【短歌】呼び名なき或る日たち2
右手の小指に住む子象と生活
小指の側面、第2関節の上に黒子 子象にみえる 好き
街角を一歩曲がるとボロボロの古いアパート 哀し可愛い
買った自転車が可愛すぎてつい話しかけてしまう土曜の夜
街の灯に息吹きかけて消えたなら 深夜零時の些細な遊び
アパートの部屋に佇み 空通る飛行機の音 追いかけてみる
外に出る予定はないが服届く ネットの海の悲しみたちよ
雑感
ふと想ったことや見たもの。小さなものたちでも、できるだけ忘れたくないと考えているのですが、やはりちょっとしたことはすぐに記憶の隅に追いやられてしまうようです。
短歌の良いところのひとつとして、そうした「大したことではないんだけどほんのり覚えておきたい」みたいなことを気軽に詠んでおくことができることだと思います。日記 (あくまで個人の意見ですが、妙に身構えてしまって「今日は書くことがない!」となってしまう) よりも手軽に、ある日の、ほんの一瞬にスポットを当てられる。これは嬉しい発見でした。
毒にも薬にもならぬような、そういう時間こそ必要だと考えます。
ふんばるべきときにふんばって、だれるときはだれる。
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