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自己肯定感が低いのに自己愛の強い私を肯定したい

自己愛の強い人は、自己愛のないあるいは少ない人にとってはありがたい存在であるのかもしれない、と本で読んだ。

私は、自己愛の強い人間と自己肯定感の低い人間の組み合わせの方がしっくり来ると思った。

自己愛の強い人間は、他人に興味がありすぎない。自己肯定感の低い人間はそんなに自分のことを掘り下げられて見られたくない。
フェアな関係でなくとも、互いに都合のいい関係になることはできると思う。

自己愛が

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インドで激モテした結果、人生が好転した

インドで激モテした結果、人生が好転した

モテる女子というのは、目が二重でぱっちりしている。色が白くて、透き通るような肌をしている。そして、ボディラインが女性らしい。間違いない。世の中のモテる女子はだいたいこの3点セットを生まれながらにして与えられているのだ。

私はこの当たりくじを引くことができなかった。目がとても細く、地黒。骨盤が狭いので、ウエストのくびれなんて夢のまた夢。モテる要素ゼロ。私なんてモテるわけがないと小さな頃からずっと思

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crane.

crane.

 妹のように可愛く思っているひとが26歳の誕生日を迎えるのだという。孤独に苦しんでいる私の姿をみて、切ない声で「私もあなたの家族になりたい」と言って、この果てしない痛みをみずから引き受けてくれようとした彼女を天恵のように思う。大事な人を大事にしたい。彼女の歳の頃によく通っていた店に予約をとって祝いの席を設けた。着席すると、夕闇の窓の外で大きなオリーブの樹が茂っている。

 細かな雨が降ったり止んだ

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名指しと影

均質な光のもとには影がないのでなにも立ち上がらない
白くすみずみまでのっぺりと冴えわたってとても清潔だ
青ざめた紙の上でわたしたちは愛し合うそこに謎はない
ぎりぎり光を強めてじりじり目をこらして明日のための
紙のしみをみつけなければことばがうしなわれてしまう

まぶたのうらに過去の光の強弱が埃のように沈んでいく
ことばとは強弱であり差異であり生をひきのばすための
静寂と喧噪の波をまるごと受け入れる

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