息子の一人称を「俺」にさせる下北山村(家族移住体験:奈良県下北山村#5完結)
最後の2日間は、オンラインで開催された奥大和サスティナブルデザインスクールで出会った方々と下北山村で再会し、一緒に過ごす。
この数年で「出会い」の定義が変わったように思う。
一日目ハイライト。感じるだけでいっぱいいっぱいな小野さん夫婦のカフェ。そしてBBQ
初日は小野さんご夫婦がセルフビルドしたマキビトカフェで、お二人の生き方や考え方を聞きながら美味しいコーヒーを頂く。
外にあった自作のバイオトイレはあまりにおしゃれで、私がイメージしていたバイオトイレではなかった。
そして私が知っている鶏は、痩せている上にところどころ羽がないというイメージなのだけど(小学校の頃に校庭で飼われていた鶏。今思うと何で飼われていたんだろう。)、小野さん宅で飼われている鶏は本当に鶏なのだろうかと思うほど美しかった。
この鶏は、自分で絞めて捌いていただくこともできるらしい。
小野さん夫婦に会ったら色んなことを質問してみたいと思っていたけれど、実際に会って小野さん夫婦やこの自然やこの家やここにいる動物やトイレを見て、小野さん夫婦の生活を感じるだけで手いっぱいだった。
うまく言えないが、小野さん夫婦は何かがあった時だけじゃなくて、日々命を感じて暮らしているんだろうなと思った。
その後下北山村のおすすめスポットを巡り、夜はみんなでBBQを。
良く冷えた下北山村育ちのジャバラリキュールはあまりにも爽やかで、勝手に夏を感じた。新緑が綺麗な季節の夕方や、熱い夏の日のお風呂上りに飲みたいな。
二日目のハイライトは世界遺産の前鬼の里と、突然ワイルドになった息子とやはり七重の滝
二日目もスクールのみなさんと下北山村を巡る。約束の集合時間は朝8時。でもこの日はチェックアウトの日でもある。
早起きをしてむらんちの掃除をしたら、持ってきた荷物を全て車に積んで(←夫が)みんなのもとへ。
世界遺産でもある前鬼の里を散策する。
なかなか険しい山道を登っていくと、トチノキ巨樹群があった。中には樹齢200年ともいわれている幹周りが10mほどある樹も。
一番大きなこの樹は中が空洞になっていて、入ることができた。
次回は私も中に入ろう。
この大きな樹の中で私は何を感じるのだろうか。
下山途中、鳥の声が聞こえてきたのでちょっと目をつむってみる。
「アキャーーアキャーー-!」という甲高い獣のような声がして、
おぉぉ、さすが山奥だな、激しいですね、などと他の参加者と話していたらその正体は後ろの方にいた我が息子の声だったりして、安らぎを求めている他の参加者に申し訳なく思ったりしながらようやく下山。
ちなみに下山後、息子の一人称が「俺」になっていた。息子を一瞬でワイルドにさせてしまう恐るべし山よ。
その後、先日一足先に足を踏み入れていた七重の滝を再び訪れる。
何度見てもきっと変わらずに感動するだろう。
帰る前にもう一度来られてよかった。
ここは、どこに行っても私は私のまま生きていける、大丈夫だと、そう思った場所
みんなでお弁当を食べたら、いよいよ帰る時間。
私たちは一足先に解散させてもらって、少し仮眠をとる。
これから11時間かけてゆっくり帰る。
仮眠をしてスッキリした後は、お世話になった方々に挨拶をして、最後にムーミンさんのところに寄って、お土産までもらって(マキビトカフェの卵とたもとパンの食パン!嬉しい!)、名残惜しいけどいったんお別れ。
下北山村に滞在している時間は一瞬で過ぎていった。
下北山村に来たのは「奥大和サスティナブルデザインスクール」がきっかけ。
今更ながら、私はこのスクールを少し勘違いしていたようだ。
奥大和がサスティナブルな地域であり続けるためにどうこの地域をデザインしていくかを考えるスクールだと思っていた。
そういった一面もあるのだろうけれど、実際は、
この自然やこの自然とともに暮らす下北山村の人から
私自身が自分の暮らしを今後どうデザインしていきたいのかを考えさせられる場だった。
恥ずかしながら、おしゃれ感覚で「サスティナブル」という言葉だけを多用してきた気がするけれど、本当のところ私が持続可能にしていきたいのは何なのか。
そんなことを考える帰り道。
なんだか、地方と都市部の違いとか、
水が綺麗とか、不便さとか便利さとか、
ここに住んだらどうとか、
そんなことを書こうと思ったらもしかしたらそれらしく書けるのかもしれないけれど(本当か自分。そもそも既に水が綺麗とか不便さとか便利さとかしこたま書いてましたがな、というのはいったん置いておく。)、
なんか違うような気がしている。
ここは、
どこに行っても私は私のまま生きていける、大丈夫だと、そう思った場所。
人からも自然からもたくさんもらった。
もらったから私もお返しで、とかじゃなく、
私もどの場所であっても与えられるものがあるならば出し惜しみせずに全て与えたいと思った場所。
そして一日を過ごす中で心が震えるような瞬間が一番多かった場所。
継続することや同じ場所にいることが苦手な私だけど、定期的にここに来れる方法を考えたいと思った。
また戻ってくる。