【短歌】呼び名なき或る日たち1
壮年少年記
間違いも正解もない言い聞かせ 間違いを引く日々の愛しさ
わたしという意識が薄れていくのを感じる 他人たちの中で
なんかの記録取れそうやけど脆弱な心選手権とかない?
よっしゃ逆転目指したるとはならぬ我のおろかさ可愛かろう
前を向け 後ろを向いたやつが言う でもそちらにも道はあるのか
ダメなやつほど可愛いというけれど、わたしはいつも一人でいるよ
今日も昼から酒を呑み 独りぐだる午後のまどろみ しょうじき好き
付記
一人を好む習性があっても
「ずっと独り」が平気なわけではない
なぜこんなにも孤独(あるいはそう思い込む)であるか、ということになるが、おのれに問題があるとして解はわからぬ
ヒトに助けて欲しいのか、自分に何かが欲しいのか
何らか行動してきてこの結果
偏ったまま一人で独りが育っていく
みなそれぞれにそれぞれの苦悩があることもわかっていて
自分一人、悲劇を気どるほど若くもなく
今日も明日も生きていくつもりならば
あれこれやって折り合いをつけていくしかない
「ある」ことをほんの少しでも示すために
今は三十一文字がその目的であり、手段なのかもしれない
雑感
テーマ作品とは異なる、いわゆる自由に詠んだもの、
或る日、この身から短歌として生まれてきたものを
「呼び名なき或る日たち」としてシリーズ(ではないのだが)にしていきます。
とはいえ、こうして1つの記事としてまとめる際にあれもこれも並べると良くないなと思い、ある程度、触感が近いものを集めて彼らに呼び名を与えたいと思います。
呼び名なき或る日たち 第一弾は「間違った」育ち方をした少年がそのまま壮年を迎えて孤独に嘆く。欲しいのは友か愛か、それとも心の問題か。そういう或る人物のもの悲しさ、可笑しさ、そういったものを込めることができていたらいいなぁと。
付記がやたらと暗いのは若かりし自分を絞り出し、そこへ置いていくような気持ちもあります。
ある程度に年齢がいって思うのは、独りだからといって独りよがりにはなりたくないと必死に藻掻いていくしかないんだろうなぁということです。
まったく、自分自身のことではありますが、青臭いまま熟れた実を御するのは苦労しますね。
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