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読書のキロク

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本のキロクは記憶!
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記事一覧

唯識の世界線、『暁の寺』

 『豊饒の海』第三巻。これまで狂言回しとして輪廻の目撃者であった本多繁邦が物語の中心とな…

耳
2か月前
5

ありがとう環世界、ありがとう國分先生。『暇と退屈の倫理学』

ずいぶん前のEテレ特番『哲子の部屋』が好きだった。 そこで初めて哲学者・國分功一郎氏を知…

耳
2か月前

まるで耽美な映画、『聖なる春』

古い土蔵のなかで、世紀末ウィーンの画家クリムトの贋絵を描いて暮らす「私」を時折訪ねてくる…

耳
6か月前
1

愛情地理学的パリ、『パリはわが町』

2016年刊行の翌年、98歳で大往生を遂げられた、ロジェ・グルニエ氏による極私的断章集。 もは…

耳
6か月前

数多、映画の原作『不思議の森のアリス』

評論家で翻訳家の仁賀克雄氏による<ダーク・ファンタジー・コレクション>第2弾。 フィリップ…

耳
6か月前
2

整形した殺人鬼が、『夜歩く』

 初めて読むディクスン・カー(1906~1977)で、記念すべき処女作。 『It Walks by Night』19…

耳
7か月前

ミステリ作家による本のススメ、『米澤屋書店』

ミステリー作家・米澤穂信氏が様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本、対談を一冊にまとめた、デビュー20周年記念エッセイ。 ミステリ好きでなく疎いのになんとなく手に取る推しの推す作家による読書エッセイ。 読みたい本が増えるのではとドキドキしていたわりに、ノート1頁を〆るに留まる。やっぱり私はミステリ好き、ではない。けれども、この本の真摯な良さとは関係がない。おもしろい。 本の話はたいてい映画の話に通じて、どちらにしても、ほんとうにそうだとおもう。 鞄ひとつで済むはずの

ウラジーミル・ソローキン『テルリア』リプス!

 『青い脂』の凄まじい読書体験が忘れられないウラジーミル・ソローキンの描く、”ユートピア…

耳
7か月前
3

作家にしておくのにはもったいない、イケオジ島田雅彦著『君が壊れてしまう前に』

いつか教育テレビで見かけた島田雅彦氏が、作家にしておくにはもったいないほどの私的イケオジ…

耳
8か月前
4

『一本の線』野見山暁治、再読

洋画家・野見山暁治による私小説。1990年刊行。   アルバイトしていた古書店で、著名な作家…

耳
8か月前
3

米澤穂信によるミステリ『追想五断章』

先月の所用に携えた『奔馬』を旅先で読み終えてしまって、金沢で調達した初めての米澤穂信氏の…

耳
8か月前

豊饒の海シリーズ『春の雪』『奔馬』の豊饒

『春の雪』  ことしの読書初めに選んだ”豊饒の海シリーズ”、前半の2冊を読み終えた。三島由…

耳
9か月前
8