CFOの資本政策:ストックオプションは組織構築のツール、インセンティブ以外にも意味をもたせることで組織を強くさせる
ストックオプション(新株予約権)の
考え方を前提から整理する
スタートアップの考え方でよくあるのが
給与が本来の水準で支払えないから、
ストックオプションを付与したい、という内容です。
前提として、ストックオプションが上場しなくても
株式転換でき適正な価格で売却できるのであれば、
何も問題はありません。
しかしながら、
ほとんどのストックオプションは
上場しないと株式変換はできず、
退職時にはストックオプションは無効になります。
特に問題なのは、
上場する前提という点です。
上場準備をしていて、来年、再来年に上場が見えているなら
まだしも、上場を予定しているが現実的に後最低5年はかかる、
5年先で上場を見据えているスタートアップなどは山ほどある
という点です。
ストックオプションのインセンティブが
インセンティブとなっていない
このように、上場が不確実な状況で、
例えば、年収1,000万円の方に750万円でジョインをしてもらい
250万円分をストックオプションでカバーするという
建て付けにする場合はどうなるのか?
上場までに5年かかるとして、
給与としては1,250万円分を補わなくてはなりません。
さらに、1,250万円からプラスしてインセンティブがあって
始めて成り立つのがストックオプションです。
人にもよるでしょうが、
やはり3,000万円〜5,000万円以上の価値にならないと
難しいのではないかと考えます。
どの程度社員側がリターンを求められているのか、
企業側はどの程度ストックオプションを付与できるのか、
のバランスを考えないと、
せっかくストックオプションを付与しても、
社員のライフイベントなどを通すことで、
別の条件が良い環境へ移ってしまうことになりかねません。
上場が後5年ということは、
会社都合で上場する方針がなくなるかもしれませんし、
上場が延期される可能性だって十分にあるからです。
それでも企業としては、ストックオプションを付与
した方に就業してほしいのであれば、
それ相応のストックオプションの付与をし続ける必要があります。
ストックオプションを継続して付与し、
評価を通じてコミュニケーションを図る
ストックオプションに
インセンティブを持たせるのであれば、
継続的に付与をしていくことが必要になります。
企業によっては一度のみであったり、
継続的な付与などを検討せずにストックオプションを
発行することで、
社員が一定のモチベーションを持ってもらえるように
考えてしまいます。
一定以上の何なら、そんなに得られない利益を
ストックオプションから得られるからモチベーションが
保てるということを忘れてはいけません。
例えば、上場まで5年あるのであれば、
3回程度に分けて一定のストックオプションを
付与し続けることで上場や企業及び個人業績について
コミュニケーションをとっていくことが
健全な形でのストックオプション付与になります。