著者は外務省官僚出身で内閣官房副長官補、内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長を歴任。本書は歴史・政治・地政学・戦争・インテリジェンス・危機管理などを含む日本の安全保障を包括的に述べたもので重厚な内容。外務省でのキャリアが長く、その後政府の要職に就いていただけあり非常な博識で学ぶところが多い。大戦中の兵站の不備の分析、そしてそれがエネルギー問題に絡み現在にまで続いていること、また膨張する中国を大日本帝国の姿に例え分析することなどは非常に共感できる。
しかしながら、例えば戦前の韓国の植民地支配の事実やその弊害、従軍慰安婦などは完全否定している。また中国を仮想敵国として考えているようだが、政権の中枢にいながら安倍や岸田を含むその子分一派は対米従属と中露従属の二股をしてきたこと(現在もしていること)を知らなかったのであろうか。筆者が属する自民党や敬愛する安倍元首相が、韓国のカルト宗教に完全に取り込まれていた現状をどう解釈するのであろうか。
◆ 兵站の重要性について
◆ 湾岸戦争からPKO法成立に至るプロセス
◆ 太平洋戦争における商船隊の殲滅(兵站の失敗)
◆ 現在のエネルギー安全保障(エネルギー兵站)
大日本帝国化する現代中国
(2022年8月28日)