることを目的に活動しています。
今回はリハビリ、理学療法士に関する記事です。
先日、第59回日本理学療法学術研修大会というものに参加してきました。
そこで高次脳機能に関する講義を受けました。
その内容はのせれませんが、これを機に復習したいと思います。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは脳卒中などの病気や交通事故などで脳の一部を損傷したために、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能の一部に障害が起きた状態です。
遂行機能障害
歩行能力が高くても、ADLが低下している患者様がいますが、原因として計画を立てたり、計画通りに行動したりすることができない遂行機能障害も考えられます。なので、私たち理学療法士は歩行能力だけでなく、遂行機能障害の評価も大切となっていきます。
遂行機能は歩行やバランス能力と関連しています。その歩行において、快適歩行だけでなく二重課題歩行との干渉度が高いです。遂行障害に対しての理学療法として、「cognitive rehabilitation」、「visual reality」、「double task training」等が挙げられます。前者2つと比較するとdouble task trainingが取り入れやすい課題であるので臨床で活かしやすいと思います。
また、リハビリ中に色々な指示を与えても、理解が追い付かないので簡単な指示や複数でなく単体の指示をすることが有効です。例えば、歩行中に「手を大きく振ってください」、「足を前にしっかり出してください」、「目線を前に向けてください」と多く伝えるのでなく、どれか1つにしぼって伝えたほうがいい場合が多いと感じています。
半側空間無視
半側空間無視は左側、いわゆる左無視が臨床上では多いです。理由として、左大脳半球は右側の空間認知にかかわり、右大脳半球は左側だけでなく右側の空間認知も司っています。つまり、左大脳半球が損傷されても、右大脳半球によってある程度カバーができます。ただ、臨床上では右側半側空間無視も存在することも珍しくないので注意が必要です。
半側空間無視に対する理学療法として、反復性経頭蓋刺激(rTMS)、経頭蓋、直流電気刺激(tDCS)、プリズム眼鏡を用いた訓練を行うことは妥当と言われています。ただ、これらも特殊な器具が必要であり容易に準備できません。そのため、視覚探索訓練や環境整備は器具が不要なので比較的実施しやすいです。環境整備としては、起き上がるときの手順を固定化して繰り返し練習する、車いすのブレーキを延長したりフットレストに目印を付けて目立つようにする等が挙げられます。
今回の学会で様々なことを学んだが、特に具体的に今からでもできる理学療法を学べたので、実際の現場で活かしていきたいです。