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役職ではなく人と人との繋がりを。スタートアップのひとり人事が入社3ヶ月でやったこと

こんにちは!
IPテックスタートアップWunderbar(ヴンダーバー)の人事担当・木原(きはら)です!

私はWunderbarに1人目の人事として入社しました。今回は、私が入社してからの3ヶ月間で注力したことについてお話したいと思います。

特に、スタートアップのひとり人事さんの参考になれば幸いです。

【木原悠希/ ヒューマンリソースグループ・グループマネジャー】
パーソナルトレーニング事業を展開する大手ベンチャー企業にて、パーソナルトレーナーとして入社し、同社にて中途・新卒採用担当となる。その後、フリーランス人事を経て、スタートアップベンチャーにて採用や組織開発を経験し、人事責任者としてWunderbarへジョイン。


Wunderbarの“今”から見えた組織的な課題

Wunderbarは14名のスタートアップ企業です。自分は1人目の人事として入社したので、もちろんそれまでは人事担当者がいない状態でした。

大まかな制度などはあったものの、どれも戦略的に作られたものではなく、一から立ち上げていく必要がありました。

福利厚生もその一例でした。フィリピンでも事業を展開するWunderbarには、英語学習に主体的に取り組むことができるよう、「英語学習にかかる費用の50%を会社が負担する」という制度があります。

ただ、それも上限金額やサービスなどの制約が何もない状態だったので、費用対効果におけるリスクがありました。

福利厚生はメンバーのためのものでありつつも、モチベーションやスキル向上による事業・会社への還元を求めるものでもあると考えています。

自分が入社した段階では、そういったひとつひとつの制度の存在意義を確認し、戦略的に落とし込むところから始めなければなりませんでした。

人事立ち上げプロセス、優先的に取り組んだこと

《1ヶ月目》
 
・会社・メンバーの理解と人事戦略の構築
《2ヶ月目以降》
 -採用-

  ・足元の課題把握
  ・採用戦略の構築
 -組織開発-
  ・メンバーのエンゲージメントスコアの可視化
  ・評価制度の導入
 -人材育成-
  ・オンボーディングの設計

1ヶ月目:会社・メンバーの理解と人事戦略の構築に集中

まず一番に着手したのが会社・メンバーについて理解を深めること、そして人事戦略を構築することです。

会社・メンバー理解に関しては、IPマーケティング包括支援サービス『Skettt(スケット)』の営業に参加したり、メンバー全員と1on1を行ったりしました。

人事戦略については、もともとあった事業計画に紐づける形で構築していきました。

入社からの1ヶ月間はこの2つに集中して取り組み、人事として本格的に実働するための準備をしました。

2ヶ月目以降:採用、組織開発、人材育成のそれぞれを進めていく

人事戦略の構築により、大きな方向性ができたところで、2ヶ月目からは採用、組織開発、人材育成のそれぞれの具体的な取り組みをはじめていきました。

【採用】
・足元の課題把握

まずは選考方法における課題を分析したり、事業計画に沿って採用を進めていくことが実際に可能なのかを把握したりすることからはじめました。

・採用戦略の構築
もともとの人員計画は事業拡大を主軸とした計画となっていました。 しかし、中間地点目標の一つである上場を実現するためには不足している部分もありました。

そこで、上場を見越した人員計画を立て直し、それを採用戦略に落とし込んでいきました。

そうしてできた計画に則って採用を進めてはいるものの、スタートアップでは、急に必要とするポジションが変わるようなことも少なくありません。

柔軟に見直しながら、最適な戦略をとるよう意識しています。

【組織開発】
・メンバーのエンゲージメントスコアの可視化
従業員のエンゲージメントは後回しにされがちで、ミドルフェーズくらいから意識され出す印象があります。

しかし、スタートアップだからこそ1人の従業員のエンゲージメントの低下やそれによる離職リスクは大きく、それを補充する難易度も高いです。

そういった観点から、早い段階でエンゲージメントを可視化して改善する動きをつくりたいと考えてました。

・評価制度の導入
Wunderbarは2桁を超える人数規模になってきたこともあり、早急に評価制度を導入する必要がありました。

評価制度が整備されていない状況下では、どうしても感覚的な評価が発生してしまい、評価の公平性がなくなる可能性があるからです。

スタートアップでは従業員が評価の不公平さに不満を抱き、退職を考えるというのもよく聞く話かと思います。

評価に関する説明責任を果たすためにも、相対評価ではなく絶対評価の基準を作る必要がありました。

そのため、公平性のある組織にするべく優先的に評価制度の整備に取り掛かりました。

【人材育成】
 ・オンボーディングの設計
もともとWunderbarではオンボーディングを目的とした1on1を丁寧に行う風潮があったのですが、話すのは役員陣のみというのが慣習となっていました。

そこで、役員陣には伝えづらい内容も相談できる場として、人事と入社したメンバーとで一定期間内における定期的な1on1を実施することにしました。

役員陣には伝えにくいことも、逆に役員陣にこそ伝えたいこともあると思うので、役員との1on1は残す形で実践をしています。

新しく導入した社内の制度とその意図 

・GAL/GAD
・フリーアドレス
・全社的なYOUTRUSTの活用

GAL/GAD

GALを楽しむメンバー
GALを楽しむメンバー

オリジナルの制度であるGAL/GADを導入しました。

GAL(Get Along Lunch):月1で決められた少人数グループのランチを補助する制度
GAD(Get Along Drink):月1飲み懇親会補助制度
※いずれも役員は不参加
※GADは強制ではない

どちらも、スムーズなオンボーディングとメンバー同士のコミュニケーションを活性化させるための制度です。

この制度のポイントは役員陣を除いた制度であるところです。それまでのWunderbarでは、役員陣ありきの交流が主流で、メンバーだけでカジュアルなコミュニケーションをとる場がほとんどありませんでした。

十数人規模の会社ですし、役員陣との距離が近いのはとても良いことです。

しかし、どうしても役員陣には話づらいようなこともきっと出てくるはずです。そのような悩みをメンバー同士が打ち明け、相互にサポートできる環境は作っておきたいと思いました。

また、この規模のスタートアップなら、メンバー同士が業務上の関係だけでなく、いちビジネスパーソン同士として関係構築をしてほしいと考え、導入しました。

フリーアドレス

それまでの座席固定制を改め、フリーアドレスを導入しました。

人のパフォーマンスはさまざまな要因によって左右されますが、中でも環境による影響は大きいです。

そこで、そのときどきで、自分のパフォーマンスを最大化できる働き方を実現するために自由に座席を決められるようにしました。

ただ、正直、今のオフィスは移転前でほとんど空席ができない状態なので、フリーアドレスといっても座席の選択肢は限られています。

しかし、今年の6月に新しく移転するオフィスは、面積も格段に広くなり、さまざまな働き方を実現できる環境を整備しています。

気分に合わせてファミレススペースやカウンターで働いたり、お疲れならソファ席、眠気が襲ってくるときは立ちスペースといったように使い分けたりすることもできます。

そのような環境をフル活用してもらうためにも、自由な働き方を実現する練習期間として、移転前からフリーアドレス制度を導入しています。

全社的なYOUTRUSTの活用

社内メンバー全員を日本のキャリアSNS・YOUTRUSTの公式リクルーターとして登録し、毎朝活用してもらう仕組みをつくりました。

採用は人事がメインで担当するものではありますが、自分たちが一緒に働く仲間集めにほかなりません。

仲間集めはみんなでする」という風土をつくるためにも、全員に協力を仰いでいます。また、YOUTRUSTの活用が個人のネットワーク構築にもつながれば良いなと考えています。

実際、全社的にYOUTRUSTの活用に取り組んだことにより、メンバー個人のXやnoteのフォロワー獲得に繋がっているというケースもあるようです。

人事の立ち上げでは理想と現実のギャップに要注意

事業計画、そしてそれに紐づく人事計画を具体的な業務に落とし込んでいくのは大切なことです。

しかし、その際に忘れてはならないのが、足元の状態をきちんと見ること

理想論ばかりになって、今の状態に見合わない施策をとってしまうことのないよう、理想と現実のバランスを見る必要があります。

メンバーがどんな想いで会社という船に乗り、どんなことをやっていきたいと考えているのか。それを理解するための1on1も、足元を確認するための一つの策でした。

今後の採用強化について

採用については、ポジションとカルチャーの2つの軸で考えるようにしています。

ポジション
現在、特にマーケティング、営業、デザイナーの職種を募集しています。

とりわけ現状は、サービス認知の拡大、新規顧客の獲得、既存顧客の満足度向上と、サービスの精度を上げていかなければならない段階です。そのため、この3職種の採用に注力しています。

カルチャー
少々古い考え方かもしれませんが、少人数規模のスタートアップであることもあり、チーム全体が同じ想いや方向性で働ける方がメンバーにとっても会社にとってもハッピーだと思っています。

カルチャーを理解してくれて、そこに違和感がなければ一緒に働きたい。

逆に、そこにお互いが違和感を感じるようであれば、入社してもお互いに幸せになれないはずです。

Wunderbarは本気でカルチャーを重視する組織なので、採用の最終フローとして、会食を取り入れています。

会食というラフな場でのコミュニケーションを通して、お互いにミスマッチがないかを確認するためです。

最終面接まで進んだ全候補者に対してこのフローを踏んでいる企業はなかなか珍しいと思うのですが、それくらい相互理解を大切にしています。

このご時世、転職や独立による人員流動はあたり前になりました。

遅かれ早かれこの船を降りるときが来るかもしれない。

だからこそ、せっかく仲間になってもらったからには、何か一つでもメンバーにとってプラスになるものを届けたいと思っています。

今後も、在職期間や職種にかかわらず、Wunderbarで働けてよかったと思ってもらえるような組織づくりを心がけていきたいです。


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