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夕遊の紀実文学・記録片

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映画のドキュメンタリーや書籍のノンフィクションが大好き。実話ベースともまた違う、おもしろさがあります。おすすめです。
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記事一覧

モダン都市東京と台湾の近現代を撮った写真家の物語。『南光』朱和之(中村加代子訳)

この小説は、台湾が日本の植民地だった時代から始まります。主人公は、裕福な客家の家に生まれ…

夕遊
1か月前
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中国の恐竜事情がおもしろい。『恐竜大陸中国』安田峰俊(田中康平監修)

子どもにとって、恐竜の話題はいつだって人気コンテンツ。夏休み限定だった番組が、先生たちの…

夕遊
5か月前
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『東洋の至宝を世界に売った美術商ーハウス・オブ・ヤマナカ』朽木ゆり子

京都の泉屋博古館にいくと、とんでもなく古い青銅器がたくさんあって、しかもそのうちのいくつ…

夕遊
8か月前
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ホームドラマみたいなドキュメンタリー映画『◯月◯日、区長になる女』2024年。

たまたまSNSで宣伝見つけて、家族で見に行きました。久しぶりの大阪十三の第七藝術劇場は、別…

夕遊
9か月前
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ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部…

夕遊
11か月前
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静かな強いドキュメンタリー映画。『燃えあがる女性記者たち』インド、2021年

先日、大阪民博の特別展『交感する神と人』を見に行ったんです。とってもエキゾチックなのに親…

夕遊
1年前
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草原の魅力が満載。『まんぷくモンゴル! 公邸料理人、大草原で肉を食う』鈴木裕子

保育園の調理室勤務だった鈴木さん。保育園の仕事を18年間続けながら勉強し、日本、西洋、中国、すし、給食用特殊、麺類の専門調理師実技技能士の資格をすべて取得したツワモノ。これって、専門職の人がトライするような国家資格なんだそうです。 鈴木さんのこの本は、「保育園の給食のおばさんがモンゴルの公邸の料理人になった」という意外性をキャッチコピーにしていますが、実際に本を読んでみると事実は逆。料理好きで旅好きで、好奇と探究心が心旺盛でタフな鈴木さんが、たまたま最初に選んだ仕事が保育園

心のよりどころを求める人たちの暮らし。『信仰の現代中国』イアン・ジョンソン

最初、この本は著者のイアン・ジョンソンが、外国人の目で見た不思議な、理解しにくい中国を書…

夕遊
1年前
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女性たちのクラフト・アート ドキュメンタリー映画『YARN 人生を彩る糸』アイスラン…

記憶の中の祖母は、いつも編み物をしていました。色やデザインは正直、ダサかったですが、純毛…

夕遊
1年前
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日本生まれの台湾人で、北京放送のアナウンサー。『陳真』野田正彰

私が初めて、NHK中国語講座をみたときに、穏やかな笑顔で発音を担当されていた陳真さん。て…

夕遊
1年前
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糸を引くおもしろさ。『幻のアフリカ納豆を追え!』高野秀行

定期的に読みたくなる高野さんの本。今回のテーマは、納豆。この本より先に『謎のアジア納豆』…

夕遊
4年前
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もうひとつの中国とオリンピック『北緯43度の雪 』河野啓

1971年、中華人民共和国(中国)の国連加盟に反対して、国連から脱退した中華民国(台湾)…

夕遊
3年前
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夏が近づくと思い出す。『スローカーブをもう一球』山際淳司

ものすごく有名なスポーツ・ノンフィクション。大昔、野球を見るのが好きだったときに読んだの…

夕遊
3年前
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有名な作家さんとその家族の物語。『星新一 1001話をつくった人』最相葉月

星新一『明治の人物誌』がおもしろかったので、評判の本書も読んでみました。そして、期待通りでした。 星新一のお父さんは、日本が台湾を植民地にしていた時代の有名な人。製薬会社の社長さんです。そして、当然ながら戦前の台湾だけでなく、満洲なんかともかかわりがあります。当時も今も、製薬会社と政治家の結びつきは強いです。 数年前にはピンとこなかったかもしれませんが、コロナ禍を経験した今なら、ものすごくよくわかります。当時はコレラだったそうで、伝染病を媒介するのは軍隊。大量の人の移動で