小腹空いたかもと思ってから呼んでも十分間に合う
ここ数日、〈むらすゞめ〉が頭から離れない。
え? 〈むらすゞめ〉をご存じない…?
倉敷銘菓、橘香堂の〈むらすゞめ〉だ。
橘香堂〈むらすゞめ〉(公式サイトより)
編み笠をモチーフに作られたが、トップ画像のごとく、稲穂に群がる雀のような姿形から〈むらすゞめ〉と呼ばれるようになったのだとか。
それはまぁいい。
なぜここ数日、この〈むらすゞめ〉が頭から離れないのか。
きっかけは、sekky さんが2日にわたって倉敷の旅を綴られた記事だ。
この記事を見た瞬間から〈むらすゞめ〉が頭の中を飛び回っているのだ。
えぇい! 作ってしまえ!
何度か作ったことはあるのだが、これだけモチベーション高く〈むらすゞめ〉に向き合うのは初めてかもしれない。
生地はほぼどら焼き。
ただ、そんなに膨らませたくないので、少々の調節はしたほうがよい。
あんこはかみさんが作り置きしていた冷凍のものを拝借。
あんこあったっけ? と訊いただけなのに、そろそろ〈むらすゞめ〉作るん? てなんで察知されてるん…
ホットプレートに生地を少量落とし、お玉の底でグリグリと丸く広げる。
あまり大きく広げると〈むらがらす〉になるので控えめに。
かといって分厚いとどら焼きになるので、ごく少量を薄く、が鉄則。
少しすると生地にプツプツと穴が開いてくる。
どら焼きならこれが中面になって隠れるが、〈むらすゞめ〉はなぜかこのプツプツ面を表にする。
表面が少し乾きはじめたかなという頃合いで、手で縁をつまんでペロンと裏返す。
真ん中より向こうにドテッとあんこを載せる。
すぐに手前の生地を持ち上げて、あんこを上から包む。
この時、ちょろんと生地をつまんでパンツのタックのように折りたたみ、独特な形に仕上げる。
はい、できあがり。
思い立ってからできあがりまでわずか30分ほど。
小腹空いたかもと思ってから呼んでも十分間に合う〈むらすゞめ〉。
おやつに出したら、プツプツの穴ぼこが苦手な息子が悲鳴をあげた。
――ひーっ、気持ち悪い!
いやいや、作った人の前でそんなこと言うでない。
正直、作った人も少し気持ち悪いと思っているけど。
――なぁ、ホンモノもこんなんなん?
うん、ホンモノもこんなん。
…ん? ホンモノ?
まるでこれが○○モノみたいではないか…
――キッチンでごそごそ音がしてたから、そろそろ〈むらすゞめ〉かなぁと思ってたよ。
みんなしてどんだけ察知するん…
***
sekky さんに感謝。
いつも飄々と淡々とリズミカルに、たとえ爆弾発言でもそうは見えない、おかしおもしろし、sekky さん。
(2022/5/25記)
チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!