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渡辺 杜太朗
2021年12月3日 02:20
快晴の十五時お出掛け中の雲は彼方の上空みかん畑の色彩で私の目のなか燃える様もぎったみかんは卵の様にそおっと籠に置き入れる橙 群青 深緑私がいるのはそんな世界鼻を通った風の香は揺さぶる私をピンとさせる柑橘のそういうとこが好きだ見上げた彼方の群青にヒラりと降っては落ちてくる一枚 二枚と数えていけばどんどん増える百のハンカチみかん畑の橙がハンカチ色の純白に
2021年11月16日 10:28
潮騒を五月蝿く感じたら私が私じゃない合図可憐で繊細な波粒の欠片が私の傷口に刺さっているのカモメに笑われたら私の胸中にある海の水量が溢れてしまう合図気高いカモメの群れさえも敵だと認識してるみたいそんな私は私じゃないからここでのお話は内緒にしてね海はいつでも無垢で綺麗に問いかけてくるあどけない水平線からこちらへ
2021年11月14日 21:00
癇癪起こした太陽燃えたのは心構えのない白球ひょろっと好天に打ち上がるぽつんと回転 青に白見上げた熊の外野手は大きな左手をガブリと開いた瞬間は空白のページ手繰り寄せたのは目は眩む閃光太陽炉に灼かれた両目視界は黄色いインクに染まった灼球は何食わぬ表情で矢継ぎ早に向こうの芝と仲良く遊ぶ歓声は落胆に落胆は歓声に熊は転がりヌクヌク遠ざかる灼球を目指した川上で狩を
2021年10月22日 11:01
駆けない鳥は空を歩いた風をきっての滑空はもう何年もしていない小さな森の上をぐるぐるあぶくを吹いて落下してから鳥は空を歩くだけ遠い街にはいけなくなった同じ景色の同じ夕時大きな夕陽が燃えている寒さが始まり夕陽の暖をとりたいがあんな遠くは飛ばなきゃ行けない牛歩で空を歩いたら森の端では花が枯れまた咲く準備がよく見える鳥は両羽で行ける程の小さな
2021年10月9日 23:23
私は行間に住んでいる悲しい言葉の温かい物語ここにいたらだれにも声はかけられないさようならとありがとうの間に囲いを作っても泪で私は見つからない悲しい言葉や美しい景色に皆の目は行き私の上は目線が通過するばかりいまはこれでいいここで休んでいたい真っ赤な林檎のように艶めき激ってきたらここをでるその時はどうか私を読んでほしい心を熟す丸い林檎をあげるから
2021年10月4日 23:12
老廃物が体に詰まる間隔を置いてズドッと荷を背負うただいまって帰るとおかえりって声の後ろでうどんが煮込まれる昨日のカレーのあまりもんとろっとしたカリーうどんお揚げさんよ長葱さんよありがとうこれが美味いんだよな野菜の残ったカリーうどんずるずるはふはふほっくほくずるほくじゅるるるほっくずるごくごくごくごく老廃物を流しだせ
2021年9月26日 21:33
ダイソンにまたがった魔女は夜空を優雅に駆ける乗り心地は快適でスピード感もいい東京タワーを斜め上から見下ろした後に赤坂の夜景を目に焼きつけた高級ホテルの上の方あるラウンジの窓にはゆっくりとした時間が流れている魔女はそれに感化されスピードを落としたBluetoothイヤフォンから流れるユーミン新しい東京からエモーショナルを引き出している夜空を駆ける魔女が
2021年8月28日 20:35
白い甲板には半袖を捲り上げたのあなたが立っている揺らいだら危ないよと僕が言うと小心者の貝殻さんって白い歯を見せては僕の顔に微笑み睨んだフリをした勝手によそ様のヨットに乗ってはいけないよと言うと臆病者の貝殻さんって僕に呟き誰もいない沖を眺めていた長くて少し茶色い髪が時間の流れが一日のなかで最も穏やかな昼食明けの時間の隙間で太陽と戯れている部屋のなかより明るい髪
2021年8月10日 12:12
ひとが通った足跡などない堀のまわりは草の海猪だって転んでしまう勝手にできた草結び私は遠くで眺めてる街の外れにある古城外壁は蔦の遊び場で屋根にはトンビの巣がみえるブロック塀の洋館は窓の格子でだんまり静かあくる日ふと来た旅人が城の在処を聞いてきたなんともわざわざ遠縁の西の街から城を観に来た私はお初の旅人にあんたは盲目なんだかな街に足さえ着いていれば
2021年8月6日 18:12
鼠がはしる道の外れで鼠がはしる朝露滑らず鼠がはしる私の脚横大威張り鼠がはしるガタガタ遊園鼠がはしる今日のスタート 笛が鳴る鼠がはしる君とは違って 私は布団へ鼠がはしる酔いどれに蹴り鼠がはしるぴぴぴぴぴ鼠がはしる暑さの起きる その前に鼠がはしる鈍い眼は銀色カラスに気づかれない鼠がはしる人が群がるの以前の都会も鼠がはしる君が溢れる 都
2021年7月27日 10:22
子供の頃の小さなわたし不思議そうにこっちをみてる田んぼの間を駆けずりまわってにたにた笑って泥んこまみれ膝を抱えた私をみると笑みを隠して口を開いただいじょうぶ?小さいわたしがこっちをうかがう私はその幼く無垢でガラス玉の様な瞳を直視するのが痛くて怖くて小さいわたしにあっちに行ってこっちを見ないで会いたくないからどっかに消えてそう言ってはぎゅ
2021年6月25日 22:09
遠くで誰かが想うのは遠くに暮らす私の心情庭に咲いた小さな花に水を垂らす様に窺い知れない遠里の花に水を差すのは巨人の長腕が必要物資残念ながらに巨人は幽霊 夢の化身触れられないから当てにはしちゃ駄目屈強な花は雨を啜り泥だらけの花弁でも背骨の茎は曲がらないのだろうそんな花だとしても尚たまの便箋一通なんかじゃ不安の球はハートのなかで静かに跳ねる病と契約してないも
2021年4月26日 11:20
キリがないほどに私の狭い部屋に生える草は刈っても抜いても育まれるそれは私の狭い部屋が終わった後の地球の文明の祖の様で私だけ生存してしまった世界線の様に思える私の狭い部屋には雨も降りその度に私は傘をさしびじゃびじゃになった草の葉を急いで引っこ抜いていたそんで顔を出した木の床を雑巾でぞすぞすと拭き疲れた頃にはまた草が育ちだすある日目を覚ました
2021年4月10日 14:00
色のあるパスタをたべて風に舞うファッションを纏う波の揺らぎを尊く見つめ友との会話はスーパーボール私にとっては悪くはないライフもあなたにとっては谷の底かも知れないワンタイム人の苦は身体が違うとDo not know他人なんざ悲観なフェイスをわざわざ見せないもがく脚は水中だけの白鳥さ悟りの悪い私にBADオー シットあなたの痛みが見えないままで無邪