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詩集 幻人録

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詩/思えば

詩/思えば

夜道を歩いて何処へ行く
降らない雨の合間を縫って
正しい心で朝を待つ
止まない夢の隙間をなぞって

知らない道をどこまでも
お見通しなのは月の兎
蒼白い月冷たく光る
あなたのことはずっと知ってる

風が乗ってるブランコは
五月蝿い夜しか知らくて
私が乗ってるブランコは
静かな夜しか知らないの

余計なことは脳には入らず
薄暗い街の空虚な歓び
ただひたすらにとはいかないが
思えば私は真心に乗って

ダイヤモンド

ダイヤモンド

あなたの涙はダイヤモンド
輝きはスペクタル
だけどもそんなの見たくない

可憐で透明な美しい石
嘘のないピュア
だけどもそんなのもういらない

哀しみは雨
いつか晴れ間が訪れたら
抱きしめよう強く

壊れるほど甘く
あなたの頬にきらりと輝く
拭って飾ろう

透明な輝きを胸に
あなたの喜ぶことを
考えながら眠りにつこう

星の傷口

星の傷口

生き恥は所作の中に
魂は霊廟の外側に
膝が震えて子供は泣いた
私は右手の花束を枯らしてしまった

悶えた心臓はおもいのほか速く
鼓動が絶え間なく五月蝿い
それは贅沢な悩みの一欠片で
私の左腕に抱えられた人形は涙を流した

数えきれない思いの星屑が
夜空から消える度に哀しみの聲が
天井を破って私に届く
それが弱さの傷に染み込んでいく

たくましさの虚像を胸の奥に
それを頼りに今を歩き出す
たとえそれ

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無に凜と

無に凜と

膨らんだ傷みの根幹は
萎んでいくだけの風船の様
ただあなたが居なくなることが
鬱の懐に歯痒く留まる

磨いた心は球体で
真心だけの詰め合わせ
温もりのない掌は
数え歌にも負ける遊戯

答えのない悲しみを
狼煙をあげて叫びたい
あなたに届けともがきたい
雄弁な程にすらすらと

明日は本日の曇天よりも
晴れ間が軽いと嬉しいが
明日が雨なら泣いていたい
無に凜と

冷たい風の真ん中で

冷たい風の真ん中で

悲しいことは捨てようと
精一杯の歩みを一歩
苦しいことはやめようと
冷たい風の真ん中で

麗しいのは強い愛
憎らしいのは余分な私
花が咲いたら枯れるのが
怖くて泣いた余計な私

刹那の命を言の葉に乗せ
あぜ道歩いて運んでください
忘れてしまった最初の願い
産まれた頃の美しい願い

人は心に恋をして
綺麗な光の光合成
冷たい風の真ん中で
いつも暖かな場所を探してるのだから

詩/星間遊泳

詩/星間遊泳

月が泳ぐ

漆黒の海のなか

溺れない様に

少し欠けながら

追いかけた

夢中で

星屑が頬に当たる

うまく泳げない私

月に離される

彷徨った冷たい夜

息継ぎは白い息

高鳴る胸の鼓動が

アスファルトを遠ざける

白い浮雲が

海月の様に刺す

痛みなら

柔らかな言葉だけで包んで

そっと朝を待っている

あなたの家の上空を

泳いで通り過ぎていく

夢の中で逢いましょう

眩む程

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詩/岩壁への旅

詩/岩壁への旅

私は地べたを這いつくばって
自由の海に辿り着くまで
ぴちゃぴちゃ跳ねる魚でしかない

泥に塗れた鱗が剥げて
汚い聲を吐きながら
生命の起源を感じる他ない

死神のマントの様な暗がりが
襲いかかっても先にある
小さな灯台の灯を胸に

真っ直ぐに跳ねるしか道はない
邪念は工夫の産物で
今の私には遠い価値

ただひたすらに
ただひたすらに

抗うのは墓石の刻印
広大な海の音が
ざざざと尋ねてくるまでは

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詩/微笑の子

詩/微笑の子

感じるほどに

熱い微熱

包まれたなら

あなたの香り

水平線の向こう側

眩しい夕凪が

湖のほとりに佇む

新たな心の悲哀

くだらない秘密の片隅に

薄れない微笑みが

しがらみの中に落ちてく

まだ見ぬ子の微笑

伝えたい言葉の色が

崩れ落ちない様に

瞬きの中に閉じ籠める

嘘のない涙の丘

狼狽えないでいて

本にはならない人生の

心を聴いてほしい

暗闇の様な暖かさ

薄れな

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詩/どんよりとした世界を遮る

詩/どんよりとした世界を遮る

ダイヤモンドの様な聲

どんよりした世界に生きる

あなたの聲が暗がりを

乱反射した光の屈折

私からの贈り物

あなたの首元にダイヤモンド

それはあなたを強くする

それはあなたと共に生きると

願った私の想いの塊

強く握った手と手が今

熱く火照って繋ぎ止める

新しい輝きは

どんよりとした世界を遮る

あなたと私の光り方

きっと見つける慕情の横顔

詩/僕という名の希望

詩/僕という名の希望

悲しい朝が来るなら
君の心に矢を放つ
僕という名の希望
それが唯一の朝日なんだ

淋しい夜が来るなら
君と踊り続けよう
僕という名のビート
細かく輝く散り星の様

なんにもない部屋に
飾ってほしい花は
諦めた胸に光を灯す
決断の花弁

発色し続ける可憐な笑み
それが君の本当の聲
全てを飲み込み続けよう
君の毒も全て僕が貰うよ

詩/月とあなたと

詩/月とあなたと

微熱におかされ
苛まれる思考
絡まる愛情は
不確かに形造る

溢れ出る純愛は
軽薄なほどに殴りかかってくる
私の心はサンドバッグ
あなたの笑みが胸を打つ

「今夜の月は真っ黄っ黄」
興奮するあなたに心囚われた
「今夜の月はまん丸」
演舞するあなたの胸中に住みたいと願う

愛情の雲は月をひた隠しにした
あなたが私だけを見る様に
私は月に嫉妬した
哀れで小さな心臓さ

詩/氷の嘘

詩/氷の嘘

君のついた嘘

僕の心の刃

その矛先は

悪魔の羽根

羽ばたけない様に

僕が折る

君の本音

もう邪魔しない様に

僕のついた嘘

天使を笑わせる為の口実

嘘のない世界が幸せならば

この世は昔から幸せだ

だってみんな

嘘は嫌いでしょ

だってみんな

嘘は苦手でしょ

氷の溶けるスピードに

季節が関係する様に

本当のことを炙り出すには時差がある

でもね

暖かい心こそ

氷は

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詩/弱い星の片隅より愛を込めて

詩/弱い星の片隅より愛を込めて

この星は弱い星

君みたいな柔らかい心が

集まって出来た星

僕はこの場所に住んでいる

弱さの中で息してる

僕だって怖いから

常にバリケードを張っている

優しい愛だけを

瞳に宿して

誰かの視点で世界をのぞく

心がすぐに痛むから

君は色々考える

頭の中の思考の蔦は

いつしからか君の足元まできた

掬い上げた水の濁り色

青色のない信号機

寒い夏の思い出

それら全部が君の心に

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詩/冷たい風に

詩/冷たい風に

心が渇いていた

それは水を飲み干しても

潤いはしない

悲観な心情

あなたと話した

朝まで話した

それは私の乾きを

純に潤してくれた

黙っていても

駄目だった

あなたは私の話しが聞きたいと言った

私はあなたに愛を伝えた

宵の縁に腰掛けて

ずっと愛を語りかけた

それはもう鬱陶しいくらいに

あなたは笑った

愛はもう聞いたと笑った

他にどんな話しをしよう

冷たい風に変わ

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