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TRAJAN *カリグラフィーとフォントと古代ローマ
中世写本やカリグラフィーを学び始めてから、文字にも格というものがあることを知りました。
最上級書体は、ローマンキャピタル。
有名なのはローマのトラヤヌス帝の碑文。文字の形もスペーシングも完璧だそう。
アルファベットの大文字の基本となるもので、紀元1世紀には完璧な形として書かれていたと言います。2000年以上たった今でも変わることなく、高級ブランドのロゴや映画のタイトルなどに使われています。
私はまだこの書体を練習したことがありません。
いつかは・・と思うけれど、格の高いものよりもうすこし使いやすい書体から、と思ってしまうのですよね。
一方、パソコンで使うフォントですが、好きでよく使っていたものがいくつかあって、その1つがTrajan Pro。
このフォントは大文字しかありません。
これ、読み方がわからず、トラジャンと読んでいました。そういう人は多いと思う(笑)。正確にはトレイジャン、またはトゥレイジャンですかね。
このフォントにあらためて注目したのは、この本を借りたから。
とても貴重な本なのですが絶版になっていて、市立図書館にないので、県立図書館にいって借りてきました。Amazonだとなんと2万円近い!
この本のローマ碑文のページで、トラヤヌス帝の戦勝記念の碑文について読んでいた時、Trajan Inscriptionという文字が目に入りました。
ん?あ?え?! Trajanってトラヤヌス帝のこと?!(気づくの遅い!)
フォントを選ぶのは好きですが成り立ちまで知らなくて、フォントとカリグラフィーが結びついていないのでした。
ですので、以前webマガジン「Stay Salty」に書かせていただいていますが、よく使っていたApple Chanceryというフォントが、カリグラフィーで最初に習うイタリック体と繋がっているのに気づいてませんでした(いえ、似てるとは思っていた)。
「Stay Salty」の記事はnoteの投稿を元にしていたので、noteのほうは下書きに戻していましたが、あらためて公開。
別名チャンサリーと呼ばれるイタリック体が、ルネッサンス時期のローマ教皇庁の公式書体だと初めて知った時は、同じ文字を書いているのかと感動しました・・・。
さて、昨日ちょっと「古代ローマ人の24時間」(アルベルト・アンジェラ著)という本のことを呟きました。
古代にはあまり興味がなかったと書きましたが、興味がないというより、古代ローマは好きじゃなかったんです。
もっと言えば、ローマが嫌いでした。
それには理由があるようなのですが、現代のローマは少しづつ好きになっていきました。が、古代ローマはあまり・・・。
「テルマエロマエ」の原作は全巻持っていて、好きでしたけれど。
それがなんとなく、もっと知ってみようと思ったのは、文字の歴史がきっかけの一つといってもいいかもしれません。
上記の本はまだ「はじめに」しか読んでいませんが、買って正解でした。
本書の目的は、日常生活を語ることによって古代ローマの遺跡を蘇らせることである。ローマの街路を歩くとどのようなことが感じられるのか、まわりを行く人びとはどのような顔をしていたのか、バルコニーからは何が見えていたのか、彼らが食べていた料理はどのような味だったのか、通りではどのような会話が交わされていたのか、カピトリヌスの丘に立ちならぶ神殿は、朝焼けに照らされるとどのように見えたのか・・・。そんなごく素朴な疑問への答えも明らかになるはずだ。
「古代ローマ人の24時間」“はじめに”より
面白そうですよね。
これは空想ではなく、考古学的な研究や発掘の成果、古代の文献研究をもとに書かれているそうです。
「はじめに」の終わりには、
「起源一一五年、トラヤヌス帝の治世下におけるローマのとある路地が本書の旅のスタート地点だ。」
とありました。
どうやら今私は、トラヤヌス帝の時代に招かれているようです。
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