椿の咲く頃に②(休職時代)
自分の出来なさに傷ついて惨めな気持ちになっても
上司や同僚の言葉に傷つけられて絶望しかけても
平気なふりをしていたのであった。
「給料泥棒」
「子どもの行動は人を見てやってる。
あんたはなめられてるよね」
「判断力が弱い」
次第に自己嫌悪になっていることさえ
自分にとっての当たり前になってしまった。
でも心は十分に傷ついていた。
見ないふりをしていてもだ。
身体は痩せ、
気力を全て失ったことで、
心の状態を身体と頭によって思い知らされた時に
休職になった。
もはや感情のコントロールも
十分にできず、
寝ようと目を閉じるとグルグルと思考の深い沼に
ハマってしまう。
そのうちに、呼吸が上手くできなくなる。
息を上手く吸えない。
焦って息を深く吸い込もうとするが
喉につっかえそうで怖くてできない。
なんとか呼吸のペースを取り戻す。
過呼吸になるのかと思った。
偏頭痛に加えて思考がぐるぐる回る。
考えたくなくても止まらない。
気持ちが悪い。
そのまま気分の悪さが押し寄せ、
泣きながら吐いた日もあった。
眠れないから思考が休まらない。
朝まで眠れない。
外が明るくなる。
テレビをつけると、
朝の情報番組が始まってしまった。
一睡もできなかったことへの焦り。
唯一ほっとできる点は、
仕事に行かなくていいということだけである。
思いがけず予約できたのは、
街中の大きなビルに入っている、
メンタルクリニックであった。
医師からは「抑うつ不安状態」と診断され、
「子どもなんて言うこと聞くわけないんだから、悩んでもしょうがないのに」
「保育の学校でも習ったでしょ?」
と。
診断書はあっけなく書いてもらったので、
本格的な休みに入ることになった。
ぼーっとするということが
難しくなってしまった日々だった。
(続く)