見出し画像

映画「サンセット・サンライズ」のロケ地マップを見ながら宮城県気仙沼市でロケ地巡り・聖地巡礼を満喫する一人旅

冬を忘れるような春めいた陽気だった。2025年1月19日。春はまだまだ先だというのに、ほんの少し歩くだけでほのかに汗ばむような暖かさだ。東北の冬と聞くと、誰もが豪雪地帯に見られるような雪景色を思い浮かべるらしい。だが、この日の気仙沼市は、豪雪との縁のなさを感じさせる。そもそも気仙沼市の冬は、山側を除けばあまり雪が積もらない。

気仙沼市だけではない。筆者が住む岩手県沿岸部の気仙地域と呼ばれるエリアも市街地で雪が積もるのは稀である。筆者はフリーライター業の傍ら、東京の日系グローバルベンチャー企業で正社員をしており、また東京の企業で勤めている人々との交流が多いため、頻繁に「岩手県だから、雪が凄いのでしょう」と尋ねられる。

その度に「意外に思われるかもしれませんが、実は岩手県と言っても沿岸南部は、東京と然程変わらないくらいしか市街地に雪が積もることはないのです」と回答している。この応酬は冬の風物詩と言って良いほど繰り返されているのだが、その度に「岩手県沿岸南部や宮城県沿岸北部は、冬に訪れる人々が少ない分、誤解されているのだな」と感じている。

そして、もしかするとこの誤解は、2025年1月17日に公開された映画「サンセット・サンライズ」によって、雪が解けるように解消に向かうのでないかとほんのり期待を寄せている。今回のnoteは、映画「サンセット・サンライズ」の公開を記念して、その舞台になった気仙沼市で聖地巡りをした記録である。


※ふるさと納税の広告です。購入して、気仙沼市を応援しましょう!



映画「サンセット・サンライズ」ロケ地マップを参考に気仙沼市唐桑町や大島で聖地を巡る

「サンセット・サンライズ」は、日本中が新型コロナウイルスによって混乱した当時の様子を背景に、リモートワークをするようになった青年が気仙沼市に移住し、地元の人々と交流していく物語である。

映画「サンセット・サンライズ」は、その原作小説を監督・岸善幸、脚本・宮藤官九郎、主演・菅田将暉、ヒロイン・井上真央といった日本有数のスタッフ・キャストによって映画化した作品である。

ロケ地となった気仙沼市では、本作の公開に合わせて、実際に映画のロケで使われた地域をマッピングし、ロケ地マップとして、地元メディア「気仙沼さ来てけらいん」上で公開している。

今回のnoteは、その「サンセット・サンライズ」ロケ地マップで紹介されている場所を筆者が回った記録である。有り体に言えば聖地巡礼だ。なお、ロケ地には、岩手県大船渡市の2カ所が含まれている。今回、この2カ所については対象としていない。気仙沼市ではないというのが理由だが、それ以前に大窪山森林公園は、冬季に訪れるのが非常に危険なためだ。

先ほど、岩手県沿岸南部の市街地は東京とあまり差がないほどの積雪量だと伝えたが、それはあくまで市街地の話であり、山側は全く話が変わるためである。これは気仙沼市も同様で、積雪が少ないのはあくまで市街地の話であって、山側は全く様相が異なる。

その意味において、「サンセット・サンライズ」の聖地巡礼をする場合、冬季を避けた方が好ましいという話は、先にしておこうと思う。詳しくはここから紹介するが、実のところ「サンセット・サンライズ」のロケ地は、市街地から外れた場所が多く、道路が整備された場所ばかりを走るわけでない。

自動車の運転が苦手な人は、ある程度山道を走り慣れた人に運転を任せた方が良いと言える。なお、「サンセット・サンライズ」ロケ地マップで紹介されている場所は以下の通りだ。9と10が大船渡市であり、今回のnoteでは取り上げない場所となる。

  1. 只越漁港

  2. 唐桑総合支所・唐桑公民館

  3. 鮪立漁港(しびたちぎょこう)

  4. 小鯖漁港

  5. 気仙沼大島大橋

  6. 問屋商店

  7. 大漁丸

  8. 磯屋水産

  9. 大窪山森林公園

  10. 居酒屋 泰州(たいしゅう)

「サンセット・サンライズ」ロケ地巡りは、岩手県陸前高田市側から移動しており、1から8まで順番に移動している。すべて巡るのに要した時間は2時間30分程度である。筆者にとって初めて走る道が多かった一方で、山道や狭い道は普段から走り慣れているため、移動はスムーズだった。初見かつ山道や狭い道を走り慣れていない人であるともう少し時間を要すると考える。それでは、ここから一カ所ずつ紹介していこうと思う。

1.只越漁港|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

岩手県陸前高田市の長部ICで三陸沿岸道路(自動車専用道路)を降りて、国道46号線に入り、唐桑町へと向かう。岩手県側から唐桑町に向かう場合、三陸沿岸道路から直接降りるICがないため、注意が必要である。昨年、大手水産・食品会社である株式会社ニッスイ(旧・日本水産株式会社)に買収された株式会社武蔵野フーズを横目に唐桑町に入って少し走った後に、住宅が並ぶ小道に入って更に数百メートルほど走った先に只越漁港はあった。

只越漁港
只越漁港の様子①
只越漁港の様子②
只越漁港の様子③
只越漁港の様子④

ひっそりと静まり返った入江のような空間の中に響く機械音が印象的な漁港だった。釣り人が何人か見られたが、もちろん菅田将暉ではない。漁港の入り口が狭くなっているため、大型の自動車で訪れる場合は注意が必要。また、入り口が日陰になっていることから、冬季も注意した方が良いだろう。

「サンセット・サンライズ」では、ソーシャルディスタンスが表現されたシーンで利用されたようだ。「サンセット・サンライズ」ロケ地マップによると日の出がキレイに見える日の出スポットらしい。早朝に釣りを嗜む人には打ってつけの場所かもしれない。

2.唐桑総合支所・唐桑公民館|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

只越漁港を後にして10分程度走ると唐桑総合支所、唐桑公民館がある。訪れる際、大きな道から小道に入る必要があるのは、只越漁港と同じである。只越漁港もそうであるが、Google Mapなどの案内を利用して移動する方が賢明だ。これについては、5.気仙沼大島大橋と8.磯屋水産以外のすべての場所に言える。もっとも、唐桑総合支所・唐桑公民館については、小道に入る以外の道もありそうではある。

唐桑体育館
漁村センター
唐桑公民館
宇田濱町役場

映画内では、井上真央演じる百香の職場として起用されている。恐らく「サンセット・サンライズ」ロケのまま保存されているのでなかろうか。建物には宇田濱町役場という名称が掲げられている。入り口には、出演者のサインが置かれており、映画を記念したスポットのような外観になっている。「サンセット・サンライズ」のロケ地巡り・聖地巡礼をするなら、恐らく絶対に外せない場所でなかろうか。

3.鮪立漁港|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

今回の「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼の移動において、少し難儀したのが、鮪立漁港と次の小鯖漁港である。Google Mapに言われるがままに住宅地の中の細い道を抜け、急な上り坂と下り坂を経て辿り着いた。

唐桑町から出る際に感じたが、運転に不慣れな人は、Google Mapのようなアプリケーションが示す最短経路ではなく、尾崎神社側へと向かう比較的広い道を走る遠回りのルートを通った方が良い。時間的にはそこまで大きな差がない。

運転に不慣れでなくても、そのルートの方が良いように感じる。つまり、鮪立漁港→小鯖漁港と回るのではなく、小鯖漁港→鮪立漁港と回るルートである。なお、筆者は鮪立漁港→小鯖漁港と回ったので、その話をする。

鮪立漁港へ向かう途中。思えば遠くまで来たものだ
鮪立漁港
鮪立漁港の様子①
鮪立漁港の様子②
鮪立漁港の様子③

とてものどかな漁港であった。海を覗くと底まで見える美しさで、先日訪れた女川町の出島の海を思い出した。只越漁港同様に釣り人がいた。もちろん、菅田将暉ではない。映画「サンセット・サンライズ」の劇中では、多くのシーンをこの鮪立漁港で撮影したそうである。

鮪立漁港の近くには、映画「ただいま、つなかん」で知られる民宿・鎌倉御殿つなかんがある。「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼をする際に、泊りがけで訪れるのであれば、一考して良いかもしれない。

4.小鯖漁港|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

鮪立漁港から自動車で数分の距離にある漁港である。比較的新しいトンネルとその下に古いトンネルがある。なお、2025年1月19日現在、古いトンネルは通行できない。Google Mapに案内され、行き止まりを確認して戻る羽目に陥ったので、読者の皆は注意して欲しい。Google Mapは誰もが思っているよりは頼りにならない。

行き止まりのトンネル。上の新しめのトンネルを進むのが正しい
小鯖漁港の様子①
小鯖漁港の様子②
小鯖漁港の様子③

Google Mapで見ると小鯖漁港は2カ所ある。地図上だと離れているように見えるが、歩いて行ける距離でなかろうか。今回の「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼では、鮪立漁港に近い方に向かった。

そこから少し歩いた先にあったのが、写真2枚目のどことなく神聖さが漂う石の造り物である。「サンセット・サンライズ」の劇中では夜釣りのシーンなどで使われた小鯖漁港であるが、ここにもやはり釣り人が居た。三度目の正直ではあるが、菅田将暉ではない。

5.気仙沼大島大橋(鶴亀大橋)|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

小鯖漁港から気仙沼大島大橋に向かうのが、「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼において最も時間を要するかもしれない。現在、唐桑町も大島も気仙沼市内だが、両者の間にある距離は決して短くない。自動車でおよそ15分~20分程度の時間を要するほど、両者は離れている。

気仙沼大島大橋の様子①
気仙沼大島大橋の様子②
気仙沼大島大橋の様子③

映画「サンセット・サンライズ」のクランクイン場所となった気仙沼大島大橋は、東日本最大級のアーチ橋である。これまで何度となく通ってきたが、今回初めて歩いた。徒歩にして5分程度の距離とは思っていなかったので、歩いてみて驚いた。港湾都市気仙沼市を望む場所としてもとても良い場所であり、三陸沿岸道路と併せて、気仙沼市が海上に複数の大橋がかかる稀な地域だと感じさせてくれる場所でもある。

6.門屋商店|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

大島の街中にある昔ながらの酒類・タバコ・食料品・雑貨を置いた商店である。郵便局の近くにある。映画「サンセット・サンライズ」では、菅田将暉演じる主人公が釣り具を購入したお店として登場する。釣り具は実際に売っているらしい。もっとも気仙沼市に限らず、岩手県沿岸南部もだが、釣り具は様々なお店に置いてあり、釣り餌の自動販売機も置かれているほど、釣り人との距離が近い。

門屋商店
門屋商店の隣には海鮮料理を食べられるお店がある
亀山だろうか。モノレールを建設中

7.大漁丸、小田の浜海水浴場|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

門屋商店から海鮮料理店側に車を走らせて、たいようという食堂の角を左折して少し走ると気仙沼市で最も人気の海水浴場・小田の浜海水浴場に至る。映画「サンセット・サンライズ」のロケ地となった大漁丸に向かうには、小田の浜海水浴場の駐車場に車を停めて少し歩くのが分かりやすい。

小田の浜海水浴場から見えるクリコの看板
クリコは宿らしい
小田の浜海水浴場の様子①
小田の浜海水浴場の様子②
小田の浜海水浴場の様子③
小田の浜海水浴場の様子④
小田の浜海水浴場の様子⑤
小田の浜海水浴場の様子⑥
小田の浜海水浴場の様子⑦

小田の浜海水浴場から大漁丸までの道のりは、先日noteで伝えた通りである。

流木Cafe 大漁丸

大漁丸は、流木Cafeと書かれた大きな看板を掲げているので、一目ですぐに分かる。ただ、いつ営業しているのかが分かり難い。利用を希望する場合、連絡してから伺う方が良いのかもしれない。映画「サンセット・サンライズ」では、ヒロインの実家の母屋として利用された重要な場所である。

田中浜

小田の浜海水浴場から気仙沼市街地へと向かう途中にある田中浜がとても美しく、思わず車を停めてしまった。東北の沿岸部で海が青く見えるのは希少に感じてしまう。田中浜については、以下の記事を参照して欲しい。

8.磯屋水産|「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼

今回の「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼の最後の場所が磯屋水産である。映画「サンセット・サンライズ」では、菅田将暉演じる主人公が朝市で牡蛎を買い求めた場所らしい。磯屋水産は、内湾エリアにあることから、恐らく全ロケ地の中で最も訪れやすく、分かりやすいのでなかろうか。何せ、内湾エリアは気仙沼市の観光地の要衝である。

磯屋水産
磯屋水産の正面にある気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ(pier7)は、現在「サンセット・サンライズ」仕様である
遊覧船で湾内を旅できたり、大島に行けたりする

内湾エリアは、本noteではおなじみの場所なので、ぜひこの機会にマガジンを見渡して欲しい。

海の市では「サンセット・サンライズ」展を開催中

気仙沼市の海の市では、映画「サンセット・サンライズ」の公開を記念して、「サンセット・サンライズ」展を開催している。

海の市
「サンセット・サンライズ」展、入り口
「サンセット・サンライズ」展の様子①
「サンセット・サンライズ」展の様子②
「サンセット・サンライズ」展の様子②
「サンセット・サンライズ」展の様子③
屋上から気仙沼魚市場内の観覧ができる
広場の様子

海の市は、磯屋水産から徒歩5分程度の場所にある。海沿いを歩く行き方と市民会館側の道を歩く行き方がある。距離的には後者の方が若干ながら短いように感じられるが、景色を楽しむならば海側を進む方が良い。海側を進むと次のような景色が見られる。

漁港の様子①
漁港の様子②
漁港の様子③
漁港の様子④

「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼後にRSTで昼食

およそ3時間にわたる「サンセット・サンライズ」ロケ地巡り・聖地巡礼、そして「サンセット・サンライズ」展の観覧を経て内湾に戻った後、RSTで昼食を取った。RSTは、希少なBMWが店内に展示されているバイカーの聖地のようなお店である。建物の中には、鮫商品を豊富に取りそろえた気仙沼シャークスの店舗が併設されている。


※ふるさと納税の返礼品を提供している(広告です)


レンタサイクル・クルージングなども提供している
そびえるコーラフロート
たたずむエビピラフ

スタイリッシュなコーラフロートと程よい塩加減が絶妙な旨味を出すエビピラフを頂いた。落ち着いた音楽を聴きながら、美しく整備された町並みを前にして昼食を頂くのは、どことなく豊かさが感じられる。

映画「サンセット・サンライズ」のロケ地となった唐桑町は移住者が多く、大島は観光客が多い

映画「サンセット・サンライズ」のロケ地巡り・聖地巡礼はおよそ2時間30分程度でできる一方で、もう少しゆっくりと巡りたいと感じた。どの場所も独特の雰囲気があり、また周辺には見どころのある場所や興味をそそられるお店などもある。とりあえず巡るだけならば今回のように2時間30分程度で巡れると思うが、実際にロケ地巡り・聖地巡礼をするならば、時間を取って行った方が満足度は高いだろう。

また、映画「サンセット・サンライズ」のロケ地となった唐桑町は、移住者が多い地域で知られている。とりわけ女性の移住者が目立つ。また、移住者が精力的にまちづくりに携わっているのも特徴的である。その具体的な理由は分からないが、ダイナミックな自然が身近にあり、それでいて穏やかな空間が多い地域であることは、少し自動車で走っただけでも分かる。

人生の豊かさのようなものを考えたとき、あるいは人間というよりも生物としての根源的な欲求のようなものを考えたとき、唐桑町というフィールドは多くの魅力を持つのだと思う。もちろん唐桑町には不便な面が非常に多い。決して住みやすい地域だとは言えない。それでも人を惹きつける確かな魅力がある。

また、大島は離島ならではの独特な雰囲気が魅力だ。ただ歩いているだけで心の豊かさのようなものを感じられるのは、観光客にとって大きな魅力だと想像する。事実、大島を観光で訪れる人々は多い。昔は船でしか行けない場所だったが、大島大橋の実現によって多くの人々が自動車などで行けるようになった。そして大島の魅力に気付いたのである。

「サンセット・サンライズ」のロケ地巡り・聖地巡礼を目的として訪れるのも良いが、大島それ自体を目的に観光で訪れても満足度は高いと考える。今後は、モノレールができるなど観光の目的となるような材料も用意されている。「サンセット・サンライズ」をきっかけに、ぜひ大島について興味を持ってもらえると嬉しく思う。


ぜひフォローをお願いいたします。

以下はふるさと納税の広告です。ぜひ購入して、気仙沼市を応援しましょう!


いいなと思ったら応援しよう!

気仙沼の掲示板|地方の暮らし記録
皆様のサポートのお陰で運営を続けられております。今後もぜひサポートをいただけますようお願い申し上げます。