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『源氏物語』解説

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『源氏物語』解説まとめ
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#古典

源氏物語の話16 「女にて見る」問題

第二帖「帚木」④/中将の不本意/新日本古典文学大系/新大系・旧大系/新潮日本古典集成/新編日本古典文学全集/古註/思いがけない出会いが良い/藤式部丞の姉妹/光源氏の見解/束帯・衣冠・直衣/女にて見奉らまほし

【以下文字起こし】

源氏物語解説の第16回です。帚木の解説としては4回目になります。

前回は、光源氏と中将の女性談義に、左馬頭と藤式部丞も加わって、受領の家の娘はなかなかバカにできないぞ

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紫式部の父親の話

藤原為時の話/中納言兼輔の孫/菅原文時/菅原道真の孫の弟子の娘/師貞親王の副侍読/蔵人/受領就任への王手/陣定/巡任/花山天皇の退位/紫式部の少女時代、突然の父無職/散位/位録/一度きりの晩婚/返り咲く為時/今昔物語/古事談/十訓抄/除目/申文もてありく/歌徳説話/淡路守から越前守へ/大江匡衡/出世しすぎず人生全うした道真/赤染衛門の夫/なんとかしてやりたいやつリスト/三蹟が一人にして一条朝の能吏

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源氏物語の話15 平安中期の階級意識

第二帖「帚木」③/「きざみ」と「しな」/雨夜の品定め/高貴すぎて知らない世界/零落と成り上がり/上達部(かんだちめ)/位階/貴族=五位以上/三位(さんみ)/殿上の間/昇殿/参議/公卿/左馬頭と藤式部丞/左馬寮右馬寮/式部省/藤原為時/四位の中将、五位の左馬頭、六位の式部丞/どっちも中流/受領(ずりょう)/国司/守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)/遙任(ようにん)/公地公民/人頭税/制度破綻/人頭

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源氏物語の話14 雨夜の品定め

第二帖「帚木」②/五月雨と物忌/宮腹の中将/義兄であり親友でありライバル/男同士の女性談義/かたかどもなき人はあらんや/上流中流下流/吉村研一「源氏物語において『ほほゑむ』の果たした役割 『ゑむ』と『ほほゑむ』の違い」/ほほゑむ人としての光源氏

【以下文字起こし】

源氏物語解説の第14回です。箒木の帖の解説としては二回目になります。

今回から、有名な「雨夜の品定め」のシーンについて話すんです

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源氏物語の話13 既存の物語を超えて

第二帖「帚木」/現実の歴史の延長線上/「語り手」の問題/最強無敵のプレイボーイ交野の少将/兵衛府、衛門府、近衛府/貴公子といえば近衛の中将/伊勢物語初段「初冠」/春日野の若紫の摺衣しのぶの乱れかぎり知られず/陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れそめにしわれならなくに/既存の物語を超えて

【以下文字起こし】

さて、伊勢物語の解説を何度か挟みまして、今回からは再び、源氏物語の解説に戻ろうと思います。

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源氏物語の話12 光源氏の正妻 

元服/髪型の変化/兄に負けないセレモニー/桐壺帝の胸中/ひきいれの大臣/ウルトラスーパー高貴な娘/おぼしわずらふこと/光源氏の正妻/左大臣の賭け/葵の上の憂鬱/藤壺への思慕/既婚者の一般男性/変動するパワーバランス/右大臣家の婿取り/桐壺の章段のラスト/訂正「光源氏の三つの家」を説明した際に言った「宮中の藤壺」は桐壺の誤りです。

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話11 作中最高の女性 

ベテラン女官典侍の証言/桐壺更衣のそっくりさん/先帝の四宮/先帝って誰?/皇太子不在の謎/反対する母/藤壺/桐壺更衣との決定的な違い/誰かの代わりに愛されるということ/光源氏の憧憬と藤壺の恥じらい/弘徽殿の女御の苛立ち/光る君と輝く日の宮/輝く藤壺、中宮彰子/作中最高の女性

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話8 楊貴妃の死

徹夜で待ってる帝/古典における「物語」/『長恨歌』/平安貴族に大人気の白居易/若き英君、玄宗皇帝/息子の妻、陽玉環/二重の玉の輿/『資治通鑑』/政治に飽きちゃった玄宗/宰相、李林甫/陛下、今日も世界は平和です!/口に蜜あり、腹に剣あり/節度使、安禄山/巨漢の赤ちゃん/元ギャンブラー、楊国忠/安史の乱/名君にして暗君/馬嵬の悲劇/楊貴妃の死

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話7 母の嘆き

おばあちゃんの話/幼さへの憐憫/平安時代の葬送/同じ煙になりたい/周囲の視線の冷ややかさ/三位追贈/輦車(てぐるま)/弘徽殿(こきでん)の女御/靭負(ゆげひ)の命婦/母の嘆き/帝の狡さ/宮城野の露吹きむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ/父の遺言/帝の言い訳/鈴虫の声のかぎりを尽くしても長き夜あかずふる涙かな/いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人

【文字起こし鋭意製作中】

源氏物語の話6 ただ、一人の女として

【文字起こし鋭意製作中】

皇子の袴着/継続する皇太子問題/オオカミ少年の悲劇/帝を縛る「限り」/虚しい勅命/ただ、一人の女として/限りとて別るる道のかなしきに いかまほしきは命なりけり/ただの男になり損ねた帝

源氏物語の話5 二人の皇子

もう一人の皇子/公的な愛と私的な愛/実はちゃんと仕事を果たしていた帝/皇太子はどっちだ/帝が悪い/母としての扱い/右大臣家の女御の焦り/煩わしい女/皇居内汚物散布事件/最悪の改善策 ※桐壺の更衣が受けた嫌がらせについて、本文中に汚物や呪咀を意味する表現は明言されておらず、ただ「あやしきわざ」と書かれているのみです。しかし今回は話にインパクトを持たせるために、一条兼良や本居宣長といった古い学者の記述

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源氏物語の話4 桐壺って何?

桐壺=部屋の名前/七殿五舎/最低の部屋/父の死んだ姫君/母の孤軍奮闘/乳人の不在/遠距離恋愛の弊害/必然的なとんでもないこと/祝福されぬ誕生 ※桐壺の更衣の母について、音声では皇族出身説を語っていますが、ここは諸説わかれるところのようです。本文中の記述は「いにしへの人のよしある」で、皇族とは明言されていません。ただ、どこかしらの旧家名門出身であろうということは見解の一致するところです。

【以下文

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源氏物語の話3 傾国の美女

愛の悪循環/更衣は楊貴妃に似ている?/唐の名君、李世民/すったもんだの後継者問題/第三の女/暗闘の鬼、則天武后/若き英君、玄宗皇帝/傾国の美女

【以下文字起こし】

さて、源氏物語解説第3回です。前回は3文だけ本文の話をしましたね。当時の常識でいうと、帝っていうのは、貴族たちのパワーバランスに合わせて姫君たちを寵愛すべきなのに、源氏物語の冒頭では身分が低い更衣にあたる女性が並々ならぬ愛され方をし

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源氏物語の話2 一人の女がぶち壊したもの

源氏物語っていつの話?/「更衣」って何?/后の不在/やってくれたな紫式部/帝の好きな姫君ランキング、ではない/まぁ俺は関白太政大臣だから/帝のお仕事/愛も性も公務の人生/排除される天皇/一人の女がぶち壊したもの

【以下文字起こし】

さて、今回はいよいよ源氏物語本文に触れてみましょう。冒頭は「いづれの御時にか」というフレーズから始まります。これがね、早速、ちょっと特殊なんですよ。何が特殊かって、

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