治療家の心得26【オーダーメイドの治療とは】
常連と一元の違い
どこの治療院にも、患者さんには一元の方から長年メンテナンスで通い続ける方までいらっしゃいます。
セラピスト側からみた双方の違いは、「その体を知っているか否か」です。
初見の患者さんの場合、「何がその人の体にとってベストなのか?」を知る由もなく、セラピストは手探り状態で治療(施術)を行います。
問診や各検査でいただいた情報を元にベストを尽くしますが、思うような結果を出せないことも少なくありません。
しかし複数回、重ねていると
・この人は、こういう姿勢を作ってあげるほうが長持ちする
・この人は、この部分にストレスが溜まりやすい
・この人は、この組織に変化が出てくると症状がでる
など、いわゆるオーダーメイドの対応ができるようになります。
基本は前回の状態
複数回重ねることで、より良い結果を出せるようになるのは、経験というよりは、「前回と今回を比較できる」ことが最大の要因です。
つまり長年通っているだけでは意味がなく、セラピストは目の前の患者さんの過去の経過を覚えていて、患者さんは常に同じセラピストを選択し続けるという条件が必要です。
毎回担当者が変わるということは
治療院によっては、複数のセラピストが在籍している場合がありますが、100%担当者制ではない店もあるかと思います。
メンテナンス目的で来店された場合であれば、どなたが担当してもある程度は対応できますが、症状を持っている場合は100%担当制であるのが望ましいと考えます。
理由は前述したことに加え、どんなに上手に引き継いだとしても、前回の状態と今日の状態を比較できるのは、前回の担当者だけだからです。
カルテを正確に書くのは当然のこととはいえ、文字としてまとめきれない部分は必ずあります。
例えば、「大腿二頭筋長頭の、この繊維の、この部分にある硬結」という位置や深さまでカルテに書く人は少ないのではないでしょうか。
ましてや、複数ある場合などは書ききれなかったり、感覚としては覚えていても、「大腿二頭筋の硬結」くらいの記載しかなかったり、今回見つかったのが「前回と同じものなのか?新たに前回のそばにできたものなのか?」までは、人が変わってしまうと認識できません。
しかし、数年ぶりの患者さんであったり、カルテに記載がない事項でも、自分が担当した方であれば、施術中に思い出すという経験は、誰にでもあるはずです。
患者と担当者の馬が合わない場合を除き、担当者変更にメリットはないと考えるのが自然です。
いかがでしたか?
多くの先生は患者さんに「再来店」を望みますが、折角のチャンスを活かしきれていない先生は意外と多いのではないでしょうか?
今回の情報が、問題解決の一助になれば幸いです。
来週も引き続き、「治療家の心得」を楽しみにしていただければ幸いです。
それではまた