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泡に手を伸ばす

泡に手を伸ばす

 金柑色のお湯に浸かりながら、トロトロの柔らかくて白い泡を両腕で掻き集めては壊す。二時間前、ラーメン屋で左隣のカウンターに座っていた名前も知らない男が連れの男にこぼしていた「あの時抱いておけばよかった」の意味をふと考えてみる。その言葉の感覚が理解できないのは、私が女だからだろうか。「あの時抱いておけばよかった」を、「あの時抱かれていればよかった」としてみるなら?それならば、何となくわかる。「あの時

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寂しさと向き合う

寂しさと向き合う

 「寂しい」と口に出したことは、今までにほとんどなかったように思う。誰に、どんなふうに伝えれば良いのか分からないから。伝えたとして、その寂しさがどうなるわけでもないから。

 夜中に狭い部屋で息を潜めていると、「寂しさ」がくっきり形になって浮かび上がる。最近理解し始めた、寂しさは解決するものじゃない、向き合うものだ。
 便利な世の中だから、インターネットで検索をすれば寂しがっている人なんてそこらじ

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1年前に一度だけ会った人と、結婚しました。

1年前に一度だけ会った人と、結婚しました。

ちょうど1年前に、一度だけ会った人と再会して、結婚した。

と書くと冗談のようだけど、運命とはそんな気まぐれのように聞こえるものだ、とも思う。

初めて会った去年の大晦日、ケニアの年越し音楽フェスの会場で、あの人がこっちに向かって歩いてきた時、話始める前の名前も国籍も知らない時点で、冗談抜きで「ああ、きっとこの人と一緒になるんだな」という感覚が走った。

どこから来たの?と聞くと、ロサンゼルスと彼

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服と私と、そして兄

服と私と、そして兄

ヘラルボニーに移籍しました、miuです。@iiimiiiu

人生初の転職をしてきました。
何をしていたかはあとで分かるとして

まず、私の三本柱をお伝えしたく
これなきゃ私が語れないというものです。

それは服、料理、そして兄

この3つからめでたく進路に選ばれたのは兄。
服屋さんにもなりたいし、料理人にもなってみたかった。
でも、大学では社会福祉学科に進学しました。

兄のりょうりょう1つ年上

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