多国籍チームの議論は反論予告で乗り切る?!【The culture map⑦】
昔、フランス人である日本法人社長が、
「私は『出る杭は打たれる』という日本のことわざが大嫌いです。出る杭になってください。」
とよく言っていた。
確かにダイバーシティーが重視されるこの時代に合わなさすぎる、ザ・ジャパンなワードだなと思う。
そして、この言葉を信じて若手の頃は無邪気に結構言いたいことを言って積極的に出る杭になっていた私は、
外資系にも時々存在する
『出る杭は打ちたい系日本男児』たちと仕事をし、色んな経験をして丸くなりつつもなお、
Noと言える日本人として活動しているつもりではあった。
ところが、
海外本社の仕事をするようになり、
まことに心外ながら、
「もっと明確にNoと言っていいんだよ」
というフィードバックを受けているので、
日本でのライオンの雄叫びはグローバルな職場では子猫がニャーと言った程度なのだろうかと、
そんなことを考えていた今日この頃。
そんな私にぴったりな
「異文化理解力(The culture map)」第7章。
今回は国別の適切な反対意見(反論)の仕方について、本の紹介と共にいつも通り経験談を織り交ぜて述べていきたい。
感情表現豊かでも議論対立どんと来いとは限らない
うちの会社は基本的にビデオオフでリモート会議をするのだが、先日久しぶりにビデオオンで、
会議をした際、
平均よりにやけ顔の私でも人の話を聞いている時の自分の顔が思いの外「無」なことに衝撃を受けた。
というより、逆に、
話している時ならまだしも聞いている時でも
会議出席者のイギリス人、オーストラリア人、インド人がこんなに顔芸をしているとは知らなかった。
この本でも国別の子供たちの喜びや怒りの顔写真を並べて比較しているのだが、
やはりそもそもの感情表現の豊かさというのは国によって違うのは明白で、
○日本は最もポーカーフェイス
○ラテン系は感情表現が激しい
○ドラマチックな熱烈アタックに憧れて日本人女性は韓流恋愛ドラマにはまる(これは個人の趣味
というのは有名なお話。
では、感情表現豊かな国はそれだけ議論や反論・対立もバチバチに展開するのかというと、もう少し複雑とのことなのだ↓
対立を避ける文化: 対立や言い争いは組織にとって良くないとされる。反論をすることはその人自身を批判していると捉えられがち。
議論対立どんと来い文化: 対立や言い争いは組織にとって良いことで、反論されてもその人の意見を批判しているだけであって本人の批判とは捉えられない。
これを読みすごくしっくりきたのは、
相手の意見への批判と相手自身の批判と分離することが苦手なのが対立を避ける文化グループという点。
これに尽きると思った。
言う方も受け取る方もそのテクニックと心構えがあれば、そんなに気にせずにディベートが出来るところを、
自分も含め、BやDの人たちは最終的に、
ちょっと言い過ぎると申し訳ないだろうかという
引っ掛かりで遠慮してしまうのは
どこか相手の意見と相手自身を同一とみてしまっているところが、あるからなのかもしれない。
実例: 日本人/東アジア人必殺忍法『無反応』で心を折る術
あるある事例を一つ。
今仕事でオーストラリア人と共に情報共有と
各国の意見・要望・文句を吸い上げるカジュアルなセッションを月に1回開いている。
時差の関係上APACセッションと欧米セッションを実施しているのだが、
毎回オーストラリア人はAPACセッション(日本人多め)の後、
「誰も意見言ってくれなかったし、全然ディスカッションにならなかった。萎え」
と凹んでいるおり、
私はの方はというと、
後で、おまえかい!と言われるのを分かっていながら、可哀想すぎるのでサクラとして匿名質問ボックスに投稿した上で、
「あなたの説明はすごくよかったよ!
カルチャーの問題だから気にしないで」
という会議後のフォローを繰り返すという
全く根本原因を解決していない方針をとっている。
今回この本でも同じような日本人の
忍法無反応の術に関連した事例が載っていたのだが、
曰く、
・事前課題として募集したい意見を渡し(出来るかも?)
・誰が出した意見か分からないようにし(実施済み)
・事前ミーティングを実施(そういうフォーマルなものじゃないので難しい)
するのが対策とのことで、
そもそも良いミーティングの定義自体、
A: 決定事項が明確になるミーティング
→アメリカ人
B: 多様な意見が出て、ディベートがされるミーティング→フランス人
C: 事前に合意されたの事柄が正式承認されるミーティング→日本人
と違うようだ。
さすがの日本人も全てのミーティングCかというとそんなことはないのでは?と思ってしまうが、
全体傾向としてBは苦手というのはなきにしもあらずで、なかなかフリーでカジュアルなディスカッションが求められるミーティングは上手くいかなかったりする。
反論予告〜Let me challenge your idea〜
犯罪予告ならぬ、反論予告。
私の中で知っているが、
まだ使ったことがないフレーズシリーズで、
Let me challenge your idea
(意訳: ちょっと今から反対意見言ってみるよ?)
Let me play (the) devil’s advocate
(悪魔の代弁者になるよ?
=意訳: 今からわざと反対意見言ってみるよ?)
というのがある。
最初に聞いた時、なんて素敵な枕詞なんだ!
と思った。
(一つ目はトーンにもよるので要注意だが)
いきなり反対意見を言われると心理的に責められている感じがする人でもこのワードが入ることで、
一気に冷静かつ建設的な話し合い感が出るし、
意見への批判と人への批判の分離をするナイスなクッションワードとなる。
この本の作者も言っていたように、
自分が今何をしようとしているか説明を加えるちょっとした工夫で、
多国籍チームでも関係性を壊すことなく良いディスカッションが出来るならば最高だ。
◇
気を遣って「言わない」のではなく、
むしろ一言多く言うくらいがちょうど良いのかもしれない。
自戒の念をこめて。
以上、7章でした。ご参考までに。
再び横着しますが、6章は以下、1-5章は以下の記事からたどって飛べます↓
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