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2024年6月6日 私の日々の大切な習慣

絵描き歌では、「6月6日に雨ざあざあ」と歌いますが、
今日は、曇りでした。
最近、少しずつ気温が上がってきましたね。
日中はかなり暑くなってきています。
こまめな水分補給と日焼け止めを意識する季節がやってきたようです。
朝晩はまだ、気持ちの良い冷たい風が吹いており、この風が少しでも長く、続くことを祈っています。

毎朝、身支度をした後、育てている夏野菜に水をやり、様子を確認しています。

今育てているのは、きゅうり、なす、トマト、大葉、ローズマリー、バジル、クレソンです。
野菜によって、それぞれの成長の仕方があり、必要な水の量も様々です。

屋根があるとは言え、外気があたるところに野菜の鉢を並べているので、
水やり時には、必ず、外の空気や風に触れることになります。
ここ最近の、風はとても爽やかです。
起き抜けの一杯の水のような風です。
ひんやりとしてて、喉越しが良く、目が覚まされる、そういう水のような、肌あたりなのです。
鼻からすうっと、その風を、空気を吸い込みます。
水がなみなみと注がれたジョウロを一旦、脇に置いて、深呼吸をするのです。

その時だけは、
仕事の段取りや懸案事項、生活のやりくりや食事の段取り、様々な締切、人間関係の諸々、そう言ったもの全ては、背景になり、
目の前の野菜たちと空気だけに焦点があいます。
この瞬間だけは、忙しない思考を締め出すことができるのです。
ものだらけの部屋から、何もない部屋に移動したような感覚に近いでしょうか。
日頃忘れがちな、不思議なしんとした気分です。

一呼吸置いたら、野菜たちに水をやります。
土の乾き方、水の吸収の仕方を観察しながら、やっています。
トマトはやりすぎない、きゅうりはたっぷり、大葉は大きくなってきた葉をかき分けて、と
それぞれに合わせています。
時々、水が土に染み込む、炭酸のような音が聞こえる気がします。
野菜も生きているのだ、と実感する瞬間です。

もともと夏野菜を育てようと思ったのは、
昨年冬に、気まぐれにブロッコリーを育ててみて、想像以上に楽しかったことが始まりです。
家庭菜園の良さは収穫して、収穫物を食事に使うことで節約できるという現実的な良さももちろんありますが、
それ以上に、植物の成長を見守り世話を焼くという行為が日々落ち着かない思考を停止させてくれるという精神的な良さもあるのです。

それでも、ブロッコリーを育てていた時期は冷え込んでいた時期でしたから、野菜を前に空気を味わうという時間はさほど長くありませんでした。
今は、とても良い気候で、朝の清々しさを味わうには気持ちが良いので、しばらくの間、野菜の前にいることにしています。
見るともなく、ただ、野菜を眺め、伸びていくツタや大きくなっていく葉、素朴で可憐な花などを目に写しているのです。
虫がついていることに気づくこともありますが、たいていは、野菜たちをぼうっと眺めています。
「野菜を眺めてどうするのか?」と過去の自分に呆れそうですが、
どうもならなくてもいいのです。
野菜たちは日々成長するので見飽きることはありません。
完全に同じということはなく、常に少しずつ変化していくということを実感させてくれます。
変化は怖いことでもありますが、安心でもあります。
どんな状況も永久に変わらないことはないということだからです。
そこに、いくばくかの希望のようなものを感じることもあります。
説明できない不安を拭い去ってくれる、説明できない希望が、この時間にはあるのです。

野菜を「見る」「空気を味わう」「水をやる」というだけの時間なのですが、
忙しい生活の中では、特別な時間になっています。
長くて10分、短い時は5分ほど、たったそれだけです。
しかし、その短い時間があるかないかで、1日の過ごし方がずいぶん違うのです。
朝にこの時間を捻出しておくと、穏やかな気持ちで、様々なことに向かえます。
予定上、野菜を見る余裕がないから…と前の晩に水をやっている日もあるのですが、
そういう日はその後1日、あまり余裕がないままです。
野菜に水をやり、深呼吸してぼーっとするそのわずかな時間が、
気持ちをたいらかにしてくれるのかもしれません。
イメージとしては、激しい運動の前の準備体操、もしくは、調整弁の確認してといった感じです。
やらなくても変わりはないように思えるが、長い目で見るとやっておいてよかった、となるような時間なのです。
つまり、短い瞑想のような時間になっているのでしょう。


野菜の水やりは、
今ではなくてはならない、習慣となっています。

歯を磨くのと同じように、
すぐわかりやすく効果がでる習慣ではありません。
誰かに見せたり、自慢したりするような習慣でもありません。
どちらかと言えば、誰かに報告することもない、地味なものです。
ですが、私にとっては、少し先の生活を豊かにする、日々の大切な習慣なのです。


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