社員の発揮能力向上策 #171 キャリアアップ教育
企業は、その目的を果たすために、経営理念に基づいた戦略を立案し、それに沿って事業活動を推進します。
そして、それらの活動には、経営資源と呼ばれるヒト、モノ、カネ、知識、情報などが不可欠となります。
経営資源を提唱したエディス・ペンローズによれば、企業の成長に限界が来るのは物理的な制約からではなく、相対的に経営資源が不足するからと示しています。
対して、経営資源の筆頭であるヒト、つまり、人材不足が昨今の大きな社会問題となっています。
その重要性から最近は、人事的なキーワードとして、HRが定着しています。
これは、Human Resourcesの略であり、単なる人材ではなく、人的資源を意味することとなります。
さらに、経営目標の達成を目指す機能として、HRを戦略的に有効活用するための仕組み、すなわち採用、教育、人事評価、人材配置などのすべてを統括するHRM(Human Resource Management)が重要視され始めています。
単に制度を整備して運用するだけでなく、組織と人材、人材と人材、それぞれの相乗効果によって事業に貢献できるように促す機能も含まれます。
企業の人材不足であれば、不足したら補充することで成り立っていたのかもしれません。
しかし、社会全体が人材不足であるのか現状です。
そうなると頭数で補う人材不足というよりは、もっと大枠で労働力不足と捉えるべきかと考えます。
その意味でも必要なのが人材個々の発揮能力を高めることです。
また、労働環境の変化に伴い求められる知識やスキルも変わって来ています。
そこで、平等を前提に全正社員を横並びに、発揮能力を向上させるための勉強会を実施して、総体的な底上げを行おうとしました。
もちろん、平等とはいえ、役職別あるいは経験値別にクラス分けした上で参加を義務づけました。
しかしながら、人間には、現状を現状のまま維持したいと思う無意識の欲求である現状維持バイアスが働くとされています。
さらには、認知バイアスの一種であるダニングクルーガー効果によって、自分を過大評価してしまうと勉強する必要性を受け入れません。
それどころか強制されることに対する抵抗感や反感すら持ってしまいます。
ここは私が完全に社員の状態の見極を誤りました。
結局、総体的な底上げどころか、勉強会に自分事として参加する社員と他人事と捉えてしまった社員の間に、ますます、格差を広げることになってしまいました。
現在、再構築しようとしているのがキャリアアップ教育制度です。
その目的は、この教育制度の活用してもらうことで社員の発揮能力の向上です。
その上で、それを公明正大に評価して報酬として社員に還元することが制度として非常に重要となって来ます。
その意味でも、教育制度を活用したか否かで評価することはしません。
あくまでも、制度とは別に、実務と発揮した能力で評価します。
この制度を通して、社員が、なりたい自分やなるべき自分に向けてキャリアを発展させることを期待しています。
その意味でも、本制度では、社員自身の自律性を尊重した機会の提供を前提とします。
基本は、社員の自習支援です。
その意味でも、社員がキャリアアップする上で有益な書籍やネットサービス(記事・動画)を紹介します。
有料なサービスであれば、会社が貸し出したり、費用負担します。
書籍やネットサービスであれば、時間や場所に制約されることなく、自分のペースで勉強できることも魅力かと思います。
また、社員の自習に委ねるだけではなく、社内外で開催される研修や勉強会の参加の機会も提供します。
加えて、ミーティングやグループウェアで意見交換できるような場を設けるようにしています。
この教育制度が完璧であるとは全く思いません。
しかし、現在の組織の状態では最善の制度なのかと思います。
今後の運用状況によって必要とあらば、見直して行きます。
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