「ㄅㄆㄇㄈ(ボポモフォ)」で世界への扉を開く
彼とは付き合ってもう一年半になる。今まで一度も彼の名前を正しく呼んだことがない。簡単に言うと正しい発音ができない。何度かチャレンジしてみたが、いつも「違う」と言われる。私は好きな人の名前すら正しく呼ぶことができないのだ。
私の彼は台湾出身の年下男子。出会いは夏至が近い初夏の昼下がり。たまたま宿泊した町家ゲストハウスの受付でうとうと居眠りをしていたのが彼だった。世界一周した後、京都のゲストハウスに住み込みで働いていた彼は、町家の屋根裏からいつも眠たそうにはしごを降りてきて、吹