帽子の中のことば屋

ことばを用いて様々な表現を行えたら、それでいいと思う。そういう生き物です。 普段はXで…

帽子の中のことば屋

ことばを用いて様々な表現を行えたら、それでいいと思う。そういう生き物です。 普段はXで短歌のような、詩のようなことばを呟いています。

マガジン

  • テーマ別 短歌集

    メインコンテンツ。個別のテーマでの連作短歌をまとめたもの。 1~2週ごとに1記事ずつ増えていく予定です。自由詠もある程度集まったら「呼び名なき或る日たち」としてこちらへ不定期に更新します。

  • 短歌以外の表現物

    詩や掌編、コラージュなどの記事を投稿した場合、こちらへまとめます。 基本的には不定期更新となります。

  • 題目指定 短歌集

    題目を頂戴して詠んだ短歌を毎月上・中・下旬にまとめていて、それをさらにまとめたマガジンです。

最近の記事

【短歌】呼び名なき或る日たち2

右手の小指に住む子象と生活 小指の側面、第2関節の上に黒子 子象にみえる 好き 街角を一歩曲がるとボロボロの古いアパート 哀し可愛い 買った自転車が可愛すぎてつい話しかけてしまう土曜の夜 街の灯に息吹きかけて消えたなら 深夜零時の些細な遊び アパートの部屋に佇み 空通る飛行機の音 追いかけてみる 外に出る予定はないが服届く ネットの海の悲しみたちよ 雑感 ふと想ったことや見たもの。小さなものたちでも、できるだけ忘れたくないと考えているのですが、やはりちょっとし

    • 【短歌】呼び名なき或る日たち1

      壮年少年記 間違いも正解もない言い聞かせ 間違いを引く日々の愛しさ わたしという意識が薄れていくのを感じる 他人たちの中で なんかの記録取れそうやけど脆弱な心選手権とかない? よっしゃ逆転目指したるとはならぬ我のおろかさ可愛かろう 前を向け 後ろを向いたやつが言う でもそちらにも道はあるのか ダメなやつほど可愛いというけれど、わたしはいつも一人でいるよ 今日も昼から酒を呑み 独りぐだる午後のまどろみ しょうじき好き 付記 一人を好む習性があっても 「ずっと独

      • 【短歌】テーマ:運がわるいひとたち

        運がわるいひとたち 悪い方へと転がり出したらもう止まらん 無駄に連鎖するなよ 良いこともあったはずだと振り返り 蘇るは悪いものばかり ちょっとだけスピード落として欲しいかな 我が人生の急降下よ 少しだけ、ほんの少しでいいんだよ? わたしに笑顔、運んでおくれ 雑記 たしかにあったはずの良い出来事よりも 地味な悪いことが妙にこびりついていて なんだか連続して起こったりもして 負の連鎖なんていうけれども これだけ悪いことが積み重なっているんだから むしろ足場が固まって

        • 【詩】青いまま熟れる独り独りの集合体

          われわれの命のさきに なにもないとしたら われわれは一生懸命に 意味をさがしまわるだけ わたしのそばにある、ないものたちが 騒ぎだすまえまでにそれが必要になる われわれの命のさきに なにかあるのであれば われわれは一生懸命に 無駄をすごしているだけ あなたのそばにない、あるものたちが みつかるまえに離れたほうがいい だれもが空回りする だれもがヒトをわからない いったいそれがどういうことなのかを それで群れを作るのかもしれない 群れのなかで弾かれた あるのにない な

        【短歌】呼び名なき或る日たち2

        マガジン

        • テーマ別 短歌集
          6本
        • 短歌以外の表現物
          6本
        • 題目指定 短歌集
          2本

        記事

          【短歌】テーマ:ときときどきドキドキ

          ときときどきドキドキ 過去が今を象っているのなら、このパズル複雑すぎるだろ 未来が見えていたとして、果たしてその通りに組み立てられるものか 今思う過去と未来に意味はある? 点を線へとつなげられたら 針は戻らない。繰り返し廻るたび繰り返せぬ生が減る旅 時がときどき飛んでドキドキしたり、たまさかあってこころに悪い 明日こそは明日になれば そういった昨日のぼくを許しはしない サボって眠って楽して逃げて 未来のぼくよ、マジでごめんなさい こころのどこかにいるはずの過

          【短歌】テーマ:ときときどきドキドキ

          【短歌】2024年9月中旬 題目指定作品

          詠んだものと題目 題目:命  その一歩 踏み出す間 世間では 人が死んだり生まれたりする  あと何度の明日を迎えられるか 最期のときには笑っていたい  機械たち、君らときどき生きているような振る舞いをするのをやめて 題目:化粧  雪化粧 見飽きた路地も姿変え おまえはどうだ?と言わんばかり 題目:髪  知ってる? あなたの髪色変わるたび わたしのこころも色めくのを  代わり映えしない毎日 ちょっとした変化もとめて髪を切ったり 題目:神  神様は地球以外の業務にて多忙につき

          【短歌】2024年9月中旬 題目指定作品

          【掌編】惑星投手

          知ってのとおり、地球への投球には拠点が必要となる。 八方美人の冬の関係者が、地球からの歴史的な和解を強い直球のみで発表した。対してこちらは、上空では誰もが代表だと示す大きな投球を。長年にわたって握手を交わした子どもは反対意見を投げた。 猿の姿に似た夢中の恋のそのときに、こちらの投手陣にしてみてもいらぬ逡巡を要する。今月だけですでに五十六箇所からの返球を余儀なくされているのだから、後手後手の対応だとの指摘は甘んじて受けよう。 休みなく三十球ほど投げつづけた男などは薔薇柄の潜

          【掌編】惑星投手

          【コラージュ】停止した連続

          【コラージュ】停止した連続

          【詩】の、ための

          外に出らんなかったいくつかの そういうことばが脳を押す 行き先なくして意味失って 散らばって それから互いに手と手をとりあい いっせーのせ それは見知らぬ律動 頭蓋のうちを跳ねまわる あ と見つけりゃ い と驚いて う と苦しみ え と疑い お と収束する いつのまにか文字たちは 前とは違ったことばんなって 息をあわせりゃ文章で いっせーのせ それはあらたな情動 こころかきむしる意思んなる ころころ転がる石のように 止めるものなく外へと急ぐ うそいつわりなきうそいつわりは

          【詩】の、ための

          【詩】そのあいだに

          一歩、進む。 そのあいだに、 風が去り、 自転車縮み、 残り香鼻をかすめ、 母親鍋を一振り、 鳥が獲物逃し、 虫は息を潜め、 だれかが笑い、 手を繋ぐ恋人、 貧民右に回れば、 富豪は左に回り、 人殺しあり、 赤子が生まれ、 それから星が流れた。 そのあいだに、 また一歩、進む。

          【詩】そのあいだに

          【コラージュ】何かのためにそこに在りて

          上記はわたしのアイコン画像で、自作したものですが。 パソコン上で写真を切った貼ったして作成しており、コラージュ(といっていいのかわからないですが、分類するとそうなるはず)をやっています。 最近はあまり新作を作れていないのですが、こうしたコラージュ作品もぼちぼちと再開していこうと考えております。

          【コラージュ】何かのためにそこに在りて

          「わたし:帽子の中のことば屋」について自己紹介のような何か

          いくつか記事を投稿して、自己紹介的な記事がないな、と思い立ちこちらを書いております。 おおむね、ただの自分語りであるため、スラリと読み飛ばしたり、暇つぶしにでも見ていただけましたら嬉しく思います。 あるいは、ここに真実はないのかも知れない 「わたし」という存在を文章のうえで定義・証明するに当たって過去の事実を示すことがもっとも端的であると考えますが、なにぶん虚言癖ありの妄想マシンでして、客観的事実がどこまであるか不確かであります。 そもそも「事実」とは何であるか、いかにし

          「わたし:帽子の中のことば屋」について自己紹介のような何か

          【短歌】テーマ:ことば、文字

          ことば、文字 個人から飛び出たあとのことばたち その意味などは他人が決める ひらがなを図鑑にしたらそれぞれの生態などもわかるだろうか 脳内で生まれてくるは言葉?文字? どちらが先にあるものかしら はき出したことばが文字になるとして どこまで届く?どんな大きさ? 行って良し 言葉になるに必要な検閲終えて外の世界へ 推敲で消された文字も欄外の見えない場所に今もいるはず 言葉も文字もないはずの時間にこそどちらも勝手に溢れ来る はじめての愛の気持ちは人でなく文字に対

          【短歌】テーマ:ことば、文字

          【短歌】2024年9月上旬 題目指定作品

          「単語で短歌」について Xに「単語で短歌」というアカウントがあります。 上記のように毎日お題を出してくださっています。 毎朝6時にポストされ、6時~8時ごろに起きることが多いわたしにとって朝の体操のような存在になりつつあります。 目覚めて、お題を見て1~2時間で1首詠む、いわゆるルーティーンというやつです。 自身で決めたテーマではなく、目の前に突然現れた単語に対して短時間に思考するため、思いもしていなかった内容になることも多く、また1単語というほどよい縛りも起きがけの

          【短歌】2024年9月上旬 題目指定作品

          【短歌】テーマ:団体「個人」

          団体「個人」 私とはいくつあるものかしら きっとすれ違う人の数だけ AさんとBさんとCさんと 使い分け使い分け 疲れて眠る夜 夜通し会議 僕と私が喧嘩する だから君はダメなのだと たくさんの僕も私も己も俺も 一人じゃまとめきれんよ 敵も味方も外だけじゃない 何と我が内にもいたりして無理 朝起きて昨日の自分と比較する今日の私の開演前 ぼくを操舵するわたしへのSOS どうも届いてなさそうだ 今回の作品について たしかにわたしはいつも私なのですが、 たとえばAさ

          【短歌】テーマ:団体「個人」