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切り口を変えることでブランド力を高める #50 アメリア・イアハート効果
製品やサービス、場合によっては企業の価値を識別し、さらには差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたものがブランドです。
更にブランディングとは、ブランドの価値を高め、より差別化効力を高めることで、製品やサービスが自然と売れやすい仕組みをつくることです。
かつて、国家予算事業の現場実態を把握し、その予算の適正な運用を判定する事業仕分けの席で、仕分け人からの発言が話題となったことがありました。
「世界一になる理由は何があるんでしょうか?」
「2位じゃダメなんでしょうか?」
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対して、世界一の投資家と言われるアメリカのウォーレン・バフェットは、「追随者には楽であること以外、得るものは何もない。ビジネスは二者択一。一番手かその他。」と言っています。
ブランディングの観点からも、2位じゃダメなのです。
1位であることが大きな差別化となります。
勘違いされては困りますが、2位が存在価値がないと言っているのではありません。
あくまでも、唯一無二の存在である1位だからこそ、そのブランド価値は、追従する2位以下とは違うと言うことです。
しかしながら、ビジネスの世界では、1位でないにも関わらず、十分な価値を生み出し、成果を上げている企業や個人も存在するのも事実です。
マーケティングの中で使われる「アメリア・イアハート効果」と称されるものがあります。
アメリア・イアハートとは、「アメリア 永遠の翼(2009年公開)」として、映画にまでなったアメリカの女性飛行士です。
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1927年にチャールズ・リンドバーグが、ニューヨークからパリまでの大西洋横断単独飛行に成功します。
アメリアは、その後、1932年に、この大西洋横断単独飛行に成功しています。
そもそも、アメリアは、1位でないばかりか、実際、もっと早く大西洋横断単独飛行に成功した人は、他にも何人か存在したそうです。
しかしながら、アメリアは現在でも、アメリカで英雄として名を残しているのは何故かです。
それは、紛れもなく、アメリアが女性だったからです。
ここで、決して、勘違いして欲しくないのが、女性だからと言って、特別扱いしたり、差別視しているのではありません。
マーケティングでは、例え、2位以下であっても、切り口を変えたら1位になれると言うことです。
つまり、1位ではないアメリアが、あくまでも「女性と言うカテゴリー」の中では、1位になれたと言うことになります。
「アメリア・イアハート効果」とは、切り口を変えることで、1位のブランド称号を手に入れることが出来ることを意味します。
切り口を変えることで、戦略や戦術が変わることを意味するランチェスター戦略も、これに近い概念です。
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アメリアが残した言葉です。
「それを行う最も効果的な方法は、それを行うことです。」
過去は変えることは出来ないかもしれません。
しかし、出来ないことを嘆いてばかりいても何も変わりません。
思考の切り口を変えて、出来る方法、活路を見出して行動すべきかと思います。