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エッセイ

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主に昔語りと創作。 つまらなそうだ? そうでもないぜ。
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2024年11月の記事一覧

100年計画

100年計画

高校生の時分の、つまり45年前の自分の描いた絵を見て、なんだ結構上手いじゃないかと感心したことがある。

まぁ良い出来だったから、ずっととってあったのだけれども、それにしてもこのくらい描けるのだったら、美大受験なんか楽勝だったのではないかと思う程だ。

実際には楽勝どころか浪人しているわけで、きっとこの一枚の陰には、もっとしょうもない作品が大量に破棄されているに違いないのだが、それはそれである。

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淡々と筋肉痛の原因を語ろう

淡々と筋肉痛の原因を語ろう

朝から筋肉痛である。

昨日は健康診断の後、午後は自分の仕事をしようとアトリエに向かった。
で、到着すると、アトリエの作家さん達が何やら作業しているのが目にはいる。

こちらの顔を見るなり、「ああ、タグチさん、いいところに来た」と・・・。

どうやらずっと先送りにしてきた、共有スペースの整理に手をつけたらしい。
まったく唐突ではある。
とはいえこういう状況で手伝いを断れるほど、わたしも人生経験を積

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とりとめなく健康

とりとめなく健康

春先だか市から健康診断の案内が来ていたのを、ようやく受けに行く。
しょっちゅう医者にはかかっているのだから、とっとと済ませばいいのだが、ついつい忘れてしまう。まぁ年内に行ったのでよしとしよう。

「今日は担当の先生がいないので、胃がんの検診はできないのですが、別日にしますか?」とかかりつけ医が言う。
胃がんの検診、つまり胃カメラを使える医者がいないのだな。

胃カメラは今まで3〜4回やっているが、

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ポルトガルスタイル

ポルトガルスタイル

リスボンにジェロニモス修道院という、世界遺産がある。
その巨大な図体を過剰なまでにまめまめしい装飾で埋め尽くした、ある種、異様な建築である。
特に中庭の回廊をめぐる石柱の一本一本に、これでもかと刻み込まれたレリーフ彫刻は、見る者を不安にさせること間違いない。
何というか、部分と全体のバランスに均衡が取れておらず、鑑賞者はどこに注目すれば良いのかわからなくなるのである。

ポルトガルが、その歴史上た

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猫再び

猫再び

共同アトリエには、時々わたしのnoteにも登場する、自腹で地域猫に餌をやっている作家さんがいる。
先日の朝、彼女がこちらの顔を見るなり「タグチさん、お願いがあるのです」といってきた。

このお嬢さんは決して悪い人ではないが、相当ちゃっかりしている。
そして押しが強い。

そもそも地域猫への餌やりも、管理者側の「そういう事されると、近所から苦情が来るかもむにゃむにゃ・・」というやんわりしたお達しに、

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人生修養

人生修養

わざわざリンクは貼らないが、昨日自分が書いた、なんというか書きっぱなし、言いっぱなしみたいな日記はやはりよろしくないように思う。

昨日は昨日で、どうしてもそんなことを言ってしまいたい気分だったわけで、間違ったことを書いたとも思わないが、でもまぁ自分の発信としては、ガサツであったなぁ。

noteを初めて一年半、いつの間にかフォローする方も、していただいた方も増えた。
毎日のように文章を読ませても

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上野の森から

上野の森から

国立博物館まで「はにわ」展を見に行く。

太古、日本人はあの装飾過多な縄文土器や土偶を、延々と一万年も作り続けていた。
しれっと一万年と書いたのだが、以後の時代を全て足しても3000年なので、これは日本人の歴史のゆうに2/3を超える。
恐ろしく長いのである。

その後、突然シンプルモダンな弥生式に方向転換して、今度は打って変わって禁欲的な壺などを作る。
これが千年弱である。
縄文の足元にも及ばない

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お隣

お隣

現住所には中学生の時から50年近く住んでいる。

ここはいわゆる実家である。
建て売りだったが、当地にくる前はずっと公団団地に住んでいたから、まぁ、手垢のついた言い方をすれば、両親が苦労して手に入れた夢のマイホームというわけだ。

独身の一時期や、結婚してからの数年、実家から離れて暮らしたこともあったのだが、なんだかんだでここに戻ってきた。
建物は後に私が新しくして、もう建て替えてからの方が長くな

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意識されない能力(美術編)

意識されない能力(美術編)

さて昨日の話だ。

要約すると、体育やスポーツの才能というのは体力とか持久力ではなくて、実は「自分がイメージした動きを、自分の体でそのまま再現できる能力」なのではあるまいか、ということであった。
そんなこと書いてなかったかもしれないが、まぁそういうことが言いたかったのである。

こういう能力に何か名前がついているのかどうかはわからない。
世の中には賢い人がたくさんいるので、きっと誰かが研究している

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意識されない能力(体育編)

意識されない能力(体育編)

6・3・3の学校時代、通信簿の体育の欄はいつだって3だった。
基礎体力は周りと比べてそんなに劣っていないと思うのだが、なんにせよ競技スポーツ、とりわけ球技が壊滅的に下手だった。

元々片目の視力が低く、遠近を把握する力が弱かったこともある。
しかし何というか、より根本的には、「自分が見たもの、イメージしたものを、ダイレクトに体に反映する能力」が決定的に欠けていたのだと思う。

すなわち、例えば車を

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聴力とミュージックビデオ

聴力とミュージックビデオ

最近の歌が聞き取れない。

朝ドラの主題歌など、何ヶ月も毎日聴いているのに、どうしてもわからないフレーズがある。
今回だけではない、前回も前々回も、すべては聞き取れなかった。

近頃の歌唱法が合わないのかとも思ったが、考えてみれば、あの英語だか日本語だかわからない桑田佳祐のボーカルは、聞き取ることができる。
ならば、老化による聴力の低下なのだろうか?

「最近の歌が聞き取れない」ではなくて「最近、

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団地のわたし

団地のわたし

最近までNHKで放送されていた「団地のふたり」というドラマを見ていた。

子供の頃から団地住まい、出戻りの大学講師と独身イラストレーターという、50代女子のシスターフッド物である。
その年で女子というのもどうかと思うが、人間30過ぎるとそんなに中身は変わらないし、「ずっと友達であった」という設定のふたりには、やはり女子という言葉がよく似合う。

演じるのは小泉今日子と小林聡美。

個人的にはアイド

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菊とバットと闇バイト

菊とバットと闇バイト

大谷の話題はもういいよと思っていたのだが、彼と縁もゆかりもない、ご当地埼玉のスーパーで感謝セール開催、というニュースには笑ってしまった。
そういえば、ちょっと前まではこの時期、優勝しようが負けようがダイエーが感謝セールをやっていたものだが、ソフトバンクになったのはいつからだと思って調べたら、もう20年も前だった。
あらあら。

まぁ市井のスーパーが、なんとなく便乗してしまおうと思うくらい、大谷は偉

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