Takahiro Ushijima
建築を中心にゆるーく考えたことを書いていきます。
自分が工務店・ハウスメーカーと行ったデザイン戦略(経営・思考)内容をまとめています。
建築について、ちょっと小難しく考えたことをまとめていきます。
住宅のリサーチをした際に新築住宅産業を数字から考えてみたのだが、もう一つ大切なこととして、数値以外の要因からも考えなければいけない。 新築住宅産業はどうなるの? (https://note.com/usjm_arch/n/n98dec2cbd6ef?sub_rt=share_pw) 今回は新築住宅の着工件数は、我々のライフスタイルがどうなっていくのかによっても大きくかわるのでそこも検討してみたい。 建築の仕事をしているとたまに「賃貸」と「購入」どちらが得かを聞かれること
最近、工務店/ハウスメーカーと協働している関係でそもそも新築住宅業界が今後どうなっていくかをリサーチする機会があった。 17年間で市場が6割となる可能性がある。 野村総合研究所が今年の6月22日に出した内容だ。 その自分の考察のまとめを。 結論だけで十分な内容ですが。 1.統計の自分の考え方 自分は統計というものをきちんと学んだことはない。 データというものは非常に難しく、解釈や切り取り方によってもなんとでもなる。本格的に分析している人も予想は外れるし、ポジショントー
先日半年間の全十回におけるハウスメーカー/工務店さんとの勉強会を終えた。 その教えている内容は以下から、 1. デザインの勉強会を終えて 教えている側としては本当に知識は身についたのか、導入出来たのかが気になるところ。アンケートを取った結果、導入出来た部分もあったが、できない部分もあった。という答えが最も多かった。 まあ予想通りの結果に。 活用できないから離脱した社員さんもいたかと思う。 ただそれで一番困るのはその社員さんだ。ハウスメーカーは効率を重視するため、技術
講義について では具体的に何を教えているのかというと、本当にデザインを主でやっている人の基本中の基本のこと。 当たり前なことでも意外と知られていないことも多い。 建築家は常に人がどう感じて、どう見るのかを考えて建築を設計している。 目線を意識する。 一番わかりやすい話は天井だ。 基本的に人の目線より上のものは目立ちやすい。 特にモダンなデザインを目指す場合は出来る限り要素を少なくする。 なので天井カセット形エアコンを使用するのは非常に難しい。 使うときは構造材を露出
時間が空いてしまいましたが前回の ハウスメーカーとデザインを考える(その1)の続きです。 では実際にハウスメーカーさんと工務店さんにどのように教えているのか、一緒に学んでいくのかについてです。 知る・見る / 考える / つくる をベースにする0.知る あくまで一般論だが、そもそも世の中にどんなデザインがあるかを知らないと、デザインすることは出来ない。我々の知覚(良いと思える感覚)は常に変化している。なのでその先端を探求している建築家がどのようなデザインをしているかを「知
Chat GPT-4によって芸術や建築が大きく変わっていくのは間違いないだろう。芸術家も建築家もどんどん失業していく可能性は大いにあり、生き残っていくためにどのようにかわっていくのか、そもそもの芸術の価値とその変遷から考察した。 1. オリジナルの価値 そもそも芸術における重要性は「オリジナル」にあった。 オリジナルであることが重要であることが、ベンヤミンのアウラによって定義づけられた。20世紀初頭から芸術作品は、ロダンやウォーホルによって、「オリジナル」の価値を揺さぶら
1.背景 現在、滋賀県のとある工務店さんからデザインの勉強会とデザインコンサルティングの業務を請け負っている。 社長さんはまだ若く、新しいことにどんどん挑戦していこうという姿勢で、今年も積極的に多くの若い新入社員を採用している。 最初に社員さんとお話しした際に、デザインについて学びたいけど勉強する機会がない、時間がない、デザインに関して相談したいということで宿題ありの勉強会+相談会をしようということになった。 ハウスメーカーは日本国内では今後は人件費や資材高騰、人口減少
堀口捨己建築論集も再販され、もう一度堀口捨巳を見直すことになった。 建築家の中で堀口ほど「新しい」建築(当時は表現主義→分離派→モダニズム)と「伝統」について考えた人はいないだろう。 近年、選択的夫婦別姓問題などに反対する、いわゆる「保守」的な人が、伝統という概念を勘違いしていることが多いと感じてしまう。自分の活動拠点の一つである滋賀県長浜市も曳山祭りという伝統のあるまちであり、伝統によって変えられないことも多々あるようだ。 日本の「伝統」とは実は常に変わり続けている。
長浜カイコーは正式名称「長浜デザインセンター」として2022年2月中旬より公設民営として営まれる。長浜市を拠点に活動する中山郁英氏と石井拳之氏の企画書を長浜市がバックアップする形でプロジェクトがスタートした。 1.建築設計の条件について 通常の建築の設計では、施主から条件が与えられて始まる。 まずはその施設の用途や予算がデザインを考えることにおいて大きく関わってくる。本件においてはその二つが曖昧なままプロジェクトがスタートした。用途も当初はクリエイティヴセンターという、デ
フル・シット・パークという公園を最近開発した土地でよく見かける。 この言葉は、近年注目されたワードの「ブル・シット・ジョブ」をもじった形である。 フルシット・パークの定義 Full-Shit-Park 直訳すると、いっぱいの「クソ」で満ちた公園。言い方を変えると、完全にクソな公園である。 それは人が使いたいと思わないし、メンテナンスが必要のない公園と定義する。 ブルシットジョブでは雇用を維持する、リスクを分散させるなど多少の欺瞞に満ちていながら、多少なりとも社会的な役にた
地方を拠点に活動を始めて早二か月が過ぎ、生活は東京にいた時とほとんど変わっていない。変わったのは月一回の休みの日のレジャーの選択肢の多さだろうか? 地方で建築作品を作ること現在は長浜のNCCスペースの設計に関わっており、そもそも「建築家」ってという話を一般の人に向けてまとめた。 https://note.com/ncc_shiga/n/n57dbe2362996 そんな中で地方で「建築家」が「作品」を作る意味についてきちんと考えなくてはいけないことを強く感じた。 何故な
ここ数年ひとの「記憶」に興味を持って設計してきた。 それはひとが感情的なことを忘れっぽくなっていると感じるからだ。 都市部ではコピペが可能なセメント材に覆われて、時が経っても変化しにくい建物に覆われている。表面が汚れれば、上から塗りなおされれば元に戻る。人の記憶に残りにくい。 地方では、人の記憶が残っている建築物が多く残る。そしていつも保存か解体かの問題が起こる。そのような建物はほとんどの人にとって無意識的に残っている。話に出すと、近隣の人はたいてい「あーあの建物ね。」とい
近年「怒」という感情が嫌まれる。 大企業では部下に対して、パワハラ行為にあたるから「怒」という感情を表すことが禁止されている。スティーヴ・ジョブズも英雄視されているが、すぐに怒鳴りちらしていたという彼も一歩間違えればパワハラ親父として認定され、今ほどの名声もなかったかもしれない。 またこの「怒」という感情をうまく表せなかったり、そもそも怒ることが出来ない人も多くなっているのではないだろうか。そして「怒」という感情に対しての免疫もなくなってきているのではないだろうか。自分自身
今後の日本の住宅について イタリアから日本の住宅についてのショートインタビューがあった。 これからの日本の建築家の住宅はどうなるかという問いに対して、簡単に「物質的」になると答えたけど、しっかりと考えをまとめてみました。 ハウスメーカーの住宅 まず日本の住宅は建築家が作るものとハウスメーカーが作るものを大きく分別して考えなくてはならない。ハウスメーカーが作る住宅は、高耐震性ながらコストを抑えることが重視される。これはもちろん地震の多い日本ならではの傾向で、1995年の阪神
町田市の薬師池公園西園のウェルカムゲートの計画を設計補助としてコンペの段階からかかわらせていただいた。その中で公園について考えていたことをまとめてみた。 野生のある公園から青木淳氏が建築の設計において「遊園地」的な空間ではなく、「原っぱ」に魅力を見出してきたが、建築や公園はどんどん「遊園地」化が進んでいった。 この薬師池公園西園も敷地を見に行った時にはこの西園はJAによって管理はされていたが、「野生」の状態がたくさん残っていた。手入れされていない林の中に、誰かが勝手に作った
かすみがうら市でのツーリズムというテーマを元に地域づくりを考えています。 茨城県に住んでいたのに霞ヶ浦周辺に行くことはほとんどなかったし、周りの人も観光に行くなら、筑波山の山側に行く人が多い。 茨城県自体は毎年魅力度ランキング最下位ながら、幸福度では15位と結構上の方に入る。そもそも魅力度は他者から視点を元に作られているので、幸福度という県民からの視点には大きく差が出る。 幸福度が高い理由として、仕事がある(経済が回っている)というのが大きいだろう。 様々な人にインタビ